p3 世界から答えが消え去った。〜<正しさ>を定める源泉は、もはや失われた。
p4 遠くから眺めるか近づいて凝視するかによって、世界は異なる姿を現す。しかし〜異邦人という位置〜遠くにあると同時に近いところ〜境界的視野に現れる世界
p8 「答えのない世界に生きる」これは、混沌とする社会に生きながらも答
...続きを読むえを探せというメッセージではない。
p9 「正しい世界に近づこう」「社会を少しでも良くしたい」この常識がそもそも問題だ。「地獄への道は善意で敷き詰められている」
p18 知識が思考の邪魔をする
p20 第三世界への技術導入がしばしば失敗に終わるのは、〜導入される異文化要素と互換性のない知恵があるからだ。
#異なる個体のタンパク質を拒絶するのに似ている?異文化の知恵を“アミノ酸“に分解して再合成すればよい?
p29 「アイデアは簡潔な形をとって突然にひらめき、絶対に正しいという確信を伴って現れる」ポアンカレは、こう指摘した。古い世界観の結晶構造が溶解し、絡み合っていた要素群が分解され、新しい結晶構造へと再編成される。
p32 矛盾に陥った時に〜矛盾はまさしく、従来の理論に問題があると示唆している。
p33 矛盾を前に妥協してはならない。〜矛盾を突き詰める姿勢から画期的なアイデアが生み出される。
p34 当然視されている前提を疑う方が斬新な新理論を生む。
p43 矛盾に対して安易な妥協を求めてはならない。逆に矛盾を極限まで突き詰める意思が世界観の再構成を胎動させる。
p46 独創性の呪縛から解放されよう。他人の目を気にせず、自分の疑問だけを追えばよい。〜自らの実存的問いを追い続ける人間も、答えを他の人が提示していないかと、まず、探す。〜しかし誰も満足な答えを与えてくれないから、仕方なしに自分で探すのである。
p48 大切なのは、答えよりも問いである。科学でも哲学でも常識と距離を取ることが最も重要だ。
p52 自らの問いを持つ大切さ。〜心の叫びに苦悩する者だけが宗教の道に進めばよい。〜自分で解かずにはいられない問題があるから自然と研究生活に入るのではないか。
p53 「いつしか日本のシッダールタか、現代の親鸞になりたい」〜「そんなものより、小坂井敏晶になれ」
#泣きそうだ!
p54 常識と戦う重要性〜常識を崩した後に、思考をどう紡ぐか。〜矛盾をどう解くか。妥協してはならない。〜「正言若反(真理は偽りのように響く)」
p58 そして禁止がなければ、ドラマは生まれない。
p63 日本の人口は百年ほどで総入れ替えされる。〜集団同一性がなぜ維持されるのか。
#これも動的平衡と呼べるか。全てが一日で入れ替わるなら同一性の保持は難しいのではないか。系の維持。有性生殖では世代が進むごとに遺伝情報は1/2となる。しかし家系では純血が維持される。
p81 こうして私は<開かれた社会>を把握した。社会には必ず逸脱者が生まれ、それが契機となり社会が変遷する。
p92 人文系学問は無駄だという世論が〜大切なのは知識を積むことではない。教育の本質は常識の破壊にある。それは真理が存在しないからだ。<正しい世界>という表現が無意味だからである。
p94 作家・坂口安吾は言った〜親がなきゃ、子供はもっと、立派に育つよ。
p101 教師は生徒を家畜と間違えているのか。
#相手に対する不安が「力」を発動させる。威張っている人ほど不安が大きい。
p136 社会は開かれたシステムである。異端視が必ず生まれ、社会を変える。開かれた社会という考えには誰でも賛成する。しかし、その意味〜「究極的真理や普遍的価値は存在しない」
p138 悪い行為だから非難されるのではない。我々が非難する行為が悪と呼ばれるのである。
〜何が正しいかは結果論だ。社会の支配的価値に対して逸脱者・少数派が反旗を翻す。安定した環境に楔を打ち込み、システムを不安定な状態にする。〜次なる安定状態が生まれ、社会が変遷する。
p139 普遍的価値は<閉ざされた社会>に現れる心綺楼だ。
#本質を語る人々はこの苦い薬を飲まねばならない。
p140 「正しい答えが存在しないから、正しい世界の姿が絶対にわからないからこそ、人間社会のあり方を問い続けなければならない」
p202 人間の運命など、ほんの小さなきっかけで変わる。今居る位置を自分で選びとったと考えること自体、尊大な態度である。
p206 「立派な役立たずになれるよう、俺も頑張ろう」
p207 「迷う必要などない。迷うような人間はそもそも俳優になど絶対になれないから」〜才能なんて関係ない。理由はわからないが、やらずにいられない。他にやることがない。だからやる。そんな人が俳優になるのだろう。
p247 考えるとは迷うことであり、身体運動である。
p254 「魚の目に水見えず」常識が目を眩ませる。
p259 人生に成功するとはどういうことか。〜成功していないと感じるのは、自分のやりたいことができていないからに違いない。
p298 どうしても解けない問題は世の中にたくさんある。なぜ貧困家庭に生まれたのか、〜なぜ、他でもない我が子が殺されねばならなかったのか。〜貧富の差を減らす政策を練る〜、法制度の厳罰化を通して犯罪防止に〜。しかし、そのような答えでは問題の本質に到底届かない。
#本質が出てきた。。
p301 人間社会は二種類の最終原因を捏造した。一つは<外部>に投影される神や天である。〜そして近代が創出した、もう一つの最終原因が自由意志だ。神を殺し、<外部>に最終原因を見失った近代は、自由意志と称する別の主体を<内部>に捏造する。これが自己責任という呪文の正体である。
p303 私がぶつかった問題には、先達がすでに答えを出していた。〜だが、それでよいではないか。時間が許す限り、力のある限り自らの疑問につき合えばよい。プラトンが、あるいは仏教がすでに答えていたと、人生を終える時に気づいたってよい。
p349 私は大学に一応勤めてはいるけれど、同僚と関心が離れていく〜結局、同僚とは違う職業に就いていると気づきました。〜自分の好きに生きる。〜皆が皆同じことをする必要はありません。〜出世コースを歩む道もあるし、他のやり方もある。〜そんな当たり前のことに、やっと最近気づきました。