小坂井敏晶のレビュー一覧

  • 社会心理学講義 ──<閉ざされた社会>と<開かれた社会>

    Posted by ブクログ

    (社会)心理学の理論をカタログ的に紹介するのではなく、社会心理学はどうあるべきかを中心軸として、行動主義〜認知不協和理論〜少数派の全体への影響の仕方を題材に、論の立て方、実証の歴史をたどるような本。
    少数派の影響が、無意識下で確実に現れる(モスコヴィッシ)というのは勉強になった。

    0
    2021年11月27日
  • 社会心理学講義 ──<閉ざされた社会>と<開かれた社会>

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    • 新しい価値やアイディアはなぜ生まれるのか(297)
    -少数派が行使する影響は盲目的な追従や模倣ではない。常識を見直すきっかけを少数派が与え、そこで新しい発見や創造が生まれる(298)
    -閉鎖系として影響を把握する機能主義的発想を脱し、自己言及的な相互作用を通してシステムが変遷する可能性を見据える必要がある。少数派に影響されるとき、主張内容を超えて、背景にあるイデオロギーや人間像も問い直される。多様な見解が衝突する中で、暗黙の前提を新しい角度から見直す契機が与えられる。こうして多数派の見解にも少数派の立場にも収斂されない新しい着想が現れる。社会という開放システムは異端者を生み続けるおかげで停滞に陥らず、歴史の運動が可能になる。
    -イデオロギー・宗教・科学・迷信・芸術・言語・価値・道徳・常識などの精神的産物は、多くの人々のコミュニケーションによって生成される。
    -人間が複数集まって集団を作ると、そこに規範が生まれる。市民全員が同じ考えに染まる完全な全体主義社会でない限り、多数派に従わない逸脱者が必ず現れる。少数派と多数派との対立を通して新しい価値や思考が誕生する(299)

    • 非連続性は連続性の懐から滲み出てくる。知識は開かれた系をなすから。新発見の源は、過去の遺産の周辺部にすでに潜んでいる(300)

    • 国語が人工的に発展させられる事実:日本、フランスにおける標準語化政策、トルコ語のラテン文字採用、イスラエルのヘブライ語(312)
    -初等義務教育制度、戦争中の兵士動員を通して言語の均一化が進む

    • 太古から続く伝統などというものは、たいていが後の時代になって脚色された虚構である。実際に生じた変化、そして共存する多様性が忘却されるおかげで、民族同一性の連続が錯覚される(e.g.スコットランド「伝統文化」)(314)

    • 血縁の連続性も虚構:文化も血縁も実際には断絶がある(314)
    同一性維持の錯覚(317)
    -同一性と変化をめぐる謎:<部分>の変化にもかかわらず、<全体>はそのまま維持される:テセウスの舟
    -形相の連続性を根拠に同一性は保証できない。それ以外の何かが必要になるが、その何かは舟自体にはない。同一性の根拠は当該対象の外部に隠されている。
    -変化が極めて小さければ、同一性が維持されると我々は認識する。もし人間の感覚に探知されない程度の変化が徐々に生じるならば、同一性が中断された事実に我々は「気づかない」(319)
    -対象の異なる状態を観察者が不断に同一化する。これが同一性の正体。時間の経過を超越して継続する本質が対象の同一性を保証するのではなく、対象の不変を信じる外部の観察者が対象の同一性錯視を生む。同一性の根拠は対象の内在的状態にではなく、同一「化」という運動に求めなければならない(320)

    0
    2021年03月11日
  • 社会心理学講義 ──<閉ざされた社会>と<開かれた社会>

    Posted by ブクログ

    大著、或いは出来のよくないパッチワーク。
    筆者が疑えと言っているのに、筆者自身が無批判に過去の研究をつなぎ合わせている。
    哲学的な部分はまさにそうで、浅いところがある。

    0
    2017年09月11日