アトゥール・ガワンデのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本は2年前にある本屋さんの企画で『一万円選書』と言う、本屋さんの質問に答えて人物をわかってもらったうえで、お勧めの本を1万円分チョイスしてもらうと言うのに応募して紹介された本である。
その時に読み始めたものの、途中までで読破しないまま本棚に置いていた。
再度最初から読んでみようと思いたち、読み始めたものの最初は米国における今から40年前の高齢者施策がずっと並んでいて引き込まれることもなかった。やはり自分の読みたい本ではなかったのかなと思いつつ中盤にさしかかるとグングンと迫ってくるモノを感じ、涙しながら読む頁も増えて、一気に読み終えてしまった。
本の中にあった主治医が患者に言った「私は心配し -
Posted by ブクログ
これはぜひ超高齢化社会を生きる日本人全員に読んでほしい。
終末期医療にかかわる筆者が、自らみとった患者の例を共有しながら理想のターミナルケアとは何かを論じる。
例えばがんを宣告されたとしよう。しばらく闘病したのち、打てる手はすべて打って、予後が不良で余命間もないとしよう。主治医が「最後の手段はこちらの新薬です、もしかしたら効くかもしれない(効かないかもしれない)」と提案して来たとして、どこまで戦うべきなのだろうか。それは自分の年齢にもよるかもしれない。若ければ若いほど、治る可能性にかけてしまうかも。でもそれは最善の選択なのだろうか。きかなかった場合は?病院のベットで独り弱りながら最後には口もき -
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Posted by ブクログ
人生の老年期・終末期をどう生きるか、何が自分の幸せなのか、何を犠牲にできるかの指針となる本。
高齢者介護の現場において、生きる目的、生きがいは重要だが、測定しにくい。どうしても生存率や服薬の量など、測定しやすい指標で評価され、しばしば本当に重要なことが蔑ろにされる。
→施設に入っている祖母を見て感じる実態と合致する。
以下本書の印象的な文
人の能力が衰えていくにつれて、〈中略〉その人の生活をより良くしていくためには、純粋な医学的ルールを抑制する必要がある
通常医療のゴールは延命である。そのために今現在の生活の質を犠牲にする
命のために闘うことから、他のことのために闘うことへの転換 -
Posted by ブクログ
人は誰しも死を逃れることができない。年老いて、だんだんと体の自由が効かなくなったり、病を得て病院や療養施設のベッドで日々を過ごすことになったりしながら、人は最後の時を迎える。
だが、自らの最期をどう迎えるのかということについて、明確な意志を持っている人は、いったいどのくらいいるのだろう。「病院ではなく、自宅で最後の時を迎えたい」と思っている人も多いと思うが、はたしてそんな希望を関係機関と相談しつつどう実現させていけばいいのだろう?
この本は、人が最後の時を迎えるに際して、医療や介護、そして本人や家族が何をどう考えるべきかについての大切な示唆を与えてくれる。全人口の3割近くを高齢者が占めるわが国 -
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Posted by ブクログ
死ぬということは暗いイメージしかなかった。でも、死ぬことをしっかりと考えておかないと、死ぬ間際になって後悔するんだろうなと思った。
自分が後悔するだけであればまだいいものの、周囲の人を後悔させることにも繋がることがわかった。
機械につながれて生きるのは、本当に生きてるとはいえない。そんな最後は嫌だと思った。
医学の進歩で、生きながらえさせることは可能だが、豊かに生きることができる人って、少ないと思う。それに、豊かという価値観も人それぞれであるため、豊かに生きる形も人それぞれだと思う。
最後の最後に、悔いを残さないために、今を精一杯生きていくことが大切だと感じた。時間には限りがある。今しか -
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眠るように安らかに死にたい、と、誰もが一度は思ったことでしょう。
しかし、医療の発達した現代では、死は急転直下の如く、突然やってくるものではなく、じわじわとにじり寄るようになってきています。
この本では、そんな「死にゆく人」、余命わずかな人に医学は何ができるのか、私たちがしていることは果たして正しいのか、という点に重きを置いている本です。
日に日に弱っていく父母を見て、少しでも長生きして欲しいと思うことは当然のこと。しかし、いざ自分が死に近づいているとき、同じ感情になるのでしょうか。
チューブだらけで薬の副作用に苦しめられながら死んでいくよりも、少しでも元の生活を取り戻したい、長生きし -
Posted by ブクログ
ネタバレ終末医療のあり方について、実例を踏まえながら書かれていた。人間は誰しもが死ぬわけであり、それは自分自身にも当てはまることであるため、「どう生きるべきか」というよりも「どう死ぬべきなのか」ということに関して考えるきっかけが欲しいと思いこの本を読んだ。読み進めるうちに高齢者の実情が見えてきて、胸が締め付けられるような感情に襲われると同時に、やはり死という現実から目を背けてはいけないのだろうということを感じた。長く生きることによる快楽を苦痛が勝ってしまった時点で、おそらく生きることが辛くなっていくのだろう。当たり前なのかもしれないが、人生はただ長く生きていればいいということではない。どのように生きて
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Posted by ブクログ
これまで読んだ本の中で、もっとも深く考えさせられる本。私たちは「何が原因で死ぬのか」を考え恐れるが、「どのように死ぬのか」、つまり「どのような経過をたどって死を迎えるのか」についてはあまり考えない。そして実際に死が避けられないとわかった時に混乱し、不安のどん底に突き落とされ、決して平穏とは言えない時期を長く過ごす。さらに悪いことに、その場所は病院や施設であり、ほとんど見込みのない(ことが多い)奇跡的回復を信じて、どんな苦痛や屈辱的な状態であっても、最新の医療技術(ただし、その人や家族に最適とは限らない)を受け入れたりする。「死」という不吉で縁起の悪い最悪な話題ではあるが、自分にとっても家族にと