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民俗学の見地から日本宗教史へとアプローチし、日本的信仰の淵源をたずねる。高取正男の真骨頂ともいうべき民間信仰史に関する論考を12篇を精選。解説=柴田實/村上紀夫
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Posted by ブクログ
期待していたような、時系列に沿ってシステマティックに分析、論考を重ねていく…という流れの作りではなかったが、古代~中世の社会形成において、農耕やそれに従事する人々がいかに重要な役割を果たしたかということが、漁労民や職人との対比を用いることで十全に説明されており、興味深い知見を得ることができた。 行基...続きを読むや空也といった特定の人物に的を絞った終盤の考察も面白かったが、やはり体系的な総論を読みたかったなあ…と改めて感じた次第。
12編の論考が収録。 特に関心を持ったのは、冒頭の「幻想としての宗教」「遁世・漂白者」の2編。 「これ以外に生きる場所はないという、そういうせっぱ詰まった意味での郷土」。そうした郷土=共同体に生きる者たちの信仰の問題。また非農耕民や漂白民など共同体に帰属しない者、あるいは共同体の周縁的存在の者...続きを読むたちとの関係。本書全体を通して著者はそれらの問題に迫ろうとしているのかと思われる。 日本の社会も農業社会ではなくなって久しく民俗もすっかり変化してしまったので理解が難しいところも多かったが、読み応えのある論考が多かった。
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