ミハイル・ブルガーコフのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
注訳がとても良かったです。
ブルガーコフのいたソ連はめまぐるしく変わり、革命に内戦等、街や建物も次々と代わる時代だったそうで、内容もバタバタしてます。
犬の心臓はまず倫理に反する内容だし、痛烈過ぎて胸が痛かったです。
可愛いボロボロの犬が、下品な悪党になるなんて...。
めまぐるしく変わる母国を皮肉りながらも、戯曲の要素もあり色々と知れたし楽しめました。
なかなかマニアックな内容でした。
運命の卵はパニック小説でした。
犬の心臓の後だから結構後味悪いです。
大量のカエルと鶏と人が死に、カエルが可哀想でした。
何だかんだと言って、ブルガーコフは動物愛護主義者だったように思えます。
犬の気持 -
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Posted by ブクログ
ウクライナ出身(当時はソ連)の作家による、ソ連の政策などを風刺を交えて痛烈に批判しながらも、それだけには飽き足らずSFなどいろんな要素をぶっ込んで生み出された傑作。と私は思う。
読むのになかなか時間がかかったが、当時のソ連の情勢について詳しくなかったから、ところどころ注で解説してくれたので、面白かった。
当時のソ連の状態を風刺しているが、ソ連だけでなく、人類全体への警告と捉えてもいいかもしれないと読みながら思った。
犬の心臓は、コロフが気の毒で、なんとも言えない読後感だった。フランケンシュタインを連想させた。
運命の卵は山椒魚戦争を連想させた。
しっかり理解し切れたとは全く言えないけれど、物 -
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Posted by ブクログ
現代ロシア文学とまではいかないがソビエト連邦時代に活躍したロシアの作家ミハイル・ブルガーコフを読んでみた。
カテゴライズするのが非常に難しい小説であるが、むりやり当てはめるならSFになるのだろうか。
『犬の心臓』『運命の卵』の両作品とも非常に風刺の効いた作品である。
どちらも天才科学者がとんでもない発明、発見をするはなしであるが、これが面白い。
『犬の心臓』では、人間の若さを維持するために動物の臓器を人間に移植するのだが、あるとき、犬に人間の臓器を移植してみたらという話である。
『運命の卵』は、科学者が偶然、生物の成長を著しくスピードアップさせる光線を発見してしまい、それを政府が悪用した -
Posted by ブクログ
社会主義体制を諷刺する作品を発表したため、
生前は冷遇されたという
20世紀ソヴィエトの作家・戯曲家、
ミハイル・ブルガーコフの中編小説2編。
奇天烈な事態に巻き込まれる人々の
ドタバタが描かれており、
読み進めながら笑ってしまったが、
作品に込められた意図、批判精神を想うと胸が痛くなる。
「犬の心臓」
ロシア革命後のソヴィエト体制下、
人間に虐待された犬を優しい紳士が救ったかに見えたが、
彼=フィリップ・フィリーパヴィチ教授には
マッドサイエンティスティックな目的があった。
犬は教授の実験台になり……。
楳図かずお『洗礼』愛読者もビックリ!
なストーリー(笑)。
教授の思惑 -
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Posted by ブクログ
20世紀ロシア社会がどうこう、ということはさておいて、単純にSFミステリ(もしくはサスペンス、またはパニック)として読み応えが十分でした。
「犬の心臓」はやはり、「フランケンシュタイン」を彷彿させた。
もし「怪物」と「コロフ」を目の前に並べてみたらそれはもうおぞましくて恐ろしくて卒倒してしまうに違いないけれど、多分「怪物」のほうは駆け寄って助け起こしてくれるんじゃないかという気がする。一方、コロフのほうは鼻で笑うだけだろう。
「怪物」のほうはその醜さと不気味さを殊更に強調して描写しているというのもあるけれど、コロフは仕立ての良さそうな服を着せられて(ある程度の)教育も受けていて、さらに市民権 -
Posted by ブクログ
翻訳はうまい
なかなか難儀な作品で、前半は文学協会の編集長が謎の外国人(=悪魔)の予言どほり、路面電車に引かれて死にいたるドタバタで始まる。
そこが魅力的にうつるかどうかは人しだいで、私はかういったサスペンス調が意外と平坦に感じられて、近代文学としてはかなり退屈な方だ。
要するに、この小説は通俗仕立てで、悪魔はモスクワにあらはれるし、魔法を使ふし、巨匠とマルガリータの大恋愛も、街角でばったり出会った一目ぼれといふラヴロマンスもびっくりの粗雑さで、そこが問題だ。
宗教小説の側面もあり、あひまあひまに、ナザレのイエスの挿話がさしはさまれるが、ただの小道具で、結局は第1部はパニック小説と -
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Posted by ブクログ
ネタバレ人間の脳下垂体と精巣を移植する実験の結果、人間化した犬が手術を行った博士たちを混乱に陥れる「犬の心臓」、特殊な光線を浴びることで異常に繁殖した巨大アナコンダが人々を襲う「運命の卵」の二編。いずれの作品にも、人間の手で作り出された生物に翻弄される人々の姿が描かれ、この普遍的なモチーフのために読んでいてそこまで古さを感じなかった。「犬の心臓」では手術を行った博士がことを収めることができたが、「運命の卵」では人は問題を解決することができなかった。このまま破滅的な終幕を迎えるのかと思っていたが、最後はかなりあっさりと話が終わったので、作者が描きたかったのは実験や人為的ミスが混乱を生むところだったのでは
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Posted by ブクログ
二つの話が収録されている。どちらの話も当時のロシアへの痛烈な皮肉があの手この手の表現を尽くしてか書かれていて、ロシアで発禁になるのも仕方がない。逐一注釈が同じページにあるし、最後の解説でもあるのでロシア文学に詳しくなくても楽しめる。著者は劇作家でもあることから劇にも造形が深く、かといって耽美的な描写というのはほぼ縁遠く、比喩表現も喜劇のように読み手に受けることを確信した語り口でテンポ感もある。
何が斬新かって、未来❨それも2、3年先くらい❩を勝手に捏造ししかもあたかも事実のようにピシャリと書いてしまうというところ❨しかも世界的な出来事ではない。注釈は入っている❩。いつか地球が一度滅んで、後の生 -
Posted by ブクログ
『犬の心臓』
物語の筋らしい筋が展開されるまでが冗長すぎるように思う。革命後の社会に対する嫌悪と恐怖がやや粗雑に表出してしまっている印象があり、性急なテンポの文体とも相俟って、あまり面白く読めなかった。風刺のための戯画が、人間や社会というものにどうしようもなく刻み込まれてしまっている深淵に沈潜していこうとしているようには感じられなかった。
ただ、高度に発達した科学技術によって「人間」が「新しい人間」を創造してしまうということはどういうことか、という「創造主」問題には興味を惹かれた。「産み出す」主体(meta-level)と「産み出される」対象(object-level)とが、同じ「人間」で -