C・ダグラス・ラミスのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者が「新しいことを書いているわけではない」と注意書きを何度もしている。それはその通りだった。
つまり「常識」について「批判的」になろうぜ!行動変わるぜ!と書いてある。僕はそういう著者のスタンスは全く否定するところではないし寧ろ同意するが、「じゃあそういうお前はどうなんだ!」という疑義が出てきたときに、少なくともこの本では答えられない。
そういう意味では森岡正博「無痛文明論」は、似たような問題意識で書かれた本であると考えるが、記述者としての自分を単なる観察者ではなく、一人の存在者として措定して反省している分、紳士的に感じた。
ただ、原発についての記述は(少ししかないけど)今読むと少し心に引っか -
Posted by ブクログ
「国家は、濃縮し組織した暴力である。個人には魂があるが、国家は魂のない機械である。国家の存在自体が暴力に由来するので、暴力から離乳することができない。」
「彼の憲法には戦争放棄があるのではなく、その政治形態の構造自体から、戦争の可能性が最初から排除されている。」
「非暴力とは、仙人や聖人にならないとできないことなのではなく、私たちがいつもやっている、通常の人間の付き合い方なのだ。」
「支配者は、思考を停止させる言葉を作るのがとても上手だ。たとえば、内政干渉を「援助」と、乱開発を「経済発展」と、侵略を「人道介入」と、虐殺を「付随的損害」と、成功した弾圧を「平和」と言う。」 -
Posted by ブクログ
戦争、発展、環境などをテーマに、「現実主義的」で「普通の国」になろうとしている日本へ、世界の「常識」とは何か改めて考え直させる。考え方として同意することが多いが、著者も述べているとおり特段目新しいことを述べているわけではなく、悲観する必要はないとは言うものの、具体的な方法論を提示しているわけではないので如何せん「理念的」で有効打に欠けるように思える。ただ、それが著者の意図したところでもあって、「現実的思考」の名のもとに理念を放棄すべきでなく、世界には異なる現実と常識があるのだということを示している。「無力感を感じるなら、民主主義ではない」たしかに。