小坂井敏晶のレビュー一覧

  • 社会心理学講義 ──<閉ざされた社会>と<開かれた社会>

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    本の内容を理解するのは大変で時間もかかるが、とっても興味深い本である。
    意思から行動するのではなく、行動した後に意思ができる。

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    2014年01月21日
  • 社会心理学講義 ──<閉ざされた社会>と<開かれた社会>

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    「意志は行為の出発点ではなく、後から作られたもの」、「自由であることが支配を維持する」など逆説的な内容が刺激的でした。
    意志が後から作られたものだとすると、自分たちが心の中に持っている悩みはそれほど大げさに考える必要はないんじゃないかと思えてくる。

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    2013年12月28日
  • 社会心理学講義 ──<閉ざされた社会>と<開かれた社会>

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    経済雑誌で紹介されていた。

    とても面白かった。
    現在の社会心理学の現実が極めてうまくまとめてあり、
    心理学専攻の学生でなくても十分に楽しめる内容だった。

    特に、ホロコーストに関する研究をまとめ考察した部分が興味深かった。
    (ホロコーストの実際の担い手は、反ユダヤ人主義のナチス・エリートではなく、戦場には赴くには年をとりすぎた普通の人々であり、
    そういう人々が、合理的・効率的に行えるように、
    つまり心理的負担が少なく行えるように、
    作業分担や、銃殺ではなく毒ガス室の利用開始、反ユダヤのプロパガンダが必要だった、という考察)

    理解しきれていない部分があるので、是非、再読に必要がある。

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    2013年11月24日
  • 社会心理学講義 ──<閉ざされた社会>と<開かれた社会>

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    大学の講義をもとにして書いた本であるそうだが、社会心理学を初めて学ぶ学生ではなく、ステップアップとして読むと、とても役立つと思う。しかし、これを読んでしまうとなかなか卒論を書く事は難しいかもしれないが、理解すればすごい論文がかけるであろう。大学院生向けの本かもしれない。

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    2013年11月23日
  • 増補 民族という虚構

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    タイトルからは想像もつかないほどに深い、良い本だった。
    イデオロギーに利用されるもろもろの概念は「虚構」であって、「民族」という概念もまたそうである。
    この概念はどこから生成してくるかというと、著者は「範疇化」という言葉を使って説明する。
    「範疇化によって複数の集団が区別され、民族として把握される。同一性が初めにあるのではなく、その反対に、差異化の運動が同一性を後から構成するのである。」(p.29)
    自己の集団への愛着・贔屓や、差別といったものもすべてこの「範疇化」によって生まれてくる。
    そして、厳密にはものとものとはあらゆる点にわたって差異を持っているのであって、たとえば「黒人vs.白人」と

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    2011年10月25日
  • 増補 責任という虚構

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    ホロコーストや死刑制度といった具体例を起点に,「責任」の性質を心理学的観点から論じた本。補考案では分析哲学の手法も導入されている。

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    2025年11月01日
  • 格差という虚構

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    本の内容にほぼほぼ同意。内因というものは存在せず、偶然や遺伝や環境のような外因にすべて起因するということは、この本を読む前から私は感じていた。それをうまいこと言語化してくれている。格差の低層の方々によく言われる努力不足、つまり自己責任論がよく取り上げられるが、この論理を用いることで、そもそも外因なのだから努力とか遺伝とか議論すること自体が間違えていると指摘している。

    また人の嫉妬や劣等感がどのように発生するかに焦点を当てて、格差を小さくすることによる問題についても議論している。

    内容は良いのだが、内容が少し冗長でもう少しまとめられた気はする。

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    2025年05月25日
  • 格差という虚構

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    競争時に配役が決まり、同時に台本、いわゆる物語を意識下に作成する。物語の生成においては、それまでの教育や経験によるバイアスや文脈が読み込まれ、それにより配役に序列が組み込まれる。バイアスの一つが権威主義によるメリトクラシーだが、そこに「格差」が生まれるのだ。それが「序列や役割」となり、前提に「能力差や資産の差」が作用するというわけだ。

    その「格差」が虚構であるという。当然、認知により作られる物語だから、虚構だろう。だが、あなたがファーストフードのクーポンを探している同じ時間に、自家用ジェットでランチを取りながらバカンスに向かう家族が存在するのは現実である。それは虚構だと言ってもどうにもならな

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    2025年04月20日
  • 社会心理学講義 ──<閉ざされた社会>と<開かれた社会>

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    前半は研究などを交えて心理学を紹介している。ファーストアンドスローやhuman kindなどで読んだ内容が多いが説明が厚めでより理解か深まった。特に認知不協和はページがさかれている。終盤は日本人や日本文化について書かれていて良い観点がえられた。

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    2023年11月12日
  • 神の亡霊 近代という物語

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    宗教にの特集で朝日新聞の読書欄の推薦本である。本人はフランスで社会心理学を教えている日本人である。また、この本は東大のUPで連載したものに注を加えたものとなっている。したがって、11章に分かれているが、本文よりも注の方が長い。東大生すべてがUPを読んでいるわけではないが、注を参照しながら読むと、かなり勉強になると思われる。注の方が難しいような気がする。

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    2023年07月16日
  • 増補 責任という虚構

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    ネタバレ

    実験から導かれる結果では、人の行動は権威に弱く、同調圧力に流され、役割を与えられると演じようとする。さらに、意思決定以前に脳内では活動が始まっていることも測定されている。
    そこから自由意志を否定しながら、責任論を哲学的に考察する。禅問答のようになって当然結論は出ないのだが、そのままでは秩序ある社会は回っていかない。
    だから、もやもやしていても、多数決が正義と決めつけて、どこで線引きするか決めつけながら、進んでいくしかないのでしょうね。
    まあ、数々の実験の結果が正しいかどうかは諸説あるようですが、行きつくところはそれほど変わらないかもしれません。

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    2024年04月30日
  • 増補 民族という虚構

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    ネタバレ

    個人ー集合を連続させるものとして、人間という生きものの思考や認識の仕方そのものなどから、「虚構」といういわばシステムを洗い出し、ひとつずつ紐解いてゆく論著に感じた。人間存在の目は生まれつき脳によって「事実と異なってもその前後と連続する記憶」と事実をすり替えやすい構造を待ち、さらには育った集合によって、どうしてもバイアスがかかってゆく。しかしその錯視こそ、集合体をそれたらしめるものであるとのこと。個人的には、「前世代の戦争責任を後の世代が負う責任はあるのか」の章がとても興味深かった。共同体に属することによって利を得ている以上、その共同体の連続に(良しにしろ悪しきにしろ)寄与してきた過去の責任は構

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    2022年12月31日
  • 答えのない世界を生きる

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    自分の頭で考え自分の言葉で話すこと、価値観の崩壊を恐れないこと、多面的にものごとを捉えるようにすること
    人生を考え直す良いきっかけとなりました
    人とたくさん議論を交わせるようにしていきたいです

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    2022年01月31日
  • 社会心理学講義 ──<閉ざされた社会>と<開かれた社会>

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    ネタバレ

    同一性と変化という観点を通して人間とは何かという問いについて考察される書とのこと。いくつかの書籍で引用されており、前から気になっていた本。
    社会、人間についての理解を深め、今後の人生に活かすべく読書。

    メモ
    ・客観性の追求は主観性の絶え間ない相対化の努力に支えられる。

    ・自分がしなくても他の人がやるだろうと安心すると責任感が希薄になり、犯罪阻止したり、救助の手を差し伸べる気持ちが鈍る。

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    2021年07月24日
  • 答えのない世界を生きる

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    ネタバレ

    第一章に記された「自分の頭で考えるためには、どうしたらよいか。専門用語を避けて平易な言葉で語る。これが第一歩だ。」という一文、
    また第二章の「思考枠を感情が変える」の内容全体、
    これらが、日常の忙しさにかまけて、早く(安易に)回答を知りたがる自分にとって、とても印象深いメッセージになりました。「うむ、読んで良かった!」という実感です。

    ただし、構成には少し戸惑いました。
    後半の第四章以降は、前半とはがらりと変わって著者の自叙伝のような内容。
    私はこの本を手に取った動機が「筆者の主張を論理的に系統たてて読み解こう」であったので後半に入った時に退屈さを感じてしまいました。
    しかし、その後半も読み

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    2021年05月07日
  • 答えのない世界を生きる

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    ネタバレ

    根本論の話であり、非常に興味深く面白い一冊。

    メモ
    ・勉強は知識の蓄積ではなく、壊すことの方が大切。慣れた思考枠を見直す。
    ・異質なぶつかり合いを通して矛盾に気づく。矛盾との格闘から新しい着想が生まれる。矛盾や対立がなければ常識を見直す躍動は起きない。
    ☆他人との比較で考えている時点で、そもそも独創的でない。
    ・答えでなく、問いを学ぶ。考え方自体を学ぶ。哲学や社会科学では。答えをすぐに出そうとすると現実を正視せず、根本的な問題から逃げてしまっていることがしばしば。
    ・自分の頭で考えるには、専門用語を避けて平易な言葉で語る。基礎的な事柄ほど難しい。
    ・型こそが自由な思考を可能にする。認識枠が共

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    2021年03月29日
  • 増補 責任という虚構

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    べき論も倫理も道徳も「人間の現実から目を背けて祈りを捧げているだけ」の「雨乞いの踊り」にすぎない

    ブラックボックスの最後の扉を開けたとき、内部ではなく外部につながる逆転の位相幾何学
    虚構の物語

    近代における神の代役
    個人の内部に宿る「とされる」自由意志

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    2021年01月01日
  • 増補 民族という虚構

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    全て飲み込めてないが、ひとまず
    私の卒論の結論と、重なるところがあって、運命だーと思って、引用するー
    私たぶんこの方の本好きそう。面白い!

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    2020年11月18日
  • 増補 責任という虚構

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    正直長いし、読むのに時間をかけすぎた。むしろ尾崎さんの解説が端的にまとめられていてわかりやすかった。ナチスの実験はなかなかに興味深かった。
    責任が分散化されると所在が曖昧になる、というのは今も便利に使用されている。
    線を引きながら読んだので、時間をあけてから再読したい。

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    2020年10月23日
  • 増補 責任という虚構

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    責任を根拠付ける自由意志は存在するのか、虚構とは何を意味するのか。著者は実証科学の知見に従いながら、丹念に規範論に挑戦していく。文庫版に補考が加筆され、著者の問題意識がより明確に示されたのは、本作全体を理解する上で大変助けになった。

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    2020年05月05日