あらすじ
世界秩序を生み出した歴史的背景を理解できれば、中国、中東の問題点も見えてくる――。
21世紀の国際秩序のありようを、国際関係論の第一人者が歴史的な観点から読み解く。ロングセラー『外交』に匹敵する名著。
本書は、キッシンジャーの『外交(上下)』にならぶ名著『国際秩序』(2016年刊)をビジネス人文庫化するもの。
近代国際法の元となったのは、三十年戦争の講和条約であるヴェストファーレン条約。それ以降、大きな戦争が起きるたびに、「地域における秩序」は確立されてきた。しかし結局のところ、適用範囲が広がれば、「秩序」の考え方を変えてきたのがこれまでの歴史である。
国際秩序がどのように誕生し、変化し、どこに向かうのかを、外交を知り抜いた大戦略家キッシンジャーが語り尽くす極上の世界史。
上巻では、本書のコンセプト明らかにするととも中東問題についての考え方を明らかにする。
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Posted by ブクログ
歴史のキーパーソンの回顧録だ。
近代国際法であるヴェストファーレン条約が、
どのように機能したのか?世界秩序が成り立つていく駆け引きを明らかにする。
Posted by ブクログ
国際秩序、世界秩序を歴史を追って、また地域に大きく括って説明している。
現在起こっている事象を、このような大きな歴史の流れを理解したうえで、捉えることが重要。
アメリカの国務長官は、原題ではSecretary of State of the United Statesとなり、外務大臣よりも広い意味を持つと思う。(大統領No2的存在)
それが、様々な歴史的知識、経験に裏付けられた人物が就任していることがアメリカの強みでもあるのだろう。
(と感じた)
以下抜粋~
・ヴェストファーレン和平条約は、諸国家の歴史の転換点になった。帝国、王国、宗教的権威ではなく、国家がヨーロッパの秩序の基礎単位であることが確認され、国家の主権という概念が、そこで確立した。
・中東はヴェストファーレン前の宗教戦争とよく似たーだが規模ははるかに大きいー紛争に捕らえられている。国内紛争と国外紛争がたがいを悪化させている。そこでは、政治、宗派、部族、地域、イデオロギー、長年の国益の衝突が、交じり合っている。地政学的な目的の軍務のために、宗教が「武器化」されている。一般市民は、宗派への協力を尺度に吟味される。
・ヒンドゥー教はじつに多様で、単純な定義を受けつけないー独特の神々、哲学的なしきたり、ヨーロッパならべつの宗教と定義つけられるような類似物を、すべてひっくりめているー多種多様な創造物の究極の統一に限りなく近づいたものであるといえる。「人間の現実の探求の歴史が長く多様であることを反映するとともに・・・すべてを抱擁し、無限である」
・ムガール帝国は、インドの多様な影響力を具現していた。宗教はイスラム、民族はトルコ人とモンゴル人、支配階級の文化はペルシアというムガール帝国が、地域のアイデンティティで細分化されていた多数民族のヒンドゥー教徒を支配した。