【感想・ネタバレ】宗教以前のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

民俗学者と宗教者(仏教)の出逢いによって生まれた名著と背表紙にありましたが、それに相応しい本でした。平安時代は祖先を大切にしながら、藤原北家の主流(冬嗣・良房・基経)でさえも祖父の墓の場所を知らなかった! それは墓を不吉として忌み嫌うということから来ていたという説明は説得力があります。日本人の罪からの解除法は表面を拭く消毒薬、西洋人のそれは内から大掃除する下剤という説明は実にわかりやすい喩えです。近世日本にも「世俗内的禁欲」を説く宗教が存在したと、M・ヴェーバーへ反論を主張しているという内藤莞爾「宗教と経済倫理」、中村元「日本宗教の現代性」の紹介も興味深いところです。新興宗教の中では100万人を超える大教団はいずれも神がかりから脱却し、「歴史性」と「社会性」の真理基準をみたす努力を行った教団であるという分析もそれに通じるのではないでしょうか。また科学と宗教については、近世科学の成立の基盤そのものに宗教的精神が内在していたという説明は非常に公平な指摘です。アニミズムや多神教を追い払った西欧にまず科学的自然観が成立したということは考えてみれば当然なのですが、日本ではまだまだこの点の偏見が強いようです。そしてプロテスタントが完全にアニミズムを否認したのに対して、カトリックはミサという唯一の秘蹟に集中させてという説明も大変分かりやすく参考になります。

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2013年08月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

宗教は時代時代の自然観によって変化していくという主張はわかるようなわからないような。本書が刊行された1960年代の日本において信仰が摩滅してゆくさまをして農村のありようが変化したためであろうとする著者の説を理由づけするかもしれないが、果たして普遍的な理由となりえるだろうか。
昨今賑わっている陰謀論やキャンセルカルチャーは、信仰的な寄る辺をもたない人々の拠り所となっている観がある。かつてアイドルなど芸能人が果たした教祖的役割を担うインフルエンサーたちに踊らされる宗教。それも自然観の変化で語りうるのだろうか。

タイトルから勝手に期待した内容ではなかった。勝手に期待した内容とは「原始信仰創生前夜が語られる」というものである。そのようなことを語りうる歴史的証拠が発見されていたのかと。
最後の数行でタイトルに込めた意味が語られている。だが、まったく理解できない。
本書は資料に基づいた著者の歴史観であるとともに哲学書で、混交している。前者についてはこれまでの蓄積でなんとか咀嚼できたが、後者については知見の欠如によってところどころまるで理解できない。

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2023年06月05日

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