真壁昭夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読書目的
①行動経済学の概略と基礎知識を学ぶ。
②行動経済学の実務への応用例を知る。
前回の書評で挙げた『経済予測脳で人生が変わる!』でも、市場の動きは人間の感情や非合理的な行動によって左右されるため、心理学に基づいて経済の動きを見ることが有効である点が説明されていました。私も、世界経済や潮流を見る上で、行動経済学の知識を身に付けておくことが重要と考えており、入門書としてこの本を手に取りました。
・伝統的経済学理論の限界
伝統的な経済学理論は、『市場は効率的であり、投資家は合理的な判断に基づいて行動する』という考えを前提としている。
しかし近年、伝統的経済学では想定していない例外的事象(アノマリー)が数多く発生し、且つその影響は無視できないレベルである。その際たるものが『バブル』である。伝統的な経済学や金融工学では、このバブルの発生を想定しておらず、アノマリー(例外的事象)として取り扱わざるを得ない。
・行動経済学の誕生
『市場は効率的であり、投資家は合理的な判断で行動する』との前提に疑問を呈し、心理学のアプローチを応用し、『市場は非効率的であり、人々は非完全な情報を基に非合理的な行動をとる』とした行動経済学の理論が確立した。
【主なキーワード】
・プロスペクト理論
人の意思決定の基になる価値は、特定の状態からの変化によって発生するメリット(利益)、デメリット(損失)に大きく依存する。
・損失回避的傾向
人の利益と損失に対する態度は、同程度の利益よりも、損失の方を相対的に大きく評価する。
・鏡映効果
人は、利益が出ている局面ではリスク回避的(現状利益で満足)になる一方、損失が出ている時は、リスク許容度が拡大し、リスク愛好的に行動(リスクをとっても損失をカバーしようと)する。
・気質効果
人は、(特に損をする)意思決定を行う際、自分に自身に都合の良い理由付けを行い、納得しようとする。(心理的に満足できる言い訳をつくり、自分で納得してしまう。)
・認知的不協和
自分の考えや前提としていた条件が間違っていたことを示す事実に直面した際、心の中に感じる不快感、心理的葛藤。上記『気質効果』は、この認知的不協和を回避する行動。
・現状維持バイアス
新しい環境や経験のない意思決定を迫られた際、現状に価値を見出し、新たな行動を躊躇すること。
・フレーミング効果
事実は同じでも、受け取り方の違いにより事実誤認が発生すること。例えば、100万円もらった後、追加で50万円もらう場合と、最初に200万円もらって、後で50万円差し引かれる場合とでは、150万円をもらう事実に差はないものの、感じる満足度に違いが生じる、等が事例である。
・ヒューリスティック
複雑な情報を、単純化して大枠で(直感的に)把握する心理的な営み。迅速な意思決定を行う上でプラスに働く局面もあれば、重要な情報を見落とし、誤った意思決定を下すマイナスに働く局面もある。
【感想】
私は書籍を購入する際、買う書籍を決めてから書店に行き、必要なものだけ購入するパターンが多い。しかしこの書籍は、出張先の書店で偶然に発見し、前書きの内容が、私のニーズに合致していたため、購入を決定した。
本書は、行動経済学という専門分野を取り扱っている割に読み易く、また用語索引も掲載されている等、入門書として適しています。
行動経済学は、短期間の経済動向や金融市場の動きを解析することを目的に確立された理論です。しかしこの知識は、経済分野だけでなく、人間の意思決定の歪みを是正し、日常の判断を合理的な行うことに応用できる理論であると思います。今後はより詳しく行動経済学を学んでいこう思う契機となりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ▼多数の部署が絡むプロジェクトについて
人間には「内集団バイアス」があり、無意識に自分の所属する組織を過大評価し、それ以外の組織を過小評価する。同じ会社でも、プロジェクトで部署間の対立が起こるのはこれ。背景として、自分の部署のことはよく知っているが、相手の部署の仕事は表面上しかわかっていないため。「自分の部署はこんなに大変、相手の部署はこれができいない」と感じる。
また、「透明性の錯覚」から、人間は自分の意図や考えが相手に伝わっていると錯覚する。自分の頭がクリアであればあるほど、当然伝わっていると勘違いする。その背景には、「知識の呪い」と言われる現象がある。一度知ってしまうと、知らなかった頃の状態を想像できなくなるため、相手が理解してくれない事を批判的に捉えてしまう。
解決策として、内集団バイアスについては既存組織の枠組みを超えたプロジェクト専用の新しい内集団を意図的に作る。チーム名やロゴを作る、プロジェクト専用チャットルームを立ち上げる、会議では部署ごとにまとまらずばらけて座るなど。
透明性の錯覚については、背景や目的、期待する事、具体的な成果物をきちんと言語化することが重要。また、プロジェクトマネージャーがそれぞれの部署が重視する判断基準を理解し、それぞれの立場から物事をどう考えているかを互いに代弁し翻訳する事で、敵意の裏にある理由を理解し合うことが大切。
▼会議で物事を決める時の進め方
「プロスペクト理論」として、人は利益よりも損失を強く嫌う傾向がある。上司と部下など、立場によって得と損の判断基準が異なる事を理解する必要がある。解決策としては、両者が納得いく新しい共通基準を作ること。どの物差しなら両者が合意できるかを探すことが大事。
その背景には、「機会コスト」として、何かを選択した時、選ばなかったことで失うコストの痛みに敏感だという点もある。何かを選択する会議においては、目的と優先順位を再確認し、KPIの序列を言語化することで、排除基準を明確化する。
条件を線引きした上で、「達成ストーリー別」にまとめる。例えば、短期検証、拡張余地、攻めの仮説など。
最後に選定理由と排除理由を同じ比重で示す。20案から比較の上、この数案に絞った。外した理由は、、、と明示することで、納得感のある選択を共有できる。
会議で話すなら、下記のような進め方。
「本日は数十案を検討した上で、判断しやすい単位に整理した3つの有力な案を提案します。まず優先KPIのすり合わせからお願いします」
→提示の順は、推奨①(本命)②代替(安全)③挑戦(伸びしろ)の順で、各案に採用したくなる理由と捨てやすくなる理由を添える。どちらの理由も手元にあると、人は前に進みやすい。 -
Posted by ブクログ
元々心理学が好きで、経済学と心理学を合わせたような分野とされる行動経済学について学びたく本書を読みました。
まずこのシリーズ全般に言えるのではと思いますが、イラストの割合がほとんどなため気合を入れなくてもどんどん読み進められます。
本を読むのが苦手な人でもこの本なら大丈夫かと思いました。
各々の用語の説明はかなり薄めと感じました。
そのため、読み切ったものの行動経済学の基礎を理解したかと聞かれると微妙です。
ただ読み切ること自体の難易度はかなり低く設定されているため、本書は本格的な専門書を読む前の、この分野に興味が持てそうかどうか確かめるために読む本としてはおすすめできるかと思います。
個人的には、伝統的な経済学と行動経済学との違いについての説明が面白かったです。