ドナ・タートのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
大学を卒業し、ホービーのところで骨董家具ディーラーとして働くようになったテオの巻。
骨董家具ディーラーの手腕を目覚めさせていくものの、テオの精神は常に綱渡り状態。
話が進むに連れて、テオは弱くなっていってるような気がする。
どんどん(精神的に)身動きができなくなっていくテオ。
自ら身動きできなくなるような選択をしていくテオ。
そんなテオに、次から次へといろんなことが起き、いろんなことが変わっていく。
もう止めたげてー!
いい加減、穏やかに暮らさせてあげてー!
と言いたくなる。
次の「ゴールドフィンチ」④は最終巻だ。
テオが幸せになってハッピーエンドでありますようにと、期待をこめて読み進む。
そのまま冒険の旅に出ちゃえよ!テオ! -
Posted by ブクログ
今年の秋の読書は「ゴールド・フィンチ」にしよう、と思ってまずは①をお取り寄せ。
届いた届いた!涼しくなったら読みだそう!と何気なくぱらぱらとページをめくってそのままINしてしまい、読み終えてしまった・・・。
テオと母親は美術館を散策していて美術館爆破テロに遭い
(それで母親を失ってしまう)美術館から脱出する時に一枚の名画を持ち去る。
中学生のテオが心に大きな傷を受け、自分の居場所と支えをなくし、自棄を起こすこともできない虚無に生きるのが痛ましく、いたたまれない。
それでもだんだんと落ち着いてきたと思ったら・・・!で②に続いてしまうのでちょっとショックを受けた。
いやそもそも、冒頭を読むにどうもハッピー路線に行かない雰囲気ではあるのだが。
②こそ涼しくなったら、秋になったら読もうと思う。
読書の秋を「ゴールド・フィンチ」にしたい。早く届かないかな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ自分の読んだ小説の中で心に残るものベストテンに入る物語だった。主人公のテオを中心に、複雑で運命的な人間関係が織りなされ、その隣で絵画を巡るドラマチックな謎が並走する。
テオとボリス、テオとボービー、この二組の関係性があまりにも好きだったし、特にテオとボリスの狂乱に満ちたベガスから寒々しいニューヨークを経てオランダでのターニングポイントをすぎて少しずつ関係性が変化していく様子が心に残る。人生とは、生きるとは、友情とは愛情とは芸術とは、それらに対する作者の疑問と回答が丹念に丹念に練り上げられた最高作品。4巻が全く長くなく、むしろあっけなく終わってしまって呆然とするくらい面白かった。何度も何度も読み返すものになるに違いない。 -
Posted by ブクログ
(カテゴリ未設定/もう少し考えます)
ピュリッツァー賞受賞作。父には捨てられ、特別な強い絆で結ばれていた母には死に別れた孤独な少年テオの成長物語、とまとめることもできなくはないしそういうお話でもあるのだけれど、それだけではとても収まらない大作。テオは意地の悪い友達のせいでやってもいない喫煙の罰で停学となり、母とともに学校に呼び出される。そこへ向かう途中立ち寄ったメトロポリタン美術館で爆破事件に遭遇、一時的に母と離れ老人と一緒に居た美しい少女に気をとられていたテオ、意識が戻ると少女は見当たらず瀕死の老人に指輪を託され、ひとつの絵画(タイトルにもテーマにもなっているオランダの画家カレル・ファブリティウスによる「ごしきひわ」)を持ち出すように言われてその言葉に従ってしまい意図せず窃盗犯になってしまう。なんとか自宅に戻るが母は爆発で死亡しており、祖父母は彼を引き取りたがらず、学友アンディ(裕福だけれどいじめられっこ)のバーバー家に一時的に身を寄せることに。老人から渡された指輪を持って謎めいた遺言を思い出し訪ねた骨董店で人生の師であり親友であり父親代わりとなる家具職人のホービーに出会い、美術館の少女ピッパとも再会し、心安らぐ時間を持てるようになったテオ(この辺りが読んでいて一番心地よかった部分)、ホービーのもとに通いながらバーバー家にもなじんだ頃に突然父親が愛人を伴ってテオを引き取りに現れ、テオはラスベガスへ。そこで父は酷い男で母親とは死別しているという似た境遇の少年ボリスと出会い、親友を得て悲しみはやや癒されたものの飲酒とドラッグにはまってしまう。ボリスはめちゃくちゃながらもなんとも魅力的な人物。ギャンブルで作った借金で首が回らなくなりテオの信託財産を巻き上げることにも失敗し自暴自棄になった父親と離れ、ニューヨークに戻ったテオは、再びホービーの元へ。ここで時間が飛ぶと、テオは成人してホービーのパートナーとして骨董店を切り盛りしている。表面上は仕事を持ったきちんとした青年のように見えるテオだが、ルシアス・リーヴという謎の人物の出現により、子供の頃から抱えている問題はまるで解決していないことが明かされ、時間が経過しているだけ問題はこじれて複雑になっており、到底解決できそうもなく読んでいてしんどかった。そもそもの冒頭ではテオはアムステルダムに居て、新聞で名前は出ていないが自分のことが殺人事件として載っている、という書き出しから始まっていてずっとここに繋がる物語を子供時代に遡って読んできているので底辺には不安がずっとつきまとい、袋小路に迷い込んだような気持ちで読み進むのですが、4冊目に入るとこれまで丁寧に緻密な作業で綴られてきたあれこれの細かいことを回収する集大成パートに入り、しんどいこともつらい内容もあるものの、回収っぷりが見事で、爽快感さえありました。意外な展開にやや茫然としたまま最後まで読み終えてから、映画関連のサイトや出版社のサイトやその他の解説や感想を読んでから、もう一度最後の集大成の部分をゆっくり時間をかけて再読し、堪能しました。つらい内容が多いのですぐに全体を読み直す気持ちにはなりませんが、いつかまた通しで読みなおしたい気持ちになりました。人は「こうありたい。こうなりたい」と願うことは出来るけれど、願うことしかできないのでした。 -
Posted by ブクログ
自分にとって取り返しのつかないことが起きて、その傷は「修復」出来るかどうかも分からない。
何か優しいもの、明るいものを求める根底に、塞ぎようのない闇があるんだなぁ……。
何でそっちに行ってしまうんだろう、とか、取り返しようはあったんじゃないかとか。
これはホービー的な意見で、一見正しい。
でも、『ゴールドフィンチ』を持つことで彼の生き方は成り立っていて、それは正しいとか正しくないではきっと表せないものがある。
テオは、自分と同じように傷付いたモノを、純粋に探して、探して、より深みに嵌っていく。
だけど、大いなるモノと出逢ってしまったら、それに相応しい物語を演じるしかないのではないか。
それは、『ゴールドフィンチ』であり、美術館爆破テロでもあり、それに出逢ったことで、テオは主人公に「ならざるを得なかった」のだと思う。
勿論、この小説は誰かが書いたもので、そこには自然現象ではない故意や思惑がある。
裏返すと、私たちが目にしている世界の醜悪なニュース達だって、誰かの故意や思惑がある日待ち受けているものだとも言える。
どちらも非常によく似た構造で。
だから、この物語が終わりを迎えることに少し安心をしている自分がいる。
テオが歩んだから、テオには『ゴールドフィンチ』以外に持つべきものを手に入れたとも言える。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ[気高く,つながれて]美術館における爆弾テロで母親を亡くした少年のテオは,事件の現場から一枚の絵をひっそりと持ち出してしまう。心の傷を抱えながら必死に毎日を生きる彼は,ある日,導かれるがごとく一件の骨董品屋に足を運ぶのであるが......。原文で約770頁にも及ぶ長編小説にして,全世界の書評家の絶賛が相次いだマスターピース。著者は,本作でピューリッツァー賞を獲得したドナ・タート。訳者は,同著者の『ひそやかな復讐』の翻訳も手がけた岡真知子。原題は,『The Goldfinch』。
ここまで長大かつ繊細な作品ともなれば,読む人それぞれが読後に異なる感想や印象を受けると思うのですが,私としては決して読んで損なしと胸を張ってオススメできる一冊。自分ではどうにもならない大きな運命にときに敗れながらも,それでもそこにとどまることしかできない人間の悲哀と儚さ,そして何より強さを痛感させられる物語でした。読み終えてしばらくしてから,登場人物たちが自分の中に根を張っているように感じられるこの感覚はいったい何なんだろう......。
〜「この話は,”神の摂理”というより”仮借なき皮肉”という考えに合うんじゃないか」「そうだな--けど,なぜそれに名前なんかつけるんだ?その二つは同じことじゃないのか?」〜
ただただ圧巻☆5つ
※本レビューは1〜4巻を通してのものです。 -
Posted by ブクログ
テオは、絵画を取り戻すためにボリスとオランダへ。一時奪還に成功するが、襲撃に合いまた奪われてしまう。
その際、銃で相手を殺めてしまったことを苦悩するテオ。パスポートもなく、異国の地で脱出もできずに自殺を図った。死にきれずに目を覚ますと、ボリスが大金を携えて現れた。絵画を盗んだ奴らを追跡し、美術警察に通報。他にも大量の盗難絵画が発見され、報奨金をたんまりと手に入れた。テオは、ゴシキヒワの絵画を取り戻すことではなく、無事な状態に返すことが目的だったため、結果的にその目的が果たされることになった。
テオはニューヨークへ帰り、ポッパーにこれまでのことを打ち明ける。
ようやく読み切ったというのが、素直な感想。後半に行けば行くほどテンポ良く話が進んだのは良かった。
現代の都会に生きる、ヒーローにはなれないが普通ではない人の一代記といった感じだろうか。母親の死、父からの愛情不足、精神疾患など、様々なハンディを抱え、テオの今後の人生もそこまで順調とは言えないだろう。ただ、最後で、ボリスやポッパーから、テオの状態を客観視するような意見が出ていたのは、少しだが彼の人生に対して晴れやかな印象を与えていたような気がした。 -
Posted by ブクログ
舞台は8年後。テオは骨董商として歩みを始めるが、その商法はポッパーと違い詐欺まがい。それゆえにかつて高額な棚を売却した客とトラブルとなっていた。ロンドンに住むピッパはボーイフレンドを作っており、彼女への思いを通じないことにフラストレーションをつのらせる。そうした中で、テオは麻薬への依存度をますます深めていた。
ある日、アンディの兄プラットと街中で偶然出会う。彼からアンディとその父の死を知らされ、かつてお世話になったアンディの母バーバー氏を訪ねる。
その後、傷心のアンディの妹キッツィと婚約することで一時の安息を見出すが、それも所詮は世話になったアンディの母を安心させたいという互いの打算の結果によるものだった。キッツィはかつてテオをいじめていたトムとの付き合いを止めていなかった。
婚約者としてキッツィの友人との付き合いに疲れたテオは麻薬を求めて街をふらつくが、そこでラスベガス時代の悪友ボリスと再会する。ボリスから聞かされたのは、ごしきひわの絵を盗んだことに対する告白だった。
婚約パーティ中、ボリスから絵の在処について海外に急ぎ行くことに誘われ、テオは旅立っていった。 -
Posted by ブクログ
2014年度のピューリッツァー賞を受賞した傑作小説。ディケンズを読んでいるかのようにドラマティックかつスリリングなストーリーテリング。日本語版は全4冊という重厚長大な作品であるが、いざページを繰ればあっという間に読み終えてしまった、というのが実感。
物語はレンブラントの弟子であったカレル・ファブリティウスの傑作絵画「The Goldfinch(ごしきひわ)」から始まる。一匹の鳥が静かに佇む絵画を巡り、主人公の少年テオは母と共に訪れた美術館で爆発テロに遭遇し、命は助かるものの、最愛の母を亡くす。奇跡的に生還したテオは爆発によって息絶えようとしている謎の老人の指示に従って絵画を盗み出したところから、歯車は急速に回り出し・・・。
主人公であるテオの成長に従って、極めて魅力的な周辺人物が現れ、物語の舞台もニューヨーク、ラスベガス、アムステルダムと緊張感を増しながら様々に移り変わっていき、一時も読者を飽きさせない。作品のメッセージが何か、という形而上学的な問題はさておき、脳に直結するようなフィジカルなストーリーテリングの面白さが味わえる文学作品はそうそうない。