高取正男のレビュー一覧

  • 民俗の日本史

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     Ⅰでは、古代の宗教史を扱った論文が収録されている。巻頭の「大陸文化の受容」では、仏教の受容と氏族信仰との関係が取り上げられている。続く「御霊会と志多良神」「貴族の信仰生活」「聖と芸能」「今様の世界」は京都史編纂所『京都の歴史』に寄稿された論文であり、自分には馴染みの薄いテーマが扱われており、また京都に土地勘がないためピンと来ないところもあるが、著者が丁寧に論を進めてくれているので、しっかり後をついていこうという気にさせられる。

     Ⅱは比較的短めの文章が収められている。特に面白かったのは、「地域差」「近代が崩壊させた重層社会」「日本文化と民俗学」の各編。柳田民俗学に親和性を持ちながらも、そこ

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    2024年01月14日
  • 宗教民俗学

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    期待していたような、時系列に沿ってシステマティックに分析、論考を重ねていく…という流れの作りではなかったが、古代~中世の社会形成において、農耕やそれに従事する人々がいかに重要な役割を果たしたかということが、漁労民や職人との対比を用いることで十全に説明されており、興味深い知見を得ることができた。
    行基や空也といった特定の人物に的を絞った終盤の考察も面白かったが、やはり体系的な総論を読みたかったなあ…と改めて感じた次第。

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    2024年01月29日
  • 宗教民俗学

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     12編の論考が収録。
     特に関心を持ったのは、冒頭の「幻想としての宗教」「遁世・漂白者」の2編。
     「これ以外に生きる場所はないという、そういうせっぱ詰まった意味での郷土」。そうした郷土=共同体に生きる者たちの信仰の問題。また非農耕民や漂白民など共同体に帰属しない者、あるいは共同体の周縁的存在の者たちとの関係。本書全体を通して著者はそれらの問題に迫ろうとしているのかと思われる。
     
     日本の社会も農業社会ではなくなって久しく民俗もすっかり変化してしまったので理解が難しいところも多かったが、読み応えのある論考が多かった。 

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    2023年10月02日