ヘンリー・キッシンジャーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
国際秩序、世界秩序を歴史を追って、また地域に大きく括って説明している。
現在起こっている事象を、このような大きな歴史の流れを理解したうえで、捉えることが重要。
アメリカの国務長官は、原題ではSecretary of State of the United Statesとなり、外務大臣よりも広い意味を持つと思う。(大統領No2的存在)
それが、様々な歴史的知識、経験に裏付けられた人物が就任していることがアメリカの強みでもあるのだろう。
(と感じた)
以下抜粋~
・ヴェストファーレン和平条約は、諸国家の歴史の転換点になった。帝国、王国、宗教的権威ではなく、国家がヨーロッパの秩序の基礎単位であることが確認され、国家の主権という概念が、そこで確立した。
・中東はヴェストファーレン前の宗教戦争とよく似たーだが規模ははるかに大きいー紛争に捕らえられている。国内紛争と国外紛争がたがいを悪化させている。そこでは、政治、宗派、部族、地域、イデオロギー、長年の国益の衝突が、交じり合っている。地政学的な目的の軍務のために、宗教が「武器化」されている。一般市民は、宗派への協力を尺度に吟味される。
・ヒンドゥー教はじつに多様で、単純な定義を受けつけないー独特の神々、哲学的なしきたり、ヨーロッパならべつの宗教と定義つけられるような類似物を、すべてひっくりめているー多種多様な創造物の究極の統一に限りなく近づいたものであるといえる。「人間の現実の探求の歴史が長く多様であることを反映するとともに・・・すべてを抱擁し、無限である」
・ムガール帝国は、インドの多様な影響力を具現していた。宗教はイスラム、民族はトルコ人とモンゴル人、支配階級の文化はペルシアというムガール帝国が、地域のアイデンティティで細分化されていた多数民族のヒンドゥー教徒を支配した。 -
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[大画の大河]シンプルな題名そのままに,国際社会を形作る世界秩序について語り尽くした作品。歴史的にどのような秩序が作られ,現代はその秩序がいったいどこへ向かおうとしているのか......。著者は,『外交』,『回復された世界平和』等の著作を有する元米国務長官のヘンリー・キッシンジャー。訳者は,幅広い分野の翻訳を手がける伏見威蕃。原題は,『World Order』。
国際政治界における「横綱」による一冊だけあり,どっしりと構えて外交の世界について考えるためにはうってつけの作品。世界史や外交史だけでなく,軍事や哲学も援用しながら導き出されるキッシンジャー氏の慧眼ぶりは,やはり読書後の満足感の違いに感じられるかと。
〜自由のない秩序は,つかのま隆盛になって,しばらくつづいたとしても,やがてそれと均衡するものを生み出す。しかしながら自由は,平和を維持する秩序の枠組みなしでは,護ることも維持することもできない。秩序と自由は,表面的な知識では両極端のようにいわれることがあるが,ほんとうはたがいに依存していると解釈されるべきなのだ。〜
老舗の一品を味わった気分☆5つ -
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以下抜粋
・北朝鮮については、もっと緊迫した問題がある。それには19世紀のビスマルクの警句がぴたりとあてはまる。「われわれは不可解な時代に生きている。そこでは強者がためらいゆえに弱く、弱者が厚顔ゆえに強い」。
・「まったく異なるふたつの要素の産物で、他の地域であればこのふたつはたがいに争うことが多かったが、アメリカではなぜか合体することが可能で、すばらしい組み合わせになった。私はいうふたつとは信仰の精神と自由の精神である」と、トクヴィルは結論づけている。
・アメリカ人は倫理的な人々で、私たちが国として信奉している価値観を外交政策に反映することを望む。しかし、アメリカ人は実際的な人々でもあり、外交政策が有効であることも望む。(ジョージ・シュルツ元国務長官)
・哲学者や詩人は昔から、人間の意識の範囲を三つの部分ー情報、知識、そして知恵ーに切り分けてきた。インターネットは情報の領域に集中していて、情報の拡散が幾何学的に容易になった。しかしながら、情報過多は逆に、知識をいまだかつてないほど遠ざけている。 -
Posted by ブクログ
これまでに読んだ国際情勢に関するあらゆる本の中で群を抜いて素晴らしい。キッシンジャーはフォード政権で国務長官を努めた外交のプロであり、ベトナム和平を実現してノーベル平和賞を受賞したほどの大物である。その言葉は重く、優れた歴史観と洞察力を以って、国際情勢を地域別に開設している。
1916年 サイクス・ピコ協定を以って、中東はイギリスとフランスによって分割されることとなった。それは、歴史的根拠が何もないものであり、その後の紛争や戦争の火種を内包したものとなった。
イスラム世界にとっての世界は、ヴェストファーレン体制は世界秩序の考え方として対極にある。国家は世俗的なものであり。国際システムの出発点ではなく、宗教統一への道筋への通過点にすぎない。
アラブの春は、広場に群衆を集めるのには成功したが、独裁政権を倒したその後にどういうものが来るかという考えが欠落していた。 -
Posted by ブクログ
著者はニクソン大統領の大統領補佐官、レーガン大統領の国務長官を務めたキッシンジャー。本書は古代ローマ時代から現代まで世界秩序どのように形作られてきたのかキッシンジャーによる壮大な歴史書である。
本書からはキッシンジャーの徹底的なリアリズムがうかがえる。現在の国際法はヴェストファーレン的な原則が基礎となっているが、ヴェストファーレン体制は戦争の抑止力とはならない。ここで矛盾が生じてくる。第二次大戦後の冷戦は長期化し、国連は無力であった。アメリカは中東など世界の警察の役割を果たしてきたが、さらなる混乱を生むだけであった。アメリカの正義を世界に売り込む時代は終焉したのである。
新たな国際秩序の枠組みが必要に時代に於いて、まさに中国が世界の覇権を握ろうと拡大主義をとろうとしている。地政学的に日本の果たす役割は大きくなってきているのだ。