あらすじ
ある春の晴れた日、モスクワに悪魔が現れた。黒魔術の教授を名乗る悪魔は、グラスでウオッカを飲む巨大黒ネコら手下を従え、首都に大混乱を巻き起こす。一方で文壇の権威に酷評され絶望に沈む巨匠。彼に全てを捧げるマルガリータは純愛を貫くべく悪魔の助けを借りる。スターリン独裁下の社会を痛烈に笑い飛ばし、人間の善と悪、愛と芸術を問いかける哲学的かつ挑戦的な世界的ベストセラー。
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Posted by ブクログ
翻訳はうまい
なかなか難儀な作品で、前半は文学協会の編集長が謎の外国人(=悪魔)の予言どほり、路面電車に引かれて死にいたるドタバタで始まる。
そこが魅力的にうつるかどうかは人しだいで、私はかういったサスペンス調が意外と平坦に感じられて、近代文学としてはかなり退屈な方だ。
要するに、この小説は通俗仕立てで、悪魔はモスクワにあらはれるし、魔法を使ふし、巨匠とマルガリータの大恋愛も、街角でばったり出会った一目ぼれといふラヴロマンスもびっくりの粗雑さで、そこが問題だ。
宗教小説の側面もあり、あひまあひまに、ナザレのイエスの挿話がさしはさまれるが、ただの小道具で、結局は第1部はパニック小説としての側面しかない。奇想といひつつ、予想できてしまふ。