ウイリアム アイリッシュのレビュー一覧

  • 幻の女〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    素晴らしい読書体験、読後の爽快感と満足感に感動を覚えた。タイムリミットが刻々と迫る焦り、結末が気になってページを捲る手がとまらなかった。これが80年以上前に書かれたとは驚嘆に値する。
    テンポの良いストーリー展開、どんでん返し、そして美しい文章から漂う幻想的な雰囲気と3拍子揃った傑作だと感じた。
    次はぜひ、原書にチャレンジしたい。

    0
    2025年10月13日
  • 幻の女〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    アイリッシュは短編集を中学生の時に読んで好きになり、これもその時に読んだ。
    何十年ぶりかで読んで、ニューヨークのバー、レストラン、劇場などのシーンや、服装、小物のセンスがとてもおしゃれで、アイリッシュは都会派の粋な作家だな、と改めて思った。
    ちょっとサリンジャーに通じる所がある。
    残酷なシーンもあるけど、昔のミステリーって温かみや倫理観がある。
    刑事のバージェスが頭が切れる人で良かったな、って感じ。

    0
    2024年10月17日
  • 幻の女〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    “夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。”


    80年前に出版された古典ミステリーの新訳版。
    無実の罪で死刑判決を受けた主人公の無実の証拠となる女を探していくのだが、章ごとに死刑までのカウントダウンになっておりハラハラしながら読んだ。

    内容も面白かったのだが、詩的な文章がとくに好みだった。
    お洒落な言い回しが随所にあるので、普段ミステリーを読まない方や文学好きも楽しめるのではないだろうか。

    ちょうど読んだ時期が某漫画家さんの悲しい出来事があったあたりなので、作品に携わる人の原作者や名訳をした故稲葉明雄氏へのリスペクトが感じられたのも良かった。(あとがきでは新訳者

    0
    2024年03月06日
  • 幻の女〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    捉えられそうで捉えられない幻の女。

    なぜ真犯人はここまで先回りが出来るのか?と疑問を抱いたときに、突然膨れ上がる違和感がたまらない。

    迫るタイムリミットと真相に気づいてる人はいるの?という焦り。

    推理小説では大概無能な刑事がちゃんと優秀だったことが意外と嬉しかった(笑)

    古典なのに今っぽい。

    0
    2024年01月10日
  • 幻の女〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    無実の罪を着せられたスコット。死刑執行までに彼のアリバイを証明する“幻の女”を探し出すべく、友が立つ。

    夜のニューヨークをさまよい歩く男。どうやらムシャクシャと荒れているようだ。彼スコットは、妻と離婚について争っている最中だった。知らないバーに入ってゆきずりの女と酒を飲み、劇場でショーを見る。少し気が晴れて帰宅すると、刑事たちが待ち構えていた。ベッドで妻が絞殺されていたのだ。アリバイを証明するべく、ゆきずりの女を探し出さねばならない!しかし街へ戻って聞き込みをしても、誰も彼女のことを覚えていない。皆が口をそろえて、スコットが一人で酒を飲み、一人で劇場にいたと言うのだ。彼はそのまま妻の絞殺の疑

    0
    2023年12月17日
  • 幻の女〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    妻と喧嘩し家を飛び出し、その晩はじめて会った女性と、観劇し、食事をする。帰ってきたら妻が殺されていて、殺人の容疑者として逮捕されてしまう。

    唯一自分のアリバイを証言してくれる女性は、誰に聞いても見ていないと言われ...。

    古典ミステリーの傑作といわれるだけあって、とても面白かった。夫婦とは?友情とは?いろいろと考えさせられる。

    まったく予備知識なかったので、

    “夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった“

    という冒頭が名訳として有名なことを知らなかった。

    自分としては、新訳なのに訳し方がいきなり直訳でがっかりした(その後は読みやすい)ので、ここも新しい訳に挑戦

    0
    2023年10月12日
  • 幻の女〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    「幻の女」はおよそ80年前に出版されたミステリー小説だ。しかし今読んでも全く色あせていない。
    冤罪をきせられたスコットの無実を証明するため、アリバイを実証してくれる見知らぬ女性を探す。しかし、バーやレストラン、タクシー、劇場・・・スコットは女性と同伴だったにもかかわらず、誰もがそんな女性は知らないと言う。
    一体誰が嘘をついているのか本当のことを言っているのか。実際にその女性は存在したのか・・・。
    スコットの冤罪を晴らすために親友のロンバートとスコットの恋人キャロルは奔走するが、なかなか決め手に辿り着かない。
    スコットは死刑をまぬがれるのか・・・。
    久しぶりに読み応えのあるミステリーに出会った。

    0
    2023年08月21日
  • 幻の女〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    間違いなくミステリーの傑作。これまだ読んでなかったんだな。びっくりする作品はだいたい二重構造とか、ひとつのことに二つの意味があって、読み終わったら、なんで気づかなかったんだろうって、ちょっと体調とか、冴えてるときだったら、分かってたのにとか思ったりするけど、これは自分がどんなコンディションでも、解ける気がせず。すごい。うまい。
    冒頭のリリカルな表現はもちろんスタイリッシュでいい感じ。別れるときの女のセリフもちょっとクサイくらいあるけど、なんか好きだな。

    0
    2023年02月20日
  • 幻の女〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    こんな面白い推理小説はそう多くない。古典中の古典とのことだが、今読んでもプロットが古くなくてびっくりする。

    0
    2023年01月29日
  • 暗闇へのワルツ

    Posted by ブクログ

    まさかアイリッシュがこんな悲恋の物語を書こうとは思わなかった。
    冒頭、別人になりすました若き淑女の登場から、度重なる齟齬から発覚する、花嫁入替りの事実。その事実が発覚すると同時に主人公の巨万の富を持ち出して逃亡する花嫁。復讐の鬼と化した主人公は1年と1ヶ月と1日を費やし、とうとう彼女を捕まえる。しかし、そこで彼女の巧みな話術によって誑かされ、結局彼女とまた2人の生活を始める。それが彼の正に人生の大きな過ちの始まりだった。
    花嫁の捜索を頼んだ探偵を自ら殺めることで闘争の日々が始まり、拠点を転々とし、ついに私財も底を尽く。彼女に唆されて博打ぺてんを仕掛けたものの、呆気なくばれて、ついに一文無しにな

    0
    2021年01月17日
  • 暗闇へのワルツ

    Posted by ブクログ

    「幻の女」読んで以来、一時期読み漁った作家さん。ストーリー展開は大体いつも同じパターンなのに引き込まれるし、心理描写も興味深いし、表現もなんとも叙情的でロマンチック。美しい言葉、セリフ回しにため息がでます。ヒロインの正体が判明するまでの話だとデュ・モーリア風ですが、この作品ではその後の展開がメインになります。悪女の道徳観念の欠如や狡猾さが分かっているのに、それでも読者も惹きつけられる。それこそルイスのように、理屈じゃなく彼女が彼女であることに魅力があるんです。こんな女性を描ける想像力と文章力。いつまでも読み継がれていってほしいです。

    0
    2009年10月04日
  • 幻の女〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    主人公スコット・ヘンダースンは自宅に帰宅すると、妻の殺人容疑で逮捕されてしまい、死刑判決を受ける。彼は無実を証明するために、親友ジョン・ロンバードや恋人キャロル・リッチマンを頼りに、スコットが事件当時に会った女性の行方を、そして妻殺害の真犯人を探していく。刑事たちはスコットが当日に出会った人々や場所に赴くが、それらしき女性が一向に見当たらないうえに、話が進むにつれて彼の死刑執行が刻々と迫ることもあって、緊張感が増していく。最後の最後で、実は犯人が身近なところにいたという衝撃的な事実が判明する。

    0
    2025年11月29日
  • 幻の女〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    「夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった・・」
    ・・という、ポエミー且つオシャンティ(死語(^^;)な書き出しで有名なクラシックの名作を今更ながら読んでみる事に。

    妻と喧嘩し、家を飛び出したスコットは、とあるバーで“パンプキン”のような帽子をかぶった女に出会います。
    彼はその女性を誘って食事をし、ショーを観てから別れますが、帰宅すると妻が絞殺されていて、スコットはその場にいた警官に殺害容疑で拘束されてしまい・・。

    こ、これは・・読む手が止まらんヤツ!

    スコットのアリバイを証明できる“パンプキン帽子の女(以後、幻の女)”がどこの誰だかわからないどころか、街で聞き込

    0
    2025年09月22日
  • 幻の女〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    比喩表現がいちいち凝っていて面白い
    サスペンスとしても優れているが、文章が読んでいて楽しい作品

    「昔から優秀な機械のように運動能力がずばぬけていて、皮膚でくるまれているよりはレーシングカーのボンネットの下におさまっているほうがいいような男なのである」

    0
    2025年08月17日
  • 幻の女〔新訳版〕

    Posted by ブクログ


    1942年に発表された古典ミステリー
    舞台はニューヨーク
    妻と喧嘩をしたヘンダースンはあてもなく街をさまよう…
    たまたま入ったバーで出会った風変わりな帽子(パンプキンみたいな…)を被った女を誘い、食事をし、劇場でショーを観て別れる
    その後、深夜に帰宅するとヘンダースンを待っていたのは絞殺された妻の死体と刑事たちだった
    警察は夫であるヘンダースンを疑う
    彼のアリバイを証明できるのはバーで出会った女だけ…
    しかし、誰も女を見ていない…
    そしていよいよヘンダースンに有罪の判決が下り死刑が言い渡される
    死刑執行まで87日
    ヘンダースンの友人と恋人が内密に捜査に協力し「幻の女」を追って奔走するが…

    0
    2025年03月26日
  • 幻の女〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    2025.02.09
    新訳版というが、私は初めて読んだ。
    良作。
    昔の作品でもスリリングさが最後まで保たれていることが良かった。
    終章の謎解きが今のものと違って丁寧に細かくされているのが印象的。
    また、訳者あとがきも楽しめた。

    0
    2025年02月09日
  • 幻の女〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ハヤカワの『海外ミステリ・ハンドブック』から。
    こーれは面白かったです!オススメ。

    【あらすじ】
    妻と喧嘩して家を飛び出し、あてもなく街をさまよっていたヘンダースンは、”パンプキンのような”帽子をかぶった見ず知らずの女と出会う。食事をし、劇場でショーを観て、酒を飲んで別れて家に帰ると、待っていたのは絞殺された妻と警察だった――。

    第一章から「死刑執行日の百五十日前」と始まり、続く章もすべてその形式でタイムリミットが近づいていきます。
    死刑執行を待つのみのヘンダースンに代わり、親友であるロンバードが”幻の女”を探すのですが、なかなか一筋縄ではいかず。あらゆる疑念が浮かぶ中で、すっかりロンバー

    0
    2025年01月29日
  • 幻の女〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    妻と喧嘩して家を飛び出したスコットは、バーで特徴的なオレンジ色の帽子を被った女と出会う。食事とショーをともにした後スコットが帰宅すると、家には警察がおり妻が殺されていた。妻の首にはスコットのネクタイが巻き付いていて、彼は殺人の容疑で逮捕されてしまう。スコットはバーで出会った女が自分の無実を証明してくれると思い彼女のことを思い出そうとするが、記憶にあるのは特徴的な帽子だけ。刑事とともにバーやレストラン、劇場をまわりスコットと一緒にいたオレンジの帽子の女を見ていないか尋ねるも、みな口を揃えたように一人でいるスコットしか目撃していないと証言する。そんな中、ついにスコットに死刑判決が下る。
    スコットは

    0
    2024年10月15日
  • 幻の女〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    妻と喧嘩した男は、街で風変わりな帽子をかぶった女と出会う。気晴らしにその女と劇場などで過ごして帰宅すると…。

    どうやら私は海外ミステリー沼に足を踏み入れてしまったみたいだ。

    誰も自分のことを信じてくれない。
    自分は幻を見ていたのか?
    面白くてどんどんはまっていく。

    章立てが「死刑施行日の○○日前」となっているので、迫ってくる執行日に男と同じ気持ちで焦る。ネタバレを見ずに読めて良かった。さすが名作。最後まで面白かった。
    訳者さんのおかげで、海外ミステリ初心者の私でも楽しめた。

    「夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。」
    冒頭の1文。クリスティーとはまた違う魅力

    0
    2024年07月28日
  • 幻の女〔新訳版〕

    Posted by ブクログ


    『夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。』

    一文目にくる文章に惹き込まれました。
    古典ミステリーの随所に見られる詩的な表現や幻の女の手掛かりに手が届きそうで届かない緊張感に一気に読み終えました。

    0
    2023年05月08日