田口洋美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
田口洋美『クマ問題を考える 野生動物生息域拡大期のリテラシー』ヤマケイ新書。
クマ問題を通じて、自然環境や人間の生活の多様化、変化などに伴う様々な課題について考えさせられる書籍である。
近年、野生動物による被害が増加しているが、その中でも特にツキノワグマによる被害が増加している。かつてはっきりとしていたツキノワグマと人間の生活域が混じわりつつある。
本書の中でも紹介されている2016年に発生した秋田県鹿角市のツキノワグマによる連続人身事故は衝撃的であった。また、近年では人間の生活区域内でクマが相次いで目撃されている。確かにここ数年、身近にクマの存在を感じるようになった。
自分の暮らす地方の中規模都市の街中をツキノワグマやニホンカモシカが闊歩し、街中の病院にツキノワグマが侵入した例も耳にする。数年前には岩手県北上市西和賀の国道で戯れる二頭のツキノワグマの子供を目撃した。また、友人と岩手県一関市厳美の国道脇の山林に入ったところ強い獣臭を嗅ぎ、確実に近くにクマが居ると思い、慌てて逃げたこともある。
人間が開発という名の元に山を破壊し、山のメンテナンスを止めたことで野生動物の生活圏を奪い、さらに里山を放棄したことで野生動物の生活圏を人間の生活圏にまで広げてしまったのだろう。無論、野生動物側の生活変化もあるのかも知れないが、非常に由々しき問題である。