林佳世子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ最初に大事なことを。「表題にあるような500年の平和なんて無かった」<代替わり毎に兄弟皆殺し、反乱、外征の繰り返し(代替わり毎の兄弟皆殺しは初期だけとはいえ)
そして、オスマン帝国のコンセプトである『イスラム法を用いて、イスラム教徒と非イスラム教徒を平等に支配する』結局これが完成する前に国が滅んだ。ビジネスモデルに問題があったと思われる。ただし、形を変えながらも五百年継続した事は評価されるべきか。
とはいえ、中央集権を指向していたにもかかわらず、徴税権を売却する、戦争には地方領主の軍勢を頼るなど、帝国維持の為の手法が中央集権を弱める方向というのは、緩やかに崩壊したとは言え、やはり崩壊する宿 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最初は何人(なにじん)の国でもなかったオスマン帝国。トルコ人支配の国ではなかったし、最初の領土確立地域はアナトリアではなく、バルカンだった。
アナトリアの遊牧民の国という誤解と「オスマン=トルコ」という見方がこのー冊で大きくひっくり返された。(その誤ったイメージの出所は現在のヨーロッパ界隈の政治によるらしい。)
本書は主に、14世紀から18世紀を対象に書かれている。多くの民族が入り乱れて暮らしていた帝国が変容していき、ー九世紀初頭、民族主義の到来によって解体するまでの過程が鮮明になった。
読ませてもらってありがとうと言いたい本でした。 -
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Posted by ブクログ
トルコ、と聞くと皆はどういうイメージがわくのだろうか。
ある人はトルコアイス、ある人はケパブといった肉料理かもしれない。またある人はなんだかわからいけどイスラムの国という反応かもしれない。
実際私はあまり印象がない。高校で世界史を学ばなかったせいもある。
だからか、以前より中東やイスラムについてはいつかは勉強したいという思いがあった。
とはいえ、この本を実際に手に取ることになるきっかけはテレビであった。Huluで放映された「オスマン帝国外伝 愛と欲望のハレム」だ。何気なく見たら面白いのだ。要はトルコ版の大奥といったストーリーであるが、そこにイスラムの影響、ヨーロッパとの文化的人的 -
Posted by ブクログ
500年の平和、とはオスマン帝国の歴史のうち14世紀から18世紀までのことを指す、と筆者は言っている。その5世紀の中では外征も内乱も起こっているから完全なる平和ではなく、このタイトルに疑問を呈する向きもあるが、パクスロマーナもパクスアメリカーナも、戦争のない状態ではなく民族を超えた覇権によりその勢力内で争う必要がなくなった状態を指している。オスマン帝国は多民族を支配するためにイスラム法の枠組みを活用し、軍事の点では欧州先進国の技術を採り入れ火力の集中使用などではむしろリードした。レコンキスタのような宗教的不寛容から逃れたユダヤ人を受け入れて商業と金融の発達を促した点も含めて、オスマン帝国はパク
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