御手洗瑞子のレビュー一覧
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そもそもなぜこの本に出会ったかは忘れてしまったが、この時代にアパレル企業、しかもニットの会社を立ち上げるって相当勇気があるなーと。それも気仙沼で。だが、セーターの写真を見て読もうと決めた。
手編みのニットは、いろいろな点で相当の高レベルでないと商品として売れるものにならない。気仙沼は、手編みのニットを商品として生産し会社として成立させられる諸条件がそろっていた・・・かもしれないけれど、復興もまだまだの環境で、多様な働き方を可能にした上で、きちんと会社になったのは、著者の頑張りなしにはできなかっただろうと思う。
昨今はユニクロや無印良品でそこそこのカシミアのニットが手に入るけれども、単色でデザイ -
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東日本大震災の被災地気仙沼で、手編みのセーターを製造販売する会社、「気仙沼ニッティング」を経営する御手洗瑞子さんの著書。
材料である毛糸にもこだわり、オーダーメイドで作られるセーターの価格は決して手頃ではないが、非常に人気があって予約で一杯らしい。震災でたくさんのものを失ってしまった方々が、とっても明るくセーターを編んでいる姿、そして御手洗さんが実践した、地域経済の循環という考えにとても感銘を受けた。気仙沼ニッティングの本業は、セーターを通じて購入者や編み手、そして地域の人々を笑顔にする事なのだと思う。
災害からの復興と編み物という仕事は、地道で時間がかかるという点ではチョット似ているなと -
Posted by ブクログ
本書は、今年読んだ本の中で皆さんに最もオススメしたい本です。
皆さんがもし、あの『ほぼ日刊イトイ新聞』の糸井重里さんから、
「気仙沼で編み物の会社をやりたいんだけどさ。やってみない?」って言われたら
どうしますか?
この物語は、そんな一言からスタートしました。
東北の震災から1年過ぎた2012年6月に、気仙沼ニッティングは
「ほぼ日」のプロジェクトとしてスタートした。
まずは何も無い状態からのスタートで、冬が始まる半年後には
商品を販売しなければなりません。
大慌てで作戦会議。
決めたのは3点。
①「世界で一番かっこいい」、王道のものを作る。
②最初のプロダクトは、白いフィッシャーマ -
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被災地で起業、初年度から黒字、社長は東大卒マッキンゼー出身の女性。。。これだけでも話題性は十分なのだが、自分自身、気仙沼に何度も訪れ、より身近な存在として、この「物語」に触れてみたい、という想いでこの本を楽しみにしていた。
気仙沼の人々の気質、街の独自性など思い当たるところが多々あり、その”身近さ”を改めて確認できたような気がする。
読んでみて感じたことは、間違いなく、現在に至るまでに困難な局面は色々とあったと思うのだが、とても”自然”なスタンスでビジネスを成功させているということ。
当然、成功の方程式が最初からあったわけではないのだが、今振り返ると、それにヒットしている数々のファクターを押 -
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知りたいことがあまり書かれてなかったので中断しました。
ここまで★一つ。
ところが、その後読む本が無くなったので、またこの本を中断したところから読んでみました。やっぱり興味のないところは飛ばしながら…。
すると読んでよかったなとなりました。ブータンの人たちの金銭感覚(これはちと問題あり)、死生観、幸福感には目からうろこが落ちました。11章は白眉です。「自分の幸せを祈っていたら幸せになれない」なんて、よくわからないけれど、とても含蓄がある。多少自分にいやなことや不幸なことがあっても近所の人たちが幸せだったらそれでいいなんて、素晴らしい人格者、国民性だ。読後、とても気分がよくなった。やはり、本 -
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ネタバレ
ブータンでは外国人で、周囲の信頼を得て仕事するには、自分のことは考えず、ブータンのためには何がよいか考える必要があった。
自分が頑張る場所がなく、人から何かを、もらい生きていくのは辛いこと。仕事がなく自分の足で立てないというのは自尊心を傷つける
勝算や適性を考えている自分が恥ずかしくなりやらなければいけないからやることにした。
人生の不確定要素を飲み込む度量。気仙沼の人たちが自然と向き合い自分の肚でものを決め、リスクを取りながら生きてきたからではないか。
新しいことを始めるときにトップを見ておくとあとで不安にならない。何を目指してどんな努力をするのか。
大切にされているという感動 -
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東日本大震災後に、甚大な被害があった気仙沼市で編み物の会社を始めた御手洗氏のお話。読みやすく、文才を感じた。
株式会社気仙沼ニッティングを、どのように始めて、どのように広げていったのか、という話だが、なるほどなと思ったのは、生業がいかに大切かというくだり。
衣食住が揃っても、仕事にでかけて給料をもらってそのお金で食材を買ってごはんを作る、といった生活のサイクルがないと復興とはいえない。そしてそこは行政だけではどうしようもないところで、こうした新しい動きが重要になってくるのだろう。
気仙沼という地方において、手編みの高級商品を売るというのは、筆者記載のとおりメリットもあったし、地域特性にもマッチ -
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ブータン王国の初代首相フェローとして、1年間ブータンに滞在した御手洗瑞子氏の著書。
コンサルタント会社マッキンゼーから、一国の政府職員への転身なのだが、まるでド田舎の零細企業に転職した都会のお嬢さん、みたいな感じでブータンでの仕事や生活の様子、そしてブータン国民の気質について綴っている。
農村部では今も続いている夜這いの習慣、隣国であるインドとの微妙な関係、快楽主義で刹那的な国民性、若干都合の良い生死感などなど、ある部分ではイメージ通りであり、またイメージとは少し違うブータンについても知ることが出来た。
たまたま高野秀行氏の『未来国家ブータン』の後に続けて読んだので、なんだか急激にブータ -
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気仙沼ニッティングの成り立ちから、哲学など最初から最後まで興味深かった。
復興支援に留まらないしっかりとしたビジネスモデルは、とても学ぶところの多いものだった。
編み手さんの募集をワークショップという形態で行ったのはとても面白かった。
私自身、編物をするのでサイズ通りに目を揃えて編まなければいけない商品としての編物はとても大変だろうなと想像できる。
それでも、気仙沼ニッティングの編み手さんはそれぞれのペースで楽しそうに仕事をしていて、羨ましくも思った。
手作りのものは、適正な価格を付けるのが難しいところがある。
そうすると大量生産の工業品に比べて随分と高価になってしまうからだ。
その点、気仙沼