【感想・ネタバレ】丸山眞男と田中角栄 「戦後民主主義」の逆襲のレビュー

あらすじ

軍国ファシズムを告発した戦後民主主義の思想的支柱・丸山眞男と、憲法改正には目もくれず民衆の生活向上に邁進した“コンピューター付きブルドーザー”田中角栄。辺境の少数者や、共同体のはぐれ者まで含めた、庶民が担うデモクラシーこそ政治の根幹であるとし、戦争体験とその悔恨を原点に、戦後日本を実践・体現した二人の足跡を振り返る。右傾化への道を暴走する安倍政権が「戦後レジームからの脱却」を唱える今こそ、国家による思惟の独占を阻み、闘い続けるための可能性を問う、闘争の書。【目次】まえがき(早野 透)/第一章 戦争は罪である――丸山と角栄の二等兵体験/第二章 はみ出し者の民主主義――丸山学派と田中派/第三章 市民か庶民か有象無象か――丸山思想から角栄を解読する/第四章 精神のリレーと断絶――民主主義の実践者たちの系譜/第五章 民主主義の永久革命――「超国家主義の論理と心理」『日本列島改造論』そして未来へ/あとがき(佐高 信)/丸山眞男・田中角栄 対照年譜

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Posted by ブクログ

一見、何じゃこりゃというタイトル。しかし、「戦後民主主義」の上半身は丸山眞男が、下半身は田中角栄が体現していた、そのことは「戦後」を一括りに葬り去ろうとする安倍晋三らの動きによって、より明瞭になってきている、という指摘は、なるほどそういう見方もありえるのかと思った。
ただ、丸山・角栄の衣鉢を継ぐ者が、小田実はともかく、辻元清美とかって話になると、「戦後民主主義」の今後もなかなか寒々しい。
それに丸山・角栄と、安倍・小泉純一郎・岸信介との違いは、軍隊で二等兵になって殴られた経験があるかどうかだという話が安易に強調され過ぎている。分かりやすい対比ではあるのだが、一歩間違えば「軍隊で殴られていない奴は、軍隊の真実を知らないからダメだ」ということになりはしないか?
それでは、せっかく丸山・角栄を持ち出しても、新たなる軍隊経験を国民に強いようとしている安倍らの動きを封じるのは難しいだろう。
いろいろ考えさせられる一冊であった。

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2015年09月23日

Posted by ブクログ

早野透『田中角栄』(中公新書)の裏話を,丸山眞男を引き合いに出しつつ論じるという。佐高信が丸山に親しんでいた事実を知って,個人的にびっくり。

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2015年07月30日

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