小坂井敏晶のレビュー一覧

  • 答えのない世界を生きる
    マイページ毎に脳震盪が直撃するような感覚になる稀有な本。

    自分の頭で考えることの重要性を謳われて久しいが、真に考えるということを今までにないほど、ストレートにぶつけてくる。

    自身の思考枠にヒビが入る。
    それは痺れるような快感だ。

    何なんだこの本は。
    畢竟、独学に勝るものなし。
  • 答えのない世界を生きる
     「世の中のあらゆることに、絶対的な正解などありはしない」と教える本です。半分は著者の自伝でもあります。

     第一章「知識とは何か」、第二章「自分の頭で考えるために」まではまだ大人しいのですが、第三章「文化系学問は役に立つのか」の辺りから過激になっていきます。「大切なのは知識を積むことではない。教育...続きを読む
  • 答えのない世界を生きる
    ライフネットの出口氏がゴリ押ししていた本書。国際人というのは、どこにいても自然に生きられる人であるのに対し、異邦人とは、どこにいても周囲に常に違和感を覚える人。普遍的な心理や正しい生き方など存在しないという前提のもとに、ひたすら問い考え続ける生き方について説く。主観と客観、内側と外側、人生におけるあ...続きを読む
  • 答えのない世界を生きる
    ライフネット生命の出口会長推薦の本。少し前から読みたいと思っていたが、出張の移動時間を利用して読むことができた。作者の学問へのスタイルを形成する要因となった後半部分の作者の半生が、かなりぶっちゃけた内容が続くので、ぐいぐい引き込まれていく。後半スピードアップする感じだ。面白いおっちゃんである。
    自他...続きを読む
  • 社会心理学講義 ──<閉ざされた社会>と<開かれた社会>
    社会心理学を切り口にしているが、これは「人間とは何か」、「社会とは何か」について、従来拠り所とされてきた「常識」を覆し、筆者独自の視点からそれらの問いに答えた稀有の書である。
    あまりに扱われているコンテンツが豊富過ぎて、一読しただけでは消化不良であった。何度も読み返しながら、自分の思考を深める機会に...続きを読む
  • 社会心理学講義 ──<閉ざされた社会>と<開かれた社会>
    ・実験は発見を可能にする技術であり、証明するための道具ではない
    ・子どもが夜泣きで健康を崩すと、フランスの小児科医は子どもにではなく、親に睡眠薬を与えます。なぜでしょうか。夜泣きのために親が眠れずイライラする。すると親のストレスを敏感に子どもが感じ取り、夜泣きする。そこでまた親は眠れず、ストレスが強...続きを読む
  • 社会心理学講義 ──<閉ざされた社会>と<開かれた社会>
    『世界や歴史の根源的な恣意性あるいは虚構性を熟知していた点がその理由の一つだと思います。

    つまり世界に普遍的な真理はない、我々の目に映る真理は人間の相互作用が生み出すという世界観です。

    真理だから同意するのではない。悪い行為だから非難するのでもなければ、美しいから愛するのでもない。

    方向が逆で...続きを読む
  • 社会心理学講義 ──<閉ざされた社会>と<開かれた社会>
    本質という確たる存在があるのではなく、すべては関係性の中でとらえられるということが腑に落ちた。
    日常でよくある、どこかに確かな真理たるものや結論、責任さがしをすることの虚しさが理解できた。
    何回も読まないとなかなか理解には至らないが、人間と社会を考察するために非常に有益だった。
  • 社会心理学講義 ──<閉ざされた社会>と<開かれた社会>
    かつて同著者の『民族という虚構』(ちくま学芸文庫)を読んで非常に共鳴するところ多く、感銘を受けたので、この本を買ってみたのだった。「選書」に収まった地味なパッケージで、書名も、心理学に興味のある人以外は手に取らなさそうなものであるが、これは凄く良い本だ。できるだけ多くの方に読んで欲しい。いずれちくま...続きを読む
  • 社会心理学講義 ──<閉ざされた社会>と<開かれた社会>
    ライフネットの出口さんの書評より、読んでみたのですが、数々の"常識"を揺るがすような実験や引用、言葉が多く、思考させられる刺激的な本でした。
  • 社会心理学講義 ──<閉ざされた社会>と<開かれた社会>
    心理学の理論から社会制度や人間の本質に切り込んでいくところが何とも迫力がある。世の中虚構があふれているが、それ故に成り立っているというのは正しくその通りだろう。
  • 社会心理学講義 ──<閉ざされた社会>と<開かれた社会>
    本の内容を理解するのは大変で時間もかかるが、とっても興味深い本である。
    意思から行動するのではなく、行動した後に意思ができる。
  • 社会心理学講義 ──<閉ざされた社会>と<開かれた社会>
    「意志は行為の出発点ではなく、後から作られたもの」、「自由であることが支配を維持する」など逆説的な内容が刺激的でした。
    意志が後から作られたものだとすると、自分たちが心の中に持っている悩みはそれほど大げさに考える必要はないんじゃないかと思えてくる。
  • 社会心理学講義 ──<閉ざされた社会>と<開かれた社会>
    経済雑誌で紹介されていた。

    とても面白かった。
    現在の社会心理学の現実が極めてうまくまとめてあり、
    心理学専攻の学生でなくても十分に楽しめる内容だった。

    特に、ホロコーストに関する研究をまとめ考察した部分が興味深かった。
    (ホロコーストの実際の担い手は、反ユダヤ人主義のナチス・エリートではなく、...続きを読む
  • 社会心理学講義 ──<閉ざされた社会>と<開かれた社会>
    大学の講義をもとにして書いた本であるそうだが、社会心理学を初めて学ぶ学生ではなく、ステップアップとして読むと、とても役立つと思う。しかし、これを読んでしまうとなかなか卒論を書く事は難しいかもしれないが、理解すればすごい論文がかけるであろう。大学院生向けの本かもしれない。
  • 社会心理学講義 ──<閉ざされた社会>と<開かれた社会>
    *****
    じっくり時間をかけて読んだのでまだ消化しきれてない。
    人を、社会を、心をどうやって捉えるか、
    読みながら自分の根本的な考え方を参照できる良書。
    *****
    「社会」の「変化」という概念が長らく論理矛盾を起こしてきていた、というのは新たな着眼点であった。その違いは、社会を「理想状態がある閉...続きを読む
  • 増補 民族という虚構
    タイトルからは想像もつかないほどに深い、良い本だった。
    イデオロギーに利用されるもろもろの概念は「虚構」であって、「民族」という概念もまたそうである。
    この概念はどこから生成してくるかというと、著者は「範疇化」という言葉を使って説明する。
    「範疇化によって複数の集団が区別され、民族として把握される。...続きを読む
  • 社会心理学講義 ──<閉ざされた社会>と<開かれた社会>
    前半は研究などを交えて心理学を紹介している。ファーストアンドスローやhuman kindなどで読んだ内容が多いが説明が厚めでより理解か深まった。特に認知不協和はページがさかれている。終盤は日本人や日本文化について書かれていて良い観点がえられた。
  • 神の亡霊 近代という物語
    宗教にの特集で朝日新聞の読書欄の推薦本である。本人はフランスで社会心理学を教えている日本人である。また、この本は東大のUPで連載したものに注を加えたものとなっている。したがって、11章に分かれているが、本文よりも注の方が長い。東大生すべてがUPを読んでいるわけではないが、注を参照しながら読むと、かな...続きを読む
  • 増補 責任という虚構
    実験から導かれる結果では、人の行動は権威に弱く、同調圧力に流され、役割を与えられると演じようとする。さらに、意思決定以前に脳内では活動が始まっていることも測定されている。
    そこから自由意志を否定しながら、責任論を哲学的に考察する。禅問答のようになって当然結論は出ないのだが、そのままでは秩序ある社会は...続きを読む