印南一路のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
意思決定論の専門家、印南一路氏による社会問題の分析。
「高齢者医療費の伸びを放置すれば、国民皆保険制を財政的に維持できない」、この財政問題は二十年ほど問題視されているが、高齢者のQoLという観点からみても、高齢者を不幸にしていると指摘する。社会的入院によって引き起こされる廃用症候群。これはベッドで体を動かさないことが原因となり、関節が動かなくなる、床ずれができる、認知症や抑うつなどの精神症状が現れるなどの状況である。リハビリが効果的だが、現実には医療スタッフが不足しているため、効果的な医療がおこなわれていない。
その原因はなにか。
患者の側には、「介護のために仕事をやめることを含めた費用」よりも「入院させる費用」のほうが小さいことで、入院医療への重要が拡大していることを指摘。
病院側は、医療スタッフに比べてベッド数が多すぎるため、低密度の医療しか提供できないにも化かwらず、重要が大きいため、収入が十分確保できるというインセンティブが働く。
低密度医療は、廃用症候群につながり、それは症状の悪化と要介護状態の深刻化につながり、さらに入院需要が増えるという悪循環。
著書の処方箋は、病院の機能分化(高密度医療とリハビリ医療)と在宅医療・介護を促す自己負担率のデザイン。これにより、一兆五千億円の医療費の適正化と、廃用症候群にならずにすみ高齢者のQoLを高められると指摘する。
「介護のために仕事をやめることを含めた費用」の大きさが高齢者のQoL低迷の遠因であるならば、働き方の改善も大きな社会問題の解決に寄与できるはずである。