追悼ECDさんと思い、家族最後の日に続き植本さん二冊目。
前作よりも状況がわかっている分若干読みやすいが、後半1/3は読むのが苦しくて、眉をへの字にして読んでいた。
読み終えてから、自分自身の日記に書き綴るのではなく、こうして人の目に晒すことの意味ってなんだろうと考えている。これを読んで救われる人が
...続きを読むいるからと書いてあったが、私にとっては救われるというよりは、なんだろう、自分自身の中に確かに共鳴する部分があり、でもそれは必ずしも気持ちの良い感情ではなくてそっと蓋をしておいたり、べたべた何かで塗り固めたりして普段人目には晒さない奥底にあるものが呼び覚まされるような感じ。だから、苦しい。
これって心理学の領域なんじゃないかな、と思った。不用意に蓋を開けると、溢れ出すようなパンドラの箱。ただ、生きている生身の人間らしさに溢れているのは確か。そして、新鮮な感情というものはその時にしか感じ得ないもので、記録しておくことは絶対に意味があると思った。
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わずかばかりの渡した日記原稿を初めて読み返して、覚えてないことばかりで驚く。ここに書かなければ一生思い出すこともなく、誰にも知られることのなかった日々。こう考えると、記憶は端からこぼれていくものだし、こぼれたものはもう二度と救えない。でもシミのように残るものがあったら、わたしはそれを見つめて書くんだろう。