ヘンリーD・ソローのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
今読みたい、私たちはどう生きるか、の本。
チョボスキー『ウォールフラワー』で出てきて、ずっと読みたいと思っていた本。なかなかすっと読み切れるものではなかったけど、興味深いことがたくさん書いてあった。ソローの実践した生活は、到底できないとあきらめてしまう都会の私だけど、心の持ち方として、この考えに出会えたのはよかった。
森の中で独り、自然の声に耳を傾け、自分の生きる分だけの生産をおこない、読書と思索にふける。産業化が進み始めたソローの時代からかなり世界は進んでしまったけど、持続可能社会やSDGsが言われる今だからこそ、これからの私たちの生活を考えるために、読むべき本なのでは。 -
Posted by ブクログ
ネタバレとある小説にソローの名前と著書の名前が出てきて、気になったので読んだ。思想家でもあったので理屈っぽいし、現代にも残る社会の仕組みが嫌だったからかかなり皮肉っぽい。ただ、自然の中で生きているはずの人類が社会制度や更なる欲に振り回されて「らしさ」なく人生を生きているっていう考えはなるほどなと思う。それはSNSが発達し、ソローが生きた当時より欲が強くなってる現代なら尚更。ソローみたいな生活は無理だけど、一度立ち止まって自然を観察して考えて気づきを得る(視野を広くする)のは必要だよなぁと思う。
ウォールデン湖ってどんな感じだろうとネットで調べると、どうやら観光客や遊泳客による汚染、スポーツフィッシング -
Posted by ブクログ
ネタバレ下巻は上巻より面白かったかも。特に冬にかけてウォールデン池が凍っていき、春にかけて溶けていく過程、氷の構造や強度、透明度や自然現象に伴う変化をつぶさに観察している部分は素晴らしかった。出来たての透明度の高い氷に腹ばいになり、池の底をじっと眺めていられるというのはなんともうらやましい体験だ。他の池の氷との違いも仔細に記し、ソローの学者気質な正確無比の観察記録には舌を巻く。
ただ、上巻で二年の森の生活を経て小屋を離れた理由が下巻にはっきり書いてあるとほのめかされていたように思うのだが、それらしい部分が見当たらなかったのが残念だった(読み落とした?)。あんなに生き生きと森の生活を楽しんでいるのに、ど -
Posted by ブクログ
ネタバレ最近森の隠遁生活系の本をたくさん楽しんだので(前から好きなメイ・サートンもその筋か)、その元祖とでもいうべき本としてよく引かれている「森の生活」も読んでみることにした。しかし、良くも悪くもパイオニアの本であり時代の違いもあって、私が好んで読んできたような隠遁生活とはちょっと違うなと感じた。暮らしというよりは、ソローの思想を記録したものだ。
ソローが森で生活するのは本人が個人的に必要としているためではなく(その住処は実は大して村から離れてもいないが)、人間は本来そうすべきだからそうするのだ、という論調である。
「私が森で暮らしてみようと心に決めたのは、人の生活を作るもとの事実と真正面から向かい