早野透のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
朝日新聞政治部の番記者による田中角栄伝。良くも悪しくも戦後日本を語る上で欠かせない田中の評伝としては良くまとまっているし、政治部記者らしく他の政治家との関係や比較、またさまざまなエピソード(あえて不確実な情報も入れて当時の雰囲気を伝えている)も豊富で臨場感ある叙述になっているように思う。
個人的には田中の前の池田政権時の高度成長政策と田中の再配分政策の比較、福田蔵相になってからの緊縮路線(列島改造論の放棄)、にもかかわらず、その後継続していく田中型利益誘導政治のメカニズムなど、経済政策面での変遷の整理がもう少し欲しかったが、まぁ、それは無い物ねだりなのだろう。
当時の政治状況の基本を押さえ -
Posted by ブクログ
【99冊目】非常に興味深い本でした。非常によくまとまった田中角栄入門書でした。
角栄のこと、全然知らなかったので、初期の上京から議員になるまでの立身出世の物語、議員初期の議員立法への尽力期、即断即決と巧みな利益誘導、そして自身の経験からくる人心把握術を存分に発揮した中堅議員期から初入閣の郵政大臣、権力の絶頂を極めた幹事長時代から、角福戦争を経て首相へ。2つの論文により、カネと女の両面から責めたてられ、首相の座は手放すも、目白の闇将軍として隠然たる力を発揮した引退期・・・
その経路は確かに戦後日本の自画像である。一昔前の政治や社会のイメージを代表している、それが角栄という印象。
面白いと思っ -
Posted by ブクログ
田中角栄の一生をコンパクトにまとめた新書。昨年(2012年)に書かれたことで、これまでの膨大な角栄関係の著作や資料などにも言及しながら、より冷めた視点で角栄を記述することで、より真実の田中角栄像が捉えられていると思う。
個人的には、田中角栄という人は、非常に男気があり、懐深く、人の気持ちの分かる魅力的な人物という印象。
一方で、政治家としての評価は良くも悪くも極端。
○は、抜群の実行力とリーダーシップ。山一証券倒産の時の金融危機の回避などは、政治家としての類稀なる能力を持った人。そして特質すべきは日中共同声明だろう。
×は、政治思想や政策。これにカネを加える人もいるかと思うが、やっぱり -
Posted by ブクログ
小学校卒業で首相にまでのぼりつめ、
日本に高速道路や鉄道を張り巡らし、
田舎に団地などをぼんぼん作った人。
そんなイメージで手に取りました。
松下幸之助のように、
成功するためのキーワードが、
星の数ほどちりばめられているだろう……。
と期待して読み始めましたが、
すぐに裏切られることに。
それほど、この方は偉人すぎました。
高校や大学を卒業した人でも、
そうそう、この方のように生きられるものではありません。
といっても、まるで参考にならないかというと、
なんだかポジティブになります。
「思ったら即、行動しないと!」
といった、わくわく感も湧きます。
ときに、日本人には受け入れられ