角田史雄のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
地震など地殻変動の仕組みとしてほぼ定説となったプレートテクトニクス説(プレート説)を「キリスト教との親和性が高く、地動説に等しいイデオロギー」と切って捨てる筆者が代わりに唱える「熱移送説」。
中国四川の地震など、プレート界面から遠く離れた場所で発生する地震はプレート説ではうまく説明できないが、熱移送説では整然と説明できる。
プレート説では想定外の場所に地震が起きるとそれに整合するようにマイクロプレートを追加して説明するが、筆者はそれを「目的と手段が逆転している」と批判する。
プレート論の紹介書の著者中島淳一氏も著書に書いていたマントルトモグラフィという、MRIの技術を応用し地震波により地 -
Posted by ブクログ
著者角田史雄氏は、「プレートテクトニクス」説が誤りであり、それが地震予測・防災政策を誤らせてきたと主張している。著者は「熱移送説」を主張しているが、学術的に受け入れられているものではないと思われる。南海トラフ偏重の防災政策に対する批判は首肯できる点も多いが、理論については注意して読む必要があると思う。
【目次】
はじめに
「プレート説」は真理なのか
1億2000万人の信者を擁するプレート説は現代の「天動説」
50年を無駄にした日本の地震学
第1章 プレート説は「現代の天動説」
プレート説とは何か
米ソの冷戦中に誕生したプレート説
プレート説の誕生
プレート説の骨格
宗教色が強いプレート説 -
Posted by ブクログ
地震発生メカニズムとして主流のプレートテクトニクスを全否定、地震の原因は地球内部からのマグマ熱昇流《マントルプリューム》の流れであるとします。確かにプレートテクトニクスは疑問が指摘されているなか、プリュームテクトニクスから導いていく興味深い考え方です。地下で見えないエネルギーの話なので、なかなか理解が追い付きませんでした。本文中の個別地震との関係性の説明は、紙幅の関係からか、やや牽強付会な印象を受けましたが、熱伝導の理屈を火山と地震の関連性に適用し、エビデンスを補強して立証していけば、あるいは、この考えが正しいのかも知れないと思いました。
-
Posted by ブクログ
今年発生した熊本群発地震など、プレート理論では説明できない。
著者はそれに代わる熱移送理論を提唱する。
プレート理論がでてくる前、我が国で主流だった熱機関説に近いものだ。
火山活動と地震とが密接に関連しているというのは、直感的にもしっくり来る。
来年から再来年(2017-18)にMJルート上にある伊豆・相模地域に震度7クラスの地震が来るとの予測が正しいのか、注目される。
著者の理論が正しければ、現在ではほぼ不可能と思われる地震予知への道が開ける可能性がある。
ただ図表と本文はうまく噛み合っていないなど、本書の説明がわかりやすいとは言えない。
最終章の地震対策も総花的で散漫な印象を受け