天城ケイのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
遂にフランドール成立の謎が明かされる13巻。フランドールがどうして今のようになったのか、という点を明かす行為はフランドールの外がどうして今の形になったのかという点も突き詰めることにも繋がるんだよね
フランドールの過去をクーファ達が知ることで、行き詰まってしまったフランドールの現状を変えるきっかけとなる。そういう話が展開されているね
これまでもクーファの力が借りられずメリダ達の力だけで難局を乗り越えなければならないストーリーは幾つもあったのだけど、この巻はそれによる不安感はそれほど感じられなかったのは意外かな
顔見知りなんて誰ひとり居ない世界、自分達の周りにいるのは邪険にする研究者ばかり、暗躍するシーザの存在、迫りくる世界の崩壊……
そういった不安要素は幾つも有るのにメリダ達の現状に対して不安を覚える事少なく読めたのはそれだけ彼女達が力量的にも成長しているし、事態打開の解決策も思いつけるようになっていた点もあるのだろうね
それでも根本的な大問題である太陽の崩壊がどうしようもなかったのは、メリダ達が異邦人であり歴史上の事実に手が出せなかったというのも有るし、そこに込められた悪意に気付けていなかったから
まあ、悪意の点に関しては現地人ですら看破できていなかったのだから仕方ないのだけれど
でも、その悪意が回り回って今のフランドールを取り巻く状況に直結しているのだからとんでもない話である
そして遂に明かされたフランドール成立の経緯には幾らか驚かされたね。十賢人がそのまま今の対立構造に繋がってくるとは……
過去が明かされ、現状への理解が深まり、未来への道が見えた。
物語がクライマックスに突入してくのだと予感させるラスト。これからのストーリーにワクワクしてしまうね -
Posted by ブクログ
巻が進むごとに熱量が上がっているのではないかと思わせる本作、この巻では第2章完!と言いたくなるような激戦と覚悟が繰り広げられているね
表向きは華やかな武器の展示会、けれど裏で進行しているのはメリダの暗殺計画
メリダの家庭教師であるクーファはメリダに心を寄せていても所属する騎士団が裏の存在であるために暗殺計画に加担せざるを得ず、結果的にメリダへ何も知らせないままに罠が敷き詰められた地へ送り出さなければならないというのはなんとも辛い立場
ただ、そういったクーファを始めとする者達の覚悟すら読者から見れば表の遣り取りだったわけで
この巻では裏の計画として進行している筈のメリダ暗殺計画を表の事情として、それを舞台とする裏事情が幾つも描かれているね
そのためにこれまで登場しながら目的や正体がいまいち見えてこなかった人物に改めてスポットライトが当たるようになるし、その者達にも覚悟が求められる
幾つもの感情が交差するこの巻の内容は一回読んだだけでは全てを楽しめたとは言えないほどに濃密なものになっているね
ただ、そういった事情を抜きにしてもあらゆる事態の矢面に立っているメリダの勇ましいことったら無い
メリダが自身のクラスを隠そうとするのはそれがクーファとの秘密であるというのも大きな理由なのだけれど、自分がサムライであると知られれば自動的に母の不貞疑惑に繋がってしまう。メリダのクラスが知れ渡って得をする事態なんて一つもない
だから、モルドリュー卿が様々な思惑を込めつつもメリダのクラスを隠そうとしたのは何らおかしなことではないと考えることも出来るわけで
けれど、無理に招待を隠そうとすればどうしたって歪みは生じてしまう
また、クラスを隠したままでは満足な戦いなんてできやしない。そしてメリダ・アンジェルという少女は負けた状態を良しとする少女ではないわけで
ミュールに勝つため、ジンに勝つために。外圧も内圧も押しのけて自分が持ちうる力の全てを出し切り戦い尽くした彼女の姿はとても輝かしいね
難局への対処を通して幾つも成長し、より絆を確かなものとした公爵家の少女たち
メリダを取り巻く世界はより厳しいものとなったけれど、メリダの傍に彼女らがいる限りどんな事態であろうと立ち向かえる、そう思えるラストだったね -
Posted by ブクログ
この巻で登場する舞台と言ったら序盤の海と話の大部分を締めるギンヌンガの逆さ城くらいのものだと言うのに非常に濃密な内容になっているね
と言うか、この巻は本当に温度差の激しい展開が幾つも有るね
読み始めた当初は海で組んず解れつするシーンに「ここが最高潮なのでは?」なんて思ったりしたものだけど、読み終わってみれば別の意味でもっと凄まじいシーンが幾つも有って、海のシーンの印象が霞んでしまう
いや、本当に海のシーンは良かったんだけどね。何時になく少女達に対して攻めに転じるクーファや呑気に遊ぶ公爵家の面々の様子からは世界の危機なんて微塵も感じられなかった
だからこそ、この後に続く危機に危機が連続する展開には度肝を抜かされる
繰り返すことになるけれど、この巻は描かれる舞台の殆どがギンヌンガ城に終止するし、敵となるのも女王とダミアンくらいのもの
けれど、引っくり返される城や亡霊船長に拠ってクーファのみならず公爵家の当主までもが翻弄される展開の数々が狭い空間で遣り取りされる話だということを忘れさせる。まるで大冒険が描かれ、その中で登場人物が悪戦苦闘しているかのような印象を受ける
そしてそれぞれが苦闘するということは誰しもが全力を出す必要があるわけで。まさかセルジュだけでなくアルメディアやフェルグスにも見せ場が有るとは思わなかった。本当に総力戦そのものじゃないか
こうなってくると実力としてはまだまだな少女たちの見せ場が少なくなってしまうものだけど…
そこは命ある家具たちを相手に大立ち回りを演じてみせたね
合体怪獣のような家具を前にきちんと弱点を見つけた上で撃退してみせたメリダの活躍は素晴らしい
城や亡霊たちが再び眠りにつくラストシーン。あれ程に誰しもを翻弄し続けてきた憎き者たちの終焉だと言うのにそこに一抹の寂しさを感じることになろうとは
判り合うこと無かく終りを迎えた死に逆らった双子。それでも300年の孤独を耐えた二人は最後の瞬間にささやかな幸福の幻想を手にしたわけで
余人が入れない空間を滝が包み込むかのような終わりには思わず感傷的になってしまうね
結局、明らかになることはなかったメリダの出自。ただ、こうして女王の発言など様々な状況証拠が揃ってくると本格的にメリノアの不貞を疑うしかなくなるのだけど……
また、メリダだけでなくミュールにも出自への不信感が生じるとは予想外。コルドロンは反応していたから公爵家の人間であることは確かなのだろうけど、ラ=モールの人間ではないのか…? -
Posted by ブクログ
暗殺教師クーファの下で無能才女メリダが成長していく本作、この巻では舞台が学院から外の世界へ向かうと共に、いつもの趣向から外れてクーファへと難題が振り抱える内容となっているね
王爵のフリをする中でメリダをメイドとして扱うクーファ、身元を偽るために彼に尽くすメリダ。
時には鬼畜教師とも呼ばれるクーファにとってこの関係性の方が似合っているんじゃないか?と思えてしまうのはきっと不思議ではないね(笑)
前の巻で黒幕のごとく登場したセルジュ・シクザール。どうやら彼にも彼なりの思惑と悩みがあるようで
ただ、それに振り回されるクーファにとっては堪ったもんじゃない。今回、巻き込まれることになった騒動は完全にクーファが原因でもメリダが原因でもない。
また、セルジュの影武者として活動するだけでも大変なのに、この活動を劇の下地にする為に行動の仕方にも制限が入る。
どれも暗殺者として生きてきたクーファにとっては慣れぬ仕事。おまけに彼でなければ倒せない相手なども多数登場し、この巻でのクーファの労苦はこれまでの騒動の数倍になりそうな
そういった大変な労苦の合間合間に差し込まれるのは四人の少女たちとの戯れだね
先に述べたようにこの巻ではクーファとメリダやエリーゼの関係性が逆転している。内面としてはSっ気の強いクーファも本来仕える相手を仕えさせるというのは慣れないようで
けれど、そのどこかぎこちない関係性は見ているコチラとしては思わずニヤニヤしてしまうというもの。というか、すぐに順応してお仕置きを所望するエリーゼとかこんなにノリのいいキャラでしたっけ?と聞きたくなるくらいにノリノリである
旅そのものは波乱含みとなりつつも全体的には大きな障害はなく
むしろ物語の黒幕と目されるセルジュ登場以降から緊迫感を増していった印象
彼については単純に何かしらの腹黒い思惑が有って暗躍しているかと思いきや、彼も彼なりの正義に基づいて行動しているのだろうか?クーファやメリダを罠に嵌めようとする姿勢とサラシャを案じる姿勢に大きなギャップがありすぎて、彼がどのような人間であるか掴む上で少し困惑してしまう
クーファにしたら心労の絶えない旅。けれどメリダにすれば新たに見えてくる部分の多い旅だったようで
一時的にクーファと離れ、再会してもいつもの関係性ではなく主従が逆転した形。そのような関係性では見えてくるものは違ってくる。そして違ってくれば今まで見えていなかったと気付かなかったものにも気付くことが出来る
今回の旅を通してもっとクーファを知りたいと望むようになったメリダ。彼女の望みは果たされるのか、それともこの旅を通して距離を縮めた他の少女たちがクーファの心を射止めてしまうのか。はたまたラストにやらかした彼女がゴールインしてしまうのか?
桃色要素を増しつつ有る本作にて恋愛方面がどのように描かれていくのか気になってしまうね -
Posted by ブクログ
限界バトルに次ぐ限界バトルの第3巻
黒幕と呼べそうな人物の登場に拠って益々物語に深みが出てきたような印象を覚えますよ
ルナ・リュミエール選抜戦を潜り抜けたことで挑戦することに成った『ビブリアゴート司書官認定試験』
本来なら2年生から受ける試験であり、1年生ながらに受験することになったメリダとエリーゼはあくまでお試し…
なんて前フリをされたら騒動が待っていると想像するのは必然というもの。けれど、この巻で描かれる騒動は想像以上のものばかりでしたね
オペラシオンの暗躍に拠って始まる糾弾の裁判へ至る罠。無力な生徒ばかりとなった学院を襲う黎明戯兵団。そしてメリダの父を名乗る男との対決
どれも手に汗握り、メリダやクーファの激闘に目を離せなくなるような凄まじいものばかり
メリダの学院1年目を締めくくるに相応しい内容だったんじゃなかろうか
司書官認定試験では第2巻で登場したサラシャとミュールが再登場
年若い少女4人が協力して試験に挑む描写にはほんわかした気持ちになってしまう。だからこそ、ミュールの裏切りから始まる一連の展開はインパクトが強い
事前の偽父登場も併せれば、それらは年端も行かぬメリダを追い詰めていく必殺の罠。メリダの生まれを責める声に押され心折れてもおかしくない流れ
けれど、ここで顔を伏せずに自身を否定する人々や環境に大声で吠えるメリダはやはり格好良い
第1巻序盤の頃から彼女の決して諦めない力は他の追随を決して許さない代物だったわけだけど、今ではクーファによって鍛えられた実力も相まって彼女を捻じ伏せられる者など居ないのではないかと思える程に力強い存在へと成長しているように思える
いや、本当にあの救援なんて望めないような裁判の場で「負けるもんかぁ!」と吠えたメリダからは主人公に相応しい貫禄を感じさせましたよ
けれど、最後を締めるのはやっぱりクーファなわけで
これはメリダの実力がまだ足りないからというわけではなくて、どうしたってメリダには手が届かない領域がある。例えば、実父との確執とか
メリダがサムライクラスでありながら、司書官認定試験で目覚ましい成績を残したと知ってもすぐにはフェルグス公はメリダを褒めるのは難しい。だから家庭教師であるクーファが仲立ちとなってフェルグス公がメリダを認められるようになる工程が必要となる
曾祖母にサムライクラスの縁者が居たかもなんて苦しい弁明。けれど、素直になれないフェルグス公にとっては最大限の譲歩
ようやく得た成果と期せずして手にしていた褒美。無能才女と呼ばれたメリダにとって、学院1年目に手にしたこれらはきっと素晴らしい成績と言えるのだろうね
それにしても3巻目にして学院の1年目は終了ですか
かなりハイペースで進んでいるように思うのだけど、本作はどういった地点を着地点に考えているのだろうね?
世界にメリダ・アンジェルを認めさせる瞬間か、それともクーファにメリダを一人前のレディとして認めさせる瞬間なのだろうか? -
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予想以上に面白かった。
マナや位階は、HUNTER×HUNTERの念とほぼ同じに感じた。
そのせいか、あまり能力や設定には真新しい感じはしない。
ヒロインは真面目で頑張り屋で素直な子。置かれている立場にめげずに努力する姿にはとても好感がもてる。
主人公が暗殺依頼を請け負った相手=つまりヒロインに感情移入して入れ込み、どうにか殺さないで済む方法を模索する。ありがちな展開だが、キャラがちゃんと肉付けもされている。
脇役も然り。
話しは読むまえから予想していて、大方のあらすじは間違っていなかったが、次巻も読みたいと思わせるくらい勢いがあって一気に読み終えた。
面白かった。
、、、のだが、なんかタイトルのアサシンズプライドという単語を別の言葉のルビにしている箇所があり、それがなんか小骨のように飲み込めず残ってしまった感があるため、星マイナス1。
物語途中からの主人公の心の変化を表現したいのだと思うけど、
セリフにする意味はないんじゃなかろうか、と愚考する。
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よくあるなろう系の、俺ツエーでモテモテものではない。登場人物は女の子が多いんだけど、主人公がお嬢さま一筋なのでハーレム化しないところが良かった。ハーレム大嫌いなんで。設定やストーリーも深くて読み応えがあります。パラディンとか侍とか面白いですね。途中まで読みましたが、主人公、ヒロインともにかっこいいしかわいいです。主人公、最初と性格がかわってきているような・・・。結構早い段階で甘々。少し残念。
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Posted by ブクログ
これまでも貴族や体制を敵に回して方々を駆けずり回ってきたクーファやメリダ達だったけど、遂には人類にとって安寧の地であるフランドールすら飛び出してしまうとは…
新たな舞台となる夜会は本当におどろおどろしい場所だね
元々本作の世界観は陽の差さない世界であったわけだけど、夜界は光源であるネクタルすら希少なのだから余計に景色は真っ暗闇となる
本作は小説だからその光景を想像することは難しいけれど、文章からは暗黒に包まれた世界の恐ろしさが伝わってくるようであった
ただ、そんな世界であろうとお構いなしにエセパジャマパーティーをしたり、お色気展開をぶち込んでくる少女達には良い意味で驚かされるが
処分に困っていたからって夜界探索にセクシーランジェリーを持ってきてしまうフリージアにはちょっと笑ってしまう
それでもメリダ達の夜界探索は困難を極めるのだけど
『アサシンズプライド』ってクーファを始めとして超級の実力者が何人も存在しているけど、実力者達を活躍させるよりも戦闘能力が未熟なメリダ達の活躍を描くシーンが多いんだよね
それは時として困難に負けまいとする少女達の幼き力強さを感じられるが、今回のようにそもそも武器を持たずに探索するなどのパターンも多いものだから、そこにあるのは単純に弱者が強者に打ち勝つというテーマ性ではなく、生きる事を諦めないとする姿勢の重視なのだろうな
そんな事をメリダとネインの会話から感じた
遂にメリダだけでなくエリーゼ達の知るところとなってしまったクーファの正体。そして辿り着く過去世界ではフランドール樹立の謎が明かされるとか
どうやら物語はクライマックスへ近づきつつ有るようだし、色々と畳み始めているということだろうか
そういや、クシャナは鍵言を知ったからにはシクザール家の誰かと結婚して貰わなければとクーファに迫ってきたけど、あれってメリダとの婚姻でも問題ないような……? -
Posted by ブクログ
作者の後書きにあるようにこの短編集はヒロイン一人ずつにフォーカスし学園での暮らしを記していた前の短編集と違って、ヒロイン達やそれぞれの状況が家庭教師の立場からどう見えているのか、という点に着目して作られているようだね
第1話 ”暁光の彩筆授業”
物語の序盤の頃にはまだ年相応の少年らしくメリダの色香に顔赤らめていた頃のクーファは何処へ……?
理由をつけてメリダを脱がそうとする彼はもうただの変態にしか見えないよ!
第2話 ”真昼の水心授業”
まさかこの作品で入れ替わりネタが描かれるとは。
状況的にはもっとキャッキャウフフが起こったって可怪しくない筈なのに真っ当にマナの講義風景になってしまうのはエリーゼの真面目さ故か
エリーゼがロゼッティの中身を看破する理由が巫山戯た言動でも真面目な言動でもなく、優しい言葉であったのはエリーゼがクーファをどう見ているのかが垣間見えて良かったな
第3話 ”黄昏の客扱授業”
偽巡王爵の際にクーファはメリダとエリーゼをメイド扱いしたのは少し懐かしい話だけど、ここに来てミュールとサラシャをメイド扱いとは。あの時は止むに止まれぬ理由があったけど、これは完全にプレイになってますね
意味不明でドタバタ劇を呼び込むきっかけとなった『代価』がしんみりするラストに至る展開には思わず唸らされた
第4話 ”夜影の追駆授業”
マディアってクーファと同じ暗殺者の筈なのに短編集や日常編では幼くて無力な少女にしか見えないのは何故……?
そういや、ネルヴァってマディアの正体を知っているんだっけ?すっかり忘れてたなその設定
普通は暗殺者が学内に混じっていると知れば大騒動にしかならない。でもネルヴァがそれを明らかにしない理由は……。もしかしたら恐怖以外の以外な感情が有ったりするんだろうか?
前の短編集に引き続きオチ要因として登場したミトナの姿は面白いと同時に少し懐かしい気持ちになってしまった
第5話 ”千日の三公祝日”
本編ではいつの間にか旅立って、いつの間にか戻ってきていたセルジュ。それを改めて送り出す形になったエピソードだね
また時系列的には革命後と新年度の狭間ということも有ってか束の間の穏やかさと言った印象も受ける
公爵家がバラバラになるのを避けるためにパーティを企画し彼らを饗したメリダ達。難しい立場となっていく彼らが恨み辛みも過去や未来への憂いなく歓談できたことは本当に良い時間だったのだろうなと思えた -
Posted by ブクログ
ドートリッシュ女学園での新しい日々が始まるかと思いきや、それすらも彼女らにとって安寧の時を齎さないとは…
最早クーファやメリダ達にとってフランドールの中というだけで全てを疑って掛からないといけない状況ということか
この巻で描かれるのは禁書『黒の書』を巡る冒険譚。といっても巻の殆どはボードゲーム世界での意地の悪い冒険に費やされるのだけど
これまでもハンディキャップを背負った上での戦い、冒険というのはあったけれど、マナも使えなければ武器もない。おまけにゲームはプレイヤーの神経を逆撫でしてくる仕掛けの数々は…
メリダ達はいつも悪戦苦闘してそれを打ち破るというのは通例になりつつあるけど、クーファがここまで苦戦したというのも珍しい。第4巻で偽王侯爵をした時以上の苦戦だったんじゃなかろうか
そういったストレスの溜まる冒険をした後は見ているこちらがスッキリするような戦闘が描かれると嬉しいのだけど……
こちらはこちらで別の苦闘が描かれたね
既に騎士団や貴族を敵に回していたクーファ達。ここに来て更に敵が増えてしまいましたか。おまけにその敵はこれまでの味方と来ているのだから堪らない
これまで共に笑いあった人達、一緒の時間を過ごした友人
そういった絆を振り切って更に深遠に向かって進んでいくメリダ達の旅路はどこへ繋がるのだろう
……と思っていただけにラストのまさか過ぎる展開には本当に驚愕
いや、まああのラブレターが登場した時点で何となくその展開は予想していたけども……
これってフランドール全てを敵に回るよりも、メリダの位階を変更するよりも、もっととんでもない事態を呼び込んでしまうのでは……? -
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前巻でセルジュが成し遂げた革命の成果がこれでもかと浸透していく第10巻
シクザール家が弱体化した今となっては貴族嫌悪の流れは正しいのだけど、その流れによってメリダとエリーゼの仲に重大な罅が入ることになろうとは……
セルジュの革命が完璧な形でなされなかったことにより、中途半端に貴族や軍人に権限が残ってしまった。
市民はこのまま貴族に舵取りを任せてよいのかと気勢を張る、貴族はその流れに純血思想を持ち出して逆らおうとしている。いわば今のフランドールは貴族と平民、どちらが優勢になってもおかしくない非常に危ういバランスで成り立っている
その流れがアンジェル姉妹を引き裂いていくのだけど……
いやぁ、まさかこのような危うい流れの中でメリダとエリーゼの成長が描かれるとは思わなかった
二人は常に双翼の姉妹として機能した一時たりとも離れがたい存在。でも、学園のためにそして下級生のために離れる決断を自らしようとは
最上級生になったことも在るのだろうけど、常に騒動の渦中に居たことで二人は見た目以上の成長を手にしていたようだね
そしてこの巻にて、別の成長を見せつけたのがクーファ
彼は暗殺者として正体を隠し思惑を隠し独りで行動してきた。メリダに正体を明かしてからは彼女とコンビを組むように活動することもあったけれど、基本的にクーファと完全に協力して暗躍できるのは彼の正体を知っている事が条件だった
だというのに、この巻でクーファはその暗躍においてロゼッティのみならず生徒会やお屋敷のメイドにまで協力を願い出ている
独りで影に居た彼がメリダと共に過ごす中で培った皆との絆を認め、それを事態を切り開く力の一つとして数える様子にはもはやただの暗殺者ではないのだと感じられた
そういや、ミュールからの古めかしいラブレターは何を意味するのだろう?
ラストの描写からもミュールの身に何かが起きているようだし、次巻からはミュールの出自に関するエピソードも描かれるのかな? -
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セルジュ=シクザールによる革命篇後編
正直、このエピソードについては始まりの前提部分にあまり納得出来ない要素があったので、個人的には何から何まで楽しめたとは言い難いのだけど、それでも革命が終盤に近づき収まるべき所に収まっていく段になると、それなりの満足感を得られたように思う
仲間にも友人にも妹にも本心を明かすことなく計画を推し進めていたセルジュ
彼がそこまで破滅的な道を歩む原因となったのは乗り越えようがない運命にぶち当たってしまったからだね
彼やシクザール家は自身に掛かった呪い、シクザール家が欠けた後のフランドールの命運を乗り越えられないと考えてしまったから犠牲が出ても希望が残る破滅を選ぶしか無かった
対して、革命を阻止しようとする者達はセルジュとは逆に乗り越えられないだろうと思われた壁を幾つも打ち破る様子が描かれているね
味方を傷つけることを恐れていたロゼッティはエリーゼとの共闘の中で恐怖を乗り越え、紙一重の攻撃を何度も繰り返した
孤独に生きてきた暗殺教師クーファは暗殺対象であるセルジュを殺さないことで手に入るはずがなかった友人を手に入れた
そして誰よりも大きな壁を乗り越えて雄々しく立ち上がって見せたのがサラシャだね
気弱でどこか頼りないところがあったサラシャ。何よりも学生で戦闘能力も未熟。
どう考えても一人前とは言えない彼女が兄の汚名を前にしてあれほど毅然とした決断をするとは……
兄の腕を切り飛ばした鋭さ、そして愛する兄を大罪人として大衆の前に引きずり出す覚悟
短い間に誰よりも大きな成長を見せた彼女の強さは計り知れないね
そしてクーファさんは盛大な勘違い……というか誤魔化しをしましたね。クーファについては第1巻の時点でメリダに魅了されていて、その昂りが抗いようもなく溢れてしまったのが7巻ラストのあのキスだったと解釈していたのだけど、まさかこれを師弟愛と解釈するとは!
メリダにとっては傍迷惑、クーファにとっては自己満足。果てしないすれ違いはちょっとやそっとじゃ乗り越えられないように思うけれど、でもこれまでも幾つもの運命を乗り越えてきたメリダなら或いは……とも思ってしまうが -
Posted by ブクログ
短編集であるためか、いつもの熱血展開は鳴りを潜めて変わりに前面に出てくるのは学園描写やらお色気描写やら
本作が好きな人にとっては堪らない内容になっているね
また、普段はヒロイン4人と纏められて扱われそうなところ、ヒロインそれぞれにきちんとスポットライトが当たるエピソードが配置されている構成はちょっとオトク感が有るかもしれない
第1話 ”四季彩の秘密前夜祭”
前半部は乙女達の秘密のお茶会、後半部は笑えるパニックホラーと2つの色を持った短編
この話で面白いのは灰色の魔女よりも恐ろしい敵に立ち向かってきた筈のメリダ達が年相当の姿で逃げ惑う様子か
特に二度も天井に頭をぶつけてしまうサラシャは混乱の極地にあったのだろうと察せられるけど、それにしたってその姿は竜騎士の名が泣くよ(笑)
第2話 ”銀色の教場決闘”
結局メリダとエリーゼが喧嘩している理由って明かされたっけ?まあ、あの年頃なら些細な理由で喧嘩を始めて、あっさりと仲直りしそうだけど
メリダと絶賛喧嘩中のエリーゼはいつかの試合模様を思い出させるかのように独壇場を繰り広げるのだけど、それがチームスポーツである以上、一人で出来ることには限界があるわけで。最も助けが欲しい場面で颯爽と現れるメリダはやはり主人公属性なのだなと再確認
……抜群のコンビネーションを見せてなお、メリダをはぶくエリーゼの意地には笑ってしまうが
第3話 ”純黒の水上迷路”
奇妙な短文から想像の輪を広げていくミュールの姿には驚き。ミュールは常々詩的な表現を用いる少女ではあったけど、そういった特性が遺憾なく発揮されているね
そんな彼女が答えの無い想像や淡い期待を繰り広げずには居られないクーファとの邂逅。本編ではあっさりとやり過ごされてしまったかのように思えていたクーファとミュールの対面がどれだけ彼女に影響を与えていたか判るようになっているね
というか、ラストの描写を見る限りクーファの前でのミュールの態度って随分背伸びしたものだったんだなぁ
第4話 ”美桜の蜜月逃避行”
サラシャが前面に出てくるといつもよりお色気要素が倍増しているような……
本編ではいつの間にかクーファと親しくなっていた印象もなくはないサラシャメインのエピソード。この短編を読むことでサラシャがクーファのどこに惹かれたかが判るね
逃避行からの密着、一番恥ずかしいところを見せ……。その代わりに見えたクーファの年相応の姿。男性への免疫が無いサラシャにとっては劇的な触れ合いが丁度良かったのだろうな
第5話 ”真白き園の学院七不思議”
ミトナの割と冗談では済まない性癖が見えてくるエピソード。ミトナの趣味嗜好のために七不思議の内容が選ばれるのもヤバイけど、同じ趣味嗜好で固まっている生徒会も充分にヤバいね(笑)
それにしても、女子更衣室に入り込んでも平然と馴染めるクーファって何なの……!?
第6話 ”金華の夢幻後夜祭”
まさか灰色の魔女が登場するとは……
摩訶不思議な事態を通して描かれるメリダの隠された欲求とメリダから見えるエリーゼたちの印象
メリダからはエリーゼが幼い妹のように見えているというのはそれ程おかしな印象ではないのだけど、もはや痴女としか表現しようのないミュールの真似はメリダにもダメージ大きそうだし、ミュールも被害受けているし、クーファもおたおたしていて、誰も幸せになれそうにない点には笑ってしまう
第7話 ”緋熱の譜蘭学園高等部”
幼くして運命を捻じ曲げられたクーファとロゼッティ。そんな二人だからこそ、普通の生活というものに憧れてしまって……
そう考えるとこのような運命を持った二人がメリダ達の家庭教師として学園生活に付き従っているのはどういう心境なのだろうなぁ……
ロゼッティと共有したクーファの夢。それがフープ・ニーニにとって極上のご馳走と表現されながら、ロゼッティの夢を守るために差し出されたことに一抹の寂しさを感じてしまった