本文夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
中年にもなり、会社生活定年も見える年になると、自分の生きざまを振り返り、哲学に教えを請いたくなるものだ。
ずいぶん前のWBS スミスの本棚で紹介されていて、その後すぐ購入した。その番組後、この本は注目され一気に注文が殺到したとも聞いた。ずいぶん温めて、読んだもんだ・・・
さすがは哲学者、どう生きるかを教えてくれる。
・幸福になるというのはなるべく不幸にならないということ。大きな不幸がない人は幸福だという。
・真の勝者は、名誉を争う諍いで攻撃されたら、無視する。
・不合理なことに絶望するのは良くない。後々、問題は再検討を受け、論究の的となり大抵結局正しい判断が下される。
・なるべく誰にも腹を立て -
Posted by ブクログ
ショーペンハウアーは十九世紀のドイツの哲学者であり『意志と表象としての世界』という浩瀚な哲学書も残している。だが彼の名を世に知らしめたのは『パルエルガ・ウント・パラリポメナ』と題された数々の随想集であった。本書はその中の最大編「処世術箴言(生活の知恵のためのアフォリズム)」の全訳であり、名文家ショーペンハウアーの魅力を余すところなく伝える好著となっている。
ショーペンハウアーは人生の価値を「人のあり方」「人の有するもの」「人の与える印象」の三つに分け、「人のあり方」に絶対的な価値を置く。「大抵の人が自己の本質そのものよりも、他人の頭脳に映じた自己の本質の映像にむしろ関心をもっている」という -
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Posted by ブクログ
購入してから随分長い間積読状態だったが、いざ読み始めたらその面白さに一気に読み切ってしまった。
人生を知り尽くしたとでも言わんばかりの的確な考察が多く、現代でも十分に通用する。とても160年も前に書かれたものとは思えない。曰く『幸福に対する二大敵手が苦痛と退屈』、曰く『他人の意識のなかに起きることなど(中略)どうあってもかまわない性質のもの』などなど。ところどころに現れる毒のある表現にもニヤッとさせられる。
全体として”一切皆苦”に代表される仏教的な考え方が強いと感じながら読み進めたが、解説を読んでその謎が解けた。
久しぶりに良書に出会えた。 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ三ヶ月ぐらいかけてゆっくり堪能。徹底した厭世ぶり。人が幸福なのは不幸でない状態だとする彼の考え方は自分のそれと同じため、読んでいて気持ちよかったです。
快楽や物質や名誉を得るよりも苦痛を回避するべき。それはこの本に書かれていることであり、自分が普段実践しちゃってることです。そのため筆者によれば自分は幸福なはずです。そうなのかな。ふむ。そうなのかもしれない。
でもでも顧みれば自分が失ってしまったものはあまりにも多い気がします。幸せなぶぶもあればそうじゃない部分もありますね。幸せなんてやっぱり定義しにくいですね。
なかなか興味深かったです。
ショーペンハウアーの孤独は言い訳がましいな。 -
Posted by ブクログ
哲学書を読む楽しみは、個人的に二つあります。
ひとつは自分が何度か考えたことのある問題を、名のある哲学者たちも考えたことがあったのだと発見すること。
もうひとつは自分がこれまで一度も考えたことがない問題を指摘され、世界の見方が一変するときです。
本書は前者に当たります。
幸福は「モノの所有」と「他者との関係」では規定できません。
欲しいモノを手に入れたとしても、手に入れた途端、また新たに欲しいモノが出てきます。いて欲しい人と望ましい関係を築いても、また別の人との関係を望むようになります。
しかも病気になってしまえば、欲しいモノや築きたい人間関係以前に、ただただ健康であることを望むよ -