植本一子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
写真家であり、ラッパーのECDの奥さんの日記と私小説のような短文集。
以前『働けECD〜わたしの育児混沌記』を読んで、面白かったので、その続きのつもりで、軽い気持ちで笑って楽しもうと読みだしたが、見事裏切られ腹にズシンとくる内容だった。
筆者の植本さんがこの日記で、「働けECD」の続き物にしたくなかったと書いているように、自分自身を全面にされけ出した本になっている。「女」全開。「自分」全開。
ただただ、ブラックホールのような、マグマのようなパワーに圧倒される。
最初の頃の日記は育児に翻弄される筆者の、もうどうしようもない育児の悩みがつづられる。保育園の先生にも心配されるようになる。子育て中は、みな似たような体験がある。育児とは本当に大変なもので、孤独なもの。自分自身を追いつめるものである。その点で非常に共感できる。外では涼しい顔しているけど、家の中では散々もがき、必死に育児している。そんな等身大の母親(基本的に世の母親達は、皆自分なりの母親像になれなく、もがいていると思う)として応援がしたくなるし、子育ての親として背中を押してもらえるような元気をもらえる。
ただ、今度の本はそれだけでは終わらない。母親との確執、その関係から自分の子供との関係、距離感へ。段々と精神的に追い込まれ、いつの間にか好きな人ができ不倫しつつ離婚をしたいといいながらECDとは別れられず、漫画家の先生にカウンセリングを受けるに至る。
私小説を読んでいるような、どこに行ってしまうのだろうと、まさに生きながらこの人自体が文学という趣。
母親という目線でみると、理解できない部分が多々あるが、この人の日記(ブログ)は正直にさらけ出されていて、描いてある内容はメランコリックなのだが、ある意味すごい強さがあるなと思う。永遠の10代のような純粋さと鈍感さを併せ持つ。
何はともあれECDが、だらしないゴロツキでもなんでもなく、包容力のある不器用な男として魅力あふれて感じられる。
やはりこの本の裏に流れるテーマはECDなのだと思う。ECDという存在なしに植本さんの心情だけでは、ここまで惹きつけられて読めないのではないだろうか。
そして、今年の初めにECDが亡くなった。
改めてYoutubeでラップを観て、カッコよさに痺れた。
動画で子供たちと映るECD(石田さん)のシャイな笑顔に、入院時のさみしげな目つきに、惹きつけられた。
残った子供たちと一子さんが幸せに生きていけるように。本の題名のように「かなわない」ことが世の中にはたくさんあるけど。
ちなみに、一子さんに日記にでてくる本には、あたりが多い。つげ義春の奥さんの藤原マキ「私の絵日記」が紹介されていたが、つげさんもびっくりの面白さ。一子さんもだけど、アーティストの奥さんはやはり只者ではない。 -
Posted by ブクログ
ーーー絶対に、死なれてはならない。ーーー
またとんでもない本が一冊この世に産声を上げた。
家族最後の日、と題された本書は、三人の家族との最後をそれぞれ記している。
母、義弟、そして夫の石田さんだ。
それぞれ何が「最後」なのかも形が全部違っている。
SNSをフォローしているので、あのときのツイートの裏面でこんなことを考えていたのか、こんなことが起きていたのか、と、彼女のその時の心情を思うと、とても、かなしくなったりした。
誰かに対して何かをおもうことについても、日々、日常生活で自分も誰かを無意識に傷つけたり傷つけられたりしているのだろう、といろんなことを考えさせられる。
表面上こうだったからって、人間の心情がそうとは限らない。そんなアタリマエのことをまっすぐに書いている。
石田さんのことで「どうしよう」と思っているのに、石田さんにメールしそうになったり、
お母さんに泣きつきたいとおもったり、TwitterやInstagramのフォロワー数だけが伸びていったり、よくないのにたくさんのいいねをもらったり、でもそこは書けなかったり、ほんとうにほんとうに、植本さんは文章で、写真で、生きる痕跡を残していく。
石田さんのネタで稼ごう!死ぬ前に一花咲かせよう!という発想など、笑けてしまう。
下の娘(えんちゃん)の「とにかくちからをあわせなきゃいけない」など。
石田さんの音楽仲間たちや、シッターをしてくれている仲間たちの話も、ただただありがたかったり、え、とおもったり。
生きているし、生きていく。
ヘビーだけど光がある。 -
Posted by ブクログ
実母との絶縁、義弟の自殺。夫への突然のがん宣告。
「かなわない」から事態は急転する。
手術後、ICUにいる石田さんを見舞った帰り道、疲れて、弱って、誰かに吐き出したいがその相手が見つからない。筆者はふと石田さんにメールしそうになる。そして、気づく。石田さんの携帯はいま、自分が持っている。貴重品は家族が預かることになっているから、今朝から持たされたのだ。
「石田さんにはいま、どうがんばっても届かない。届けられなくなる日が来るかもしれないと思うと、涙が出そうになった。……p.164」
この箇所で何回も泣いてしまう。「かなわない」では泣かなかったのに、これはダメだ。
石田さんはいいとして、親父や義弟や実母のこと、シッターの村田のエピソードなどは、ここまで赤裸々に書いちゃっていいんだろうかと心配になる。が、書いておかないといけない、書かずにはいられないという植本さんの気迫が文章を通して伝わって来る。 -
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EMDR(トラウマ治療)を調べる中で出会った本。
文中に出てくる著者の思考回路が愛着障害、執着や依存を抱えている知人と非常によく似ていて「やっぱりそうか」という気持ちで読み進める。
以下、文中より抜粋
・体感として一日の八割、パートナーのことを考えてしまうようなところがあった。それが異常だってことも自分でわかっていて、これは依存症って認めたくないけど認めざるをえない状況。
(一日八割!まさにこの思考。その中身は相手が自分から離れていくんじゃないかという全てネガティブな感情で、不安がどんどん増幅して一日中頭も心もパニックのような感じ)
・パートナーと連絡がつかないことがあると、いてもたってもいられなくなって、そのループに陥ることが多い。あることないこと考えて、勝手に不安を大きくする。(自分で自分をクタクタにしている感じが特徴的)
著者がEMDR(トラウマ治療)を受け、前向きな思考に変わっていく姿に安堵した。
カウンセリングと言っても、EMDR(トラウマ治療)と認知行動療法は全く別のもの。
EMDRを受ける人々がどう変わっていくのかほかの資料や書物を読んでみたいと思う。
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Posted by ブクログ
前半、読んでいてとても苦しくなった。
わたしもちょうど母との関係に悩んでいたし、これから子どもについて考えていたから。
わたしと似ているところを感じるから、苦しくなる。
同じ心の状態だったことがある。
植本一子ってとっても自由な人なんだ。
そんな人が子育てしたらきっととっても大変なんだろうな。羽を折られたような感覚。
飛びたくても飛べない、それは彼女にとって拷問に近いんだ。
わたしも27歳までそんな生活に憧れていた。
今のわたしは29歳。地に足のついている生活が、たまらなく愛おしく感じている。
わたし自身がドラスティックに変わっていった年齢を、植本一子という他の人生で垣間見ることができた。
時代の違いも楽しい。変わっていくもの、変わらないもの。
わたしも小田急線沿いに住んでいたので、聞き慣れた名前が嬉しい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレすごいものを読んだという気持ち。こんなに正直に自分のことを書ける人ってどれくらいいるのだろう。私も母とは確執があり、育てられ方も似ているので実家のお母さんへの言動、感情はなんとなくわかる。心療内科の先生の言葉もグサッとくる部分があった。一子さんって恋愛体質というか常に好きな人が必要な人で、そこも人に依存してしまう自分と似ている。でも決定的に違うのは、私はこんなに赤裸々に自分のことを書けないよ。本当にすごい。育児に惓んでとんでもなく疲れているのに(いるからか?)、毎日精力的に動く。ライブに行きまくり、仕事で出張もたくさんこなす。エネルギーが凄い。
前半は辛い育児日記、後半は好きな人が出来て苦しむ日記という感じ。
お弁当箱に玄米を詰めて仕事に向かうECDさん、淡々と育児をこなすECDさんの冷静さ、器の大きさを実感した。占いで「ECDさんは長生きする」と言われていたが…。
次はECDさんの本を読みます。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ序盤は東日本大震災が起こり原発に対する恐れとか、デモとか育児の苦しみばっかりで、理解できひん内容からが多かった。そこまで気にしいひんやろ。とゆう気持ちがありつつ、震災後すぐの東京は敏感やったのか。とゆう気づきもあった。
それから、育児の悩みを読んでられへんくなって読み飛ばしたりしてたけど、後半に好きな人ができたと書いてあって衝撃をうけた。
そして親の話。読み飛ばしていた部分も読み出した。人に依存していることでしか生きられない自分、子供の時に愛されなかった自分、それが孤独と向き合えない理由。
植本さんまでの重症さではないものの、一時は考えていたことがある悩み。先生の言葉が腑に落ちることもあって、幼少期の思い出の大切さを改めて痛感する。
こんなに正直に気持ちをさらけ出してもいいんや。
後悔してもいいんや、とびっくりする本。
今まで出会ったことのない本。
石田さんは寛容ですごい人なんやと
お母さんのやっぱりあの人は怖い人やと思ってたとゆう言葉、引っかかってる。
そのへんも植本さんは、一生理解してもらえへんと落ち込んだ瞬間やったんやろうなと思った。