ポール・アダムのレビュー一覧
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ヴァイオリン職人が探偵役のミステリ、シリーズ2作目。
ヴァイオリンをめぐる事件や、音楽がらみの薀蓄が新鮮でした。
初老のジャンニ・カスティリョーネは、名ヴァイオリン職人。
200年前に活躍した天才ヴァイオリニスト、パガニーニが愛用した名器が修理のために持ち込まれます。
コンサートを前にした若きヴァイオリニストとのふとした出会いに、父親めいた感情を抱くジャンニ。
ジャンニも知るディーラーが事件に逢い、金庫には黄金のヴァイオリンが残されていた。
友人のクレモナ警察の刑事アントニオに協力を依頼されたジャンニは、事情を調べ始めます。
若い友人のアントニオは、ジャンニの薀蓄と推理を頼りにしているんですね。
枯れた雰囲気のジャンニですが、一人暮らしでも料理はてきぱきと。しかも実は知的な美女と、大人の関係に。
さすが、イタリア☆
パガニーニのパトロンだった女公エリーザは、ナポレオンの妹。悪魔のような才能に溢れたパガニーニの、きらびやかだが不安定だった生涯。
心の交流がうかがえる歴史の一こまに思い馳せたり。
渋いようで、味わい深い、なかなかの佳作でした。 -
Posted by ブクログ
イギリスの作家ポール・アダム、2004年発表の小説。主にイタリアが舞台となるヴァイオリンにまつわる歴史ミステリー?怒濤の蘊蓄が楽しめます。
イギリスの作家が書いたとは思えないくらいのイタリアンな作品。主人公は初老のヴァイオリン職人。超一級の腕前の職人のようです。友人のヴァイオリン職人が殺され、彼がストラディヴァリの最高傑作と言われる「メシア」と同等のヴァイオリンを探していたことから、警察に協力、彼の足跡を辿ります。しかし、その過程で有名なコレクターがまた殺害され・・・。
一応殺人事件の捜査の話なのですが、物語の焦点は完全に失われたヴァイオリンの探求です。イタリア各地を飛び回り、イギリスの荒涼としたヒースの丘の朽ちかけた屋敷へも足を伸ばし、古文書や古い絵画に手がかりを求め・・・。
ヴァイオリンやその職人の技、ヴァイオリンの音楽、さらにはこの業界の裏の部分にまで蘊蓄が語られ、音楽好きにとっては非常に興味深く楽しい作品です。イタリア人が主人公ですがイタリアの風土への舌鋒も鋭く、特にヴェネツィアへの批評はなかなか厳しくて、訪れたことの無い私には真否の程はわからないものの痛快。またクラシック音楽への溢れるような愛情もひしひしと感じられ、読んでる途中でバッハのシャコンヌが無性に聴きたくなって来ます。
犯人探しは付けたし、みたいな感があり、ミステリーとしてはどうなのかなと思う点も無くはないですが、でもとても面白く興味深い作品。良いです。 -
Posted by ブクログ
ヴァイオリン製作の聖地、イタリアはクレモナ。そのクレモナのヴァイオリン製作者・職人仲間がある日、何者かに殺されるところから、ストーリは展開していく。犯人を捜すのは、同じく初老のヴァイオリン職人仲間。そして、次に起こるヴァイオリン・コレクターの殺人。
ストラドヴァイウス、グァルネリ・デル・ジェスなど名器にまつわる、まるで時空を超えた逸話も次々に主人公とその友人の調査という形を取って紹介される。ある意味、殺人事件としてのミステリーと同時に、謎に包まれたヴァイオリン名器にまつわるミステリーが展開されるのは、興味深い。
ただし、殺人事件の結末、種明かしは、本書残り30数ページころから一気に解明され、あっけないのが残念・・・というのが個人的な感想。 -
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老境にさしかかったヴァイオリン職人が、親友が殺害された事件とそれに絡む幻のストラディヴァリを追う。
ストーリーとしては主人公と刑事の二人が手がかりを追ってイタリア各地やイギリスを旅して回る話だが、ヴァイオリンに関する蘊蓄、歴史上のトリビアや、名器を取り巻くディーラー、コレクター、演奏家、職人それぞれの立場や関係などがたいへん面白かった。
主人公は職人としての矜持や音楽に対する思い、先人への敬意に溢れる魅力的な人物だし、多くの登場人物に好感が持てる。ただ楽器探しの謎に重点が置かれて、殺人事件は添え物になってしまった感じ。
続編も出ているのでぜひ読みたい。 -
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ヴァイオリン職人ジャンニと友人で刑事のグァスタフェステ、それからジャンニの恋人マルゲリータが
今回はノルウェーへ。
すっかり旅情ミステリーと化した第三弾。
中盤まではノルウェーの旅自体
目を惹かれるものがなく、
旅につきもののつまらないガイド付き観光、
天候や食べ物、物価高などが3人をゲンナリさせ、読んでるこちらもため息。
最終コーナーを曲がった辺りから
ようやくジャンニのアクセルが加速。
犯人は、おお、そっちだったか!の着地。
ノルウェー旅の素晴らしい部分も後半には語られ、
なんか寒そう暗そう、おいしいものなさそう…な印象からの、ちょっと行ってみたくなったかも…に変化。
今回キーとなったヴァイオリンに似たノルウェーの弦楽器の音色にも癒された。 -
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ヴァイオリン職人ジャンニのシリーズ3作目。今回の舞台はノルウェー。ジャンニの教え子リカルドが、クレモナでの再会後、死体で発見される。リカルドの故郷での葬儀と捜査のために、ジャンニとアントニオ、恋人のマルゲリータと3人でノルウェーに行く。
クラシックと楽器に詳しくない私にとっても楽しく読めるシリーズ。今回は作曲家グリーグ、ノルウェーでは有名な演奏家オーレ・ブルの逸話、ノルウェーの民族楽器ハルダンゲル・フィドルが、現代の殺人事件と絡んで語られる。例によって、YouTube で調べて聴きながら読み進めた。また大自然ノルウェーの景色と、常に暴風雨に晒される過酷な環境が随所に語られて、旅行記としても楽しめた。ちょっと物価が高すぎるみたいで、正直、行きたいなとまでは思わなかったけど。
事件の方はイマイチかなあ。リカルドが殺された理由がちょっと無理があると言うか。誰も幸せにならないし、後味もあんまり良くなかった。 -
Posted by ブクログ
とにかく横文字が多くて覚えづらいが読む価値のあるもの。
何百年もの歴史と職人の音楽への熱量を感じられるミステリーは重厚で面白かった。
主人公ジャンニの人柄や仲間たちにも惹かれる。
ヴァイオリンという題材でここまで深く話が掘られ、最後までブレずにヴァイオリン一本で完結するのが良かった。(ミステリーの変わった題材とかだと最後ブレると萎える。個人的に。)
演奏する楽器であり、歴史的価値のある財産でもあり、音楽史から現代まで複雑に絡み合っている点がこの小説の面白い所だと思う。
特に知識がなくてもなんとなく聞いたことのある名前も出てくるので読めるが、とにかく横文字が多くて地名、名前、血縁や苗字が入ってこなくて読み進めづらい…後半は慣れる。 -
Posted by ブクログ
★3.5
ヴァイオリン職人ジャンニが主人公。ある時、同じヴァイオリン職人である友人が殺された。失意の中、彼が探していたと思われる、幻のストラディバリウスを、警察官のアントニオと追いかける。その延長線上に、犯人がいるはずだと信じて。古い文書や手紙、絵画をひたすら調べていく作業が、ジャンニでさえ苦行のようだと言っているが、読んでいる方もちょっとしんどかった。ジャンニが導きだした答えは、あくまでも推論に過ぎず、まるで歴史学者の話を聞いているようだったが、そこは小説なので最後は物的証拠も見つかるのだけど。悲しいかな、ラスト近くの彼の感動を分かち合えない。そして何だか良い風に話は終わっているが、あれが正解なのかも分からない。ヴァイオリンの世界は闇が深い事だけは分かったけど。そしてイタリア人はいつだってワインを飲んでいる。
ともあれ、次作もあるようなので読んでみよう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレめちゃくちゃ長く感じた。
イタリア人が主人公の小説をはじめて読んだ気がするので、名前などの固有名詞に苦戦しつつ、ヴェネチア人への偏見や各都市への印象など新鮮な気持ちで読めて楽しかった。
ヴェネチアは新しい街だと主人公が言っているシーンがあったけど、それでも街ができたのは四世紀頃?と書いてあり、十分古くて驚いた。ローマを擁する国の人はこの辺の感覚もぜんぜん違ってくるんだろうか?
でも途中で著者がイギリス人と知って驚いた。イギリス人が書いたイタリア人を主人公にした作品を日本人のわたしが読む、という構造に面白さを感じた。
この作品はイタリア人が読んでも違和感がないのか気になる。
というか、老齢の男性が主人公の作品もあまり読まないので、時々出てくる頑固な古い考え方も面白かった(孫たちを縛らずにのびのびと遊ばせたり、アンチマックだったり)。
普段読んでいるミステリが、トリック重視のものなので、それと比べると物語は単調に感じた。イタリアの各都市やイギリスにまで足を伸ばすことにるなるけれど、それぞれのシーン自体の盛り上がりはそんなになく、タイトルの通り探求と推理だなあと感じた。
事件の鍵になっているヴァイオリンの行方を追うことは、時代をさかのぼる壮大な旅にもなってくるのだけど、時代や登場人物が多すぎてよくわからないまま読み終えた…
主人公のジャンニは、わたしと年代は違えど、仕事に誇りを持って取り組んでいるし、尊敬もできるし親しみも湧いた。