加藤幸子のレビュー一覧
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各章の主人公は歴代の犬たち(主犬公?)。帯に「札幌から北京 そして東京へ――」とあるように、これも“佐智シリーズ”の一つとして読んでいいのではないでしょうか。あのとき傍らにはこんな犬がいたんだなぁ、犬から見るとこんな感じだったのかなぁ、と想像しつつ読みました。『夢の壁』から読むと長い長い「佐智の半生」(この本では“ゆうこ”さんですが)を、犬目線で1冊にまとめた不思議な物語です。時間ができたら、佐智シリーズとこの本を比べながら同時に読んでみたいものです。
今回、「なんで“ゆうこ”さん? “佐智”じゃないの?」と最初思ったのですが、「ゆきこ」→「ゆうこ」ということでしょうか。「佐智」はきっと、「 -
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自身が飼っていた犬たちをモデルにした犬目線のストーリー。
戦時中、犬好きの父親が飼っていて交通事故で死んでしまった「赤」の剥製の頭部に始まり、13匹の犬たちの独白と飼い主たちの曰く。
ユーコが赤ちゃんのころから、成人して結婚し、離婚し、小説家になり、子どもたちが独立した現在まで。
ペキニーズやヨークシャーテリアといった愛玩犬から、ボーダーコリー・柴犬など中・大型犬、雑種…。犬種は様々。性格も運命も様々。
戦中を中国で過ごし、引揚げから日本での生活と、激変する日本で人間の生活も刻々と変わり、連れ添うペットたちの運命も様々に変化していったのがよくわかる。
自身はそれほど犬好きではないように書かれ -
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小鳥の眼から世界を理解するという、ストーリー。
ジーンは遺伝子です。
卵の殻を破って、この世に生まれてくるのも
ジーンの導きによって。
そしてひとりだちし、南へと渡る。
南の島で初めてオスと出会い、交尾する。
命を燃やす激しいひととき・・・
無事に卵をやどした小鳥は
やがてまた北へと飛んで、卵を生む場所を作りはじめる。
すべてのエネルギーを使い果たすそのときまで
ジーンは常によりそって一心同体だったのですが、
最後、小鳥が精魂尽き果てた瞬間、離れて行ってしまうのです。
ジーンの関心はもはや、次の命である卵に向かうんですよね。
それは小鳥も深く納得できることでした。
ジーンはずっと長い