ミルのレビュー一覧
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自由論 J・S・ミル
自由論の金字塔であり、新型コロナにおける自粛“要請”を取り巻く環境で、今一度見直されるべき名著。
自由論の主張は、P29にある。
「人間が個人としてであれ集団としてであれ、他の人間の行動の自由に干渉することが正当化されるのは、自衛のためである場合に限られるである。文明社会ではあ、相手の意に反する力の行使が正当化されるのは、他のひとびとに危害が及ぶのを防ぐためである場合に限られる」
本書では、この原理について、様々な領域で、考えられる反論に対して、その原理の重要性を述べる形で論の展開が進む。そして、この自由ということについては、ある種の大衆社会への警鐘でもある。自由を阻害 -
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ここ最近も「あいちトリエンナーレ」の問題や、川崎のヘイト・スピーチ規制条例をめぐる問題などで、何かと話題に上る「表現の自由」。中学校のときに公民の教科書で教わるが、改めてちゃんと学んでみようと思い、そのことについて触れた重要な古典である本作を手に取ってみた。読んでみると飜訳の妙もあるのか全体的に予想していたよりもわかりやすく、とても勉強になった。ただ、内容については同意できない部分もある。本作が発表されてからだけでも2世紀以上が経過し、現在われわれは自由権というものが当たり前のように定着している世の中に住んでおり、たとえば「公共の福祉」などを理由に、自由が制限される場合についても十分に理解して
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読みたかった。JSミルの自由論が新訳で読みやすく
なって、文庫本で読めるということが、少し衝撃的な
ことではないかと思います。
自由に関しての考察と、現代にも通用する論理とその
論理展開における思考の流れが読んでいて非常に
気持ちのいいものでした。
自由に対する社会政治的、哲学思想的、慣習的、道徳的
それぞれにおける切り口においてのある意味
考えつくされているバイブルのようなものであるような
きがします。
公私の区分の原理に結びついた思想と言論の自由によって、
世論=多数派の専制を抑止し、多様性を持った民主主義を
成熟させることの有用性を再認識させられる内容です。 -
Posted by ブクログ
原題 On Liberty 1859年発行
世界史の教科書ではベンサムの次の典型的な「功利主義者」(お父さんがベンサムの盟友らしい)だが、著作はまったく読んだことがなかったので読んでみた。
自分自身はリバタリアンだと思っているので、「元祖はこの人か」と感心する記述が満載だ。
異論反論を言う言論の自由の重要性を主張するにあたり、攻撃の対象となる言説が間違っている場合に異論反論が価値があるのは当然として、正しい場合であっても、異論に耐えるプロセスを経ることで質が上がるため、歓迎すべきである、という説明は説得的だ。
女性の権利に関しても、当時としては相当進歩的と思われる主張(男性と全く同 -
Posted by ブクログ
「正当な理由なしに他人に害を与える行為は、いかなる種類のものであろうとも、周囲の人々の不快感によって、さらには周囲の人々の積極的な干渉によって、抑制されることが許される。
もっと重大な場合には、その抑制は絶対に必要である」(P137)
現在、リアリティ番組「テラスハウス」に出演していた木村花さんの死の原因がSNSによる誹謗中傷であるとして世間を騒がせている。
自民党の三原じゅん子議員が座長として、自民党政務調査会にインターネット上の誹謗中傷・人権侵害等の対策PTが立ち上がり、法整備が検討されているが、詳細は発表されておらず、三原議員がTwitterで明らかに偏向的な発言に賛同するような考えを -
Posted by ブクログ
(AI壁打ちまとめ)
ミル『自由論』の論理展開の総整理
ミルの議論は、究極的には**「個性」の発展を通じた社会全体の幸福(功利)の最大化を目指すものであり、そのために「自由」**が不可欠であると論じられます。
1. 核心原則:他者危害の原則(Harm Principle)
出発点は、社会が個人に干渉できる唯一の正当な根拠を定めることです。
* 定義: 個人の行動が他者に危害(harm)を加えるのを防ぐ目的を持つ場合にのみ、社会(国家や世論)は干渉することが許される。
* 結論: この原則の裏返しとして、他者に迷惑をかけない限り、人は完全に自由であるべきである。
2. 自由の固有の領域(私的