ハンナ・アーレントのレビュー一覧

  • 全体主義の起原2 新版――帝国主義
    第三部、第一部と読み進めてきて第二部が最後となるけれども、とんでもなく面白かった。帝国主義がもともと経済的な事情に由来すること、その特徴が膨張の運動それ自体にあること、それが国民国家の在り方とはそぐわないこと、人種思想の経緯、海外帝国主義と大陸帝国主義の違い、法を軽視する官僚制、人権という概念のもつ...続きを読む
  • 全体主義の起原3 新版――全体主義
    ヤスパースの助言通り第三部から読んだ、全体主義の特徴として挙げられる首尾一貫した偽りの現実とかテロルの意義とかもすごく面白いのだけれど、そもそもそういったものに溺れてしまう大衆の弱さとか収容所に入れられたひとびとが存在しなかったことになってしまう残酷さとか、人間の孤独や存在の脆さが浮かびあがってくる...続きを読む
  • エルサレムのアイヒマン 新版――悪の陳腐さについての報告
    旧版を読んだのは5年前。全体主義やホロコーストについて、勉強を始めたばかりの頃。読んだときはかなりの衝撃を受けた。

    その後、この本が出版された60年代前半以降の研究も読んで、この本の歴史的な資料としての重要性は下がって、アーレントの思想を知るための本ということにわたしの中ではなっていた。

    新版に...続きを読む
  • エルサレムのアイヒマン 新版――悪の陳腐さについての報告
    特に思想もない平凡な人間が、想像力の欠如により、ただ保身に走り非道な行為をすることの衝撃。思考しないことの恐ろしさ。
  • エルサレムのアイヒマン 新版――悪の陳腐さについての報告
    quote:
    まったく思考していないこと、それが彼があの時代の最大の犯罪者の一人になる素因だったのだ。
  • エルサレムのアイヒマン 新版――悪の陳腐さについての報告
    思ったのは、それが官僚的組織の宿痾であれば、なにをどうすれば正しいことが行われるようになるんだろうということ。
  • エルサレムのアイヒマン 新版――悪の陳腐さについての報告
    カタチ的には一周したが、まだ読めていない。
    読んでよかったし、今読んでよかった(若いころだとたぶん、ほとんど、今よりもずっと、この本の意義がわからなかったと思う。いまは、意義があることだけは、すごくわかる)

    ヒトラー率いるドイツ帝国の、ユダヤ人問題の〈最終的解決=絶滅〉において、ユダヤ人を殺戮収容...続きを読む
  • 暴力について――共和国の危機
    暴力について―共和国の危機
    (和書)2012年02月01日 16:15
    2000 みすず書房 ハンナ アーレント, Hannah Arendt, 山田 正行


    ハンナ・アーレントさんの本は良いです。自分自身もそれに近づける様にしたいと思うことができる。そういう人の本は非常に有益だし、生きていくのに...続きを読む
  • エルサレムのアイヒマン 新版――悪の陳腐さについての報告
    ナチスの大量虐殺がどのように生まれたのか、その主犯格の裁判の様子を本にしたもの。
    悪の陳腐さの副題通り、ハイヒマンはただヒトラー、ナチスに認めて貰いたかっただけ。
    入党の理由として、就職難でたまたま入っただけ。
    それが、虐殺の理由。途中から人を殺す感覚が麻痺して来た。

    自分で考えなくなることがいか...続きを読む
  • エルサレムのアイヒマン 新版――悪の陳腐さについての報告
    アルゼンチンから拉致したアイヒマンをエルサレムで法廷に引きずり出した、その裁判の話。前代未聞の犯罪と、一方で国際法を無視してのこの裁判という、法哲学的にも深い本。
    ヒトラー暗殺計画に携わった人たちは道徳的な問題についてではなく、無謀な戦争でドイツを敗北させてしまうことからヒトラー暗殺を企だてた。アイ...続きを読む
  • 暴力について――共和国の危機
    「暴力について」。ハンナ・アーレント著。英語版初版1972年。山田正行訳、みすず書房、2000年、261頁。

     ハンナ・アーレントさんは1906-1975。ドイツ生まれのユダヤ人?ユダヤ系だったそうです。
    お父さんは電気工事技師さんだったそう。ご両親ともかなりなインテリ教養人。ドイツで哲学を学んで...続きを読む
  • 暴力について――共和国の危機
    「暴力について」の他に、数編論文が収められているが、やはり中心となるのはこれ。
    アーレントは、まず、暴力=Violence=Gewaltをたの混同しやすい概念からの分離でもって、論述を開始する。
    すなわち、権力、力、強制力、権威などからである。
    この暴力についての考察は、ベンヤミン「暴力批判論...続きを読む
  • エルサレムのアイヒマン 新版――悪の陳腐さについての報告
    やっと読み終えることができた。全部読んだ自分に拍手。

    訳者である大久保和郎さんの解説、その後にある、山田正行さんの新版への解説の二つを読んで、本編に入ることをお勧めする。基本的にエピローグと追記以外は、アイヒマン裁判を傍聴したアーレントの報告書的な感じなので、彼女の思想だったり、悪って何?みたいな...続きを読む
  • エルサレムのアイヒマン 新版――悪の陳腐さについての報告
    なんとまぁ438ページ。ぶっちゃけ、エピローグと追記を読めば、筆者の意図はわかる!が、なるほど…となるので、できれば全部読むのがおすすめ。

    深井龍之介さんがYouTubeで言っていた本のフルマラソンでいうと、30キロくらいでキツかったぁ…

    p.33 もしアイヒマンが殺人の共犯として告発されてい...続きを読む
  • エルサレムのアイヒマン 新版――悪の陳腐さについての報告
    理系大学受験のため、世界史は試験をパスする程度の知識しか学んでいなかったため、本書の前半は読むのに相当苦労した。出てくるカタカナの人物名・組織名を把握しきれず、相関関係なども分からなかった。それゆえほぼ流し読み状態であったが、当時のナチス政権が広範に渡ってユダヤ人の絶滅を、かなり熱心に行っていたとい...続きを読む
  • 全体主義の起原1 新版――反ユダヤ主義
    はじめに読んだ第三巻に比べると具体的な歴史の記述が多いので苦労した。第三巻で書かれていたユダヤ人が秘密結社なんかと結びつけられていたという話はそのときはまじでそんなことあるのかと思ったけど、さまざまの迫害を乗り越えて最終的には社会から孤立して国家のもとで生き延びようとしたその歴史を知ると、ひとびとの...続きを読む
  • エルサレムのアイヒマン 新版――悪の陳腐さについての報告
    思いのほか皮肉の調子で驚いた。世界史の知識があまりにも足りないのを実感した、報告書であるためアーレント独自の見解が露骨に展開されるわけではないけれども、どこに重点を置くかという点に至って、それがどれだけ通説や当時の価値観と異なったものだったのかとか、そういうことが全然わからない、だから全部そうなのか...続きを読む
  • 全体主義の起原3 新版――全体主義
    国家は権威・忠誠を与える根源的な場(共同体)であり、個人はその外部においては無意味である。ジョヴァンニ・ジェンティーレGentile(1875-1944)

    全体主義。階級社会が崩壊して、根無し草の大衆が生まれた。量が多く、政治的に無関心・中立、階級意識を持たない、組織化されておらずバラバラ。公的な...続きを読む
  • エルサレムのアイヒマン 新版――悪の陳腐さについての報告
    エルサレムでのアイヒマンの裁判ー元ナチ親衛隊中佐でユダヤ人移住局長であったアイヒマンのユダヤ人強制移送を裁く裁判ーの取材報告。
    著者は心理学者アーレント。アイヒマンと同い年でナチ政権発足後にアメリカに亡命した人物だ。

    アイヒマンの犯した罪は、出世欲の強い人物の思考停止、想像力欠如が生んだとアーレン...続きを読む
  • エルサレムのアイヒマン 新版――悪の陳腐さについての報告
    ちょうどこの本を読み終わった日の朝刊にポーランドで、ナチスによるユダヤ人のホロコーストに「ポーランド人が加担した」などと記載すること禁ずる(罰則付き)法案が可決されたという報道が。
    アーレントが読んだらどう思うだろうか?