早野透のレビュー一覧

  • 田中角栄 戦後日本の悲しき自画像

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    日本の歴代総理の中で最年少かつ最も人気のある田中角栄が、幼少期から国のトップに登り詰め、日中国交正常化、日米繊維交渉、日本改造論から、超大型予算によるインフレ常態化、それによる支持率低下、最終的にロッキード事件において収賄罪として起訴されて不遇の最後を迎えるまで、本人の人柄と合わせて巧みに描かれている。事件が起きて支持率が低下しても、新潟では圧倒的な人気を誇り、学歴もなくどもりを抱えながらも成し上がっていったその姿は昭和のロマンを一身に背負っていたようである。戦後日本を語る上でも欠かせない田中角栄を評価する上では有益な一冊である。

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    2024年09月10日
  • 田中角栄 戦後日本の悲しき自画像

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    昔総理大臣やってた人だよね?ぐらいの認識しかなかったのですが、戦後の日本にはなくてはならない人だったんだと思う。
    賛否両論ありそうな半生だけど、現実的に日本を発展させるには、この人しかいなかったのではないかと思わせる。

    話しぶりも庶民にわかりやすい内容で、日本を、世界を動かしていった。
    政治にカネはつきもの。カネは使える人が使えばいい。現在の世論では、税金の無駄遣いには異常なほど敏感に反応するけど、自分の家計の無駄遣いには無頓着な印象を受ける。
    この辺りは今度まとめて記述したい。

    以下引用
    世論とは何か。主権在民だ。国論は国民の投票の結果でしか決まる道はない。新聞が世論ではない。一億玉砕と

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    2020年04月13日
  • 田中角栄 戦後日本の悲しき自画像

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    自民党政権復活というタイミングで、ふと田中角栄さんを振り返りたくなり、手にとった一冊。
    朝日新聞の番記者(早野さん)による、どちらかというと主観的要素があまりなく、生涯を綴られています。
    コンピュータ付きブルドーザーという異名の通りの即断即決ぶりや、義理人情をモノやカネという財に替えて人を惹きつけるリアリスト。
    ただ残念なのが二点。
    第一は、リアリスト故に大局観に欠けていた点。日中国交回復やオイルショック後の資源外交の対応でのアメリカへの配慮。
    第二は、逮捕後からの闇将軍としての院政。
    しかしながら、理想だけでは物事は進まないということと、人への機敏さがなければなにも成し遂げられないということ

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    2017年05月07日
  • 田中角栄 戦後日本の悲しき自画像

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    今、この時代になぜ、田中角栄か?
    いや、戦後のこの国の政治を語るには、この男から始めなければならない。今、参議院選挙まっただ中だが、この国の政治の構図を形作ったのは田中角栄です。
    戦後間もなくの吉田学校からスタートし池田、佐藤と政権に存在し、「日本列島改造論」を手に、政治をすすめ歪めた・・・。
    戦後から昭和の時代の我々日本国民の、イデオロギーを見直させる一冊です。
    安倍総理にも角栄さんの心理を読んでほしいです。

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    2013年07月05日
  • 田中角栄 戦後日本の悲しき自画像

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    角栄の人物、政治家としての軌跡のみならず、戦後史のお勉強にもなりました。

    実は、一度だけご本人にお目にかかり(目白台の御殿の中)、一言だけ、声をかけて(ヨッシャ、ヨッシャ)もらったことがある。その頃は闇将軍と言われてた頃ですが、思っていたより気さくで、いかにも土建屋の親父という印象がしたのを覚えています。

    あの時代の人達は、カネにこだわった人も沢山いると思うが、今みたいに、カネに汚い、あるいは、カネがすべてという人は少なかったような気がする。
    角栄も、結局はカネで失敗したが、何故か許せる感じかするのは、富の配分を、自己の権力保持の為かもしれないが意識してたからかもしれない。

    あと、作者も

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    2013年06月22日
  • 田中角栄 戦後日本の悲しき自画像

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    田中角栄といえば、ロッキード事件。元首相が有罪判決となり、日本政治が金に左右されることが明らかになった。

    ロッキード事件の印象があまりに強く、政治家田中角栄について語られることは少ない。しかし、地方の貧しい無教育な青年が政治家となり、首相にまで成り上がっていったことについては、格差社会である現在において、もうちょっと評価されてもいいのかなって気がする。

    とにかくテレビ局には放送免許、地方には高速道路建設と利益誘導のために、官僚を使いまくって議員立法を成立させるパワーは今の政治家にはない。

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    2013年06月10日
  • 田中角栄 戦後日本の悲しき自画像

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    田中角栄の伝記。
    文体もわかりやすく、内容もスッキリしていて分量の割に読みやすい。
    田中角栄という人物を通して戦中の雰囲気と
    戦後から今につながる自民党政治を覗くことができた。
    新潟の事情や派閥とは、カネとは何かが感じ取れ、
    現在の政治の根底すら伺える良書。
    大平正芳の伝記も合わせて読んでみたい。

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    2013年04月04日
  • 田中角栄 戦後日本の悲しき自画像

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    一気に読んだ。既知の内容が多いが、改めて昭和の政治史を学ぶ。そして昭和生まれの自分としては何か懐かしい感じがする。他方、今起きている事象や環境とも一脈通じるものを感じた。豊富なエピソード、読みやすい文体、過不足のない説明。事実が淡々と積み上げられている。良書。

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    2013年02月11日
  • 田中角栄 戦後日本の悲しき自画像

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    田中角栄の一生を前半期を中心に書いたもの。
    客観的でありつつも、番記者だったからか同情的な視線が根底に感じられる。
    首相までの上り坂とその後の凋落がコントラストとなっているが、戦後の総理で最も人間的魅力を感じさせるのは角栄だろう。
    彼のバックボーンにある新潟県民の恨み、羨望を救済しようとしたからこそ、戦後日本社会の安定はあるのではないか。

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    2022年10月05日
  • 田中角栄 戦後日本の悲しき自画像

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    野中広務に続き、次は田中角栄。新書大賞2位ってことで前から手もとにはあったんだけど、なんせ普通の新書2冊分くらいの分量だから尻込みしてしまい、なかなか読む気にならんかった。自民党史上、最大級大物の評伝。出版形態は違うけど、件の野中文庫とほぼ同様の体裁。薄汚い献金事件と、最後までそれを認めなかったことで、圧倒的に晩節を汚しているとしか思えんけど、ここだけを見ると、まるで最近長期政権を担った誰かさんのよう。そっちは結局、事件にもならず逃げ切る気ぽいけど。当時と違い、党として団結して隠蔽に走っているところが、その凋落ぶりを物語っている。そう考えると、この当時はまだ、党内であっても不正は糺す、という気

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    2021年12月09日
  • 田中角栄 戦後日本の悲しき自画像

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    「できることはやる。できないことはやらない。全ての責任はこの田中角栄が負う」
    金権政治の元祖。田中角栄以後は、それ以前と桁の違うカネが動いた。三木政権による徹底的な汚職追及。やっていないと言い張れるの何故か?認めたら終わり?小沢はカタチだけ真似してるんだな、多分。

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    2018年11月04日
  • 田中角栄 戦後日本の悲しき自画像

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    昭和時代をイメージさせる人物として田中角栄さんはランキングの上位にいると思います。そんな人物ですから、関連図書も多く、どれを読んだらいいのか?って迷ってしまいます。

    本書は、田中角栄さんのそばで記者をしてた著者が、その生い立ち、民間会社時代、政治家時代、ロッキード事件、そして人生の終焉までをまとめた決定版的な本です。
    角栄本は沢山あるけど、まずはこの一冊という軽いノリで読まれてはいかがでしょうか。

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    2018年08月04日
  • 田中角栄 戦後日本の悲しき自画像

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    田中角栄の政治家としての人生を描いた書籍。これまで知っているようでいて、よく知っていなかった角栄をとある視点から知る良書。若手のころは、ブルドーザーばりに法案を作り、道路を作り、と活躍していたが、手法としてはカネが重要な役割を担っており、それが後年の失脚につながっている。田中派議員が結局はカネ問題に引っ掛かっていったのも、角栄を批判しながらも、自らが角栄を越えることができずに同じ手法に陥っていたからだろう。そういった意味でも、先見の明を持った政治家であったことは間違いない。戦後日本の変曲点に頻繁に顔を出す一方で、アメリカとの関係には悩まされたということだろう。

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    2017年01月29日
  • 田中角栄 戦後日本の悲しき自画像

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    ネタバレ

    著者は元朝日新聞の記者
    総理番になった時の総理が角栄
    その後、八ヶ月で田中内閣終了するが
    キャップからの指示で閣僚だけ声かけすればよいと言われるも
    角栄が牛耳っているので角栄攻略に乗り出す
    角栄が新潟に帰るときは同じ車両の近くに座り、イベントに顔出しし覚えられ
    目白に呼ばれる
    ロッキード事件で実刑判決を受けた後も当選させる新潟三区、理由知りたさに志願して新潟支局へ赴任
    なんという角栄マニア!

    内容も独自の取材も有り、流用も多々あるが
    出典の明記がされており、ちょっとした
    角栄年表もついている
    出版の依頼は二年前からあったようだが
    現在は桜美林大学で教えており、筆を取るつもりはなかったようだが

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    2016年07月09日
  • 田中角栄 戦後日本の悲しき自画像

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    友人との雑談で、スティーブ・ジョブズって社会をより良くしようとしたけど、良い社会人ではなかったよね、って盛り上がり、そんな日本人いるかな、と言って出てきたのが、田中角栄の名前。その直後、出張の新幹線に乗る前、つい買っちゃったのがこの新書。仇敵、青嵐会の石原慎太郎の新作「天才」より、もっと冷静な評伝なのかな、と思って手にしたのです。朝日新聞の記者らしい距離感を保っているようにも感じますが、そもそも政治記者としての人生をこの傑出した才能に相対し続けて来た人の文章なので、相当に熱を放出している、と思いました。それは、時代の熱であったのかもしれません。人々が欲望に躊躇しなくなった時代の熱。日本中が東京

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    2016年05月20日
  • 田中角栄 戦後日本の悲しき自画像

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    田中番の記者による角栄本
    角栄晩年の担当の為か時として突き放した様な表現もあるが、角栄への溢れる興味が随所に見られる
    小沢一郎氏は角栄イズムを継承しようとしたのだろうが、角栄にあった情が無いのだろう

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    2016年01月05日
  • 丸山眞男と田中角栄 「戦後民主主義」の逆襲

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    一見、何じゃこりゃというタイトル。しかし、「戦後民主主義」の上半身は丸山眞男が、下半身は田中角栄が体現していた、そのことは「戦後」を一括りに葬り去ろうとする安倍晋三らの動きによって、より明瞭になってきている、という指摘は、なるほどそういう見方もありえるのかと思った。
    ただ、丸山・角栄の衣鉢を継ぐ者が、小田実はともかく、辻元清美とかって話になると、「戦後民主主義」の今後もなかなか寒々しい。
    それに丸山・角栄と、安倍・小泉純一郎・岸信介との違いは、軍隊で二等兵になって殴られた経験があるかどうかだという話が安易に強調され過ぎている。分かりやすい対比ではあるのだが、一歩間違えば「軍隊で殴られていない奴

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    2015年09月23日
  • 田中角栄 戦後日本の悲しき自画像

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    時代を感じさせる
    手段を問わず強引でも自山達のために尽くしてくれる政治家としては頂点に君臨するのだろう

    新書にしては分厚いけれど、時代とともに角栄のポジションの移り変わりをわかりやすく解説してくれる本である。

    角栄に対峙する検察官が正義の体現として評価されたのはよくわかる気がした。

    ただ、こういう圧倒的な現実の前に、法律で何ができるかというのは難しいなと思う。

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    2015年03月16日
  • 田中角栄 戦後日本の悲しき自画像

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    んー。
    面白いっていうのとも違うから、☆4つにするべきなのかよく分からないけど、田中角栄っていう人と、その周りを取り巻く環境が、本当に興味深いなぁと思ったので☆4つ。
    今更だけど、田中角栄って、思ってた以上に、最近の人なんだな、ってまずちょっと驚いた。
    今でも政界のドンとして活躍しているような人々の名前が普通に出てきていて、なんか、脈々とつながる何かを感じたり。
    お金の流れにひたすらびっくりしたり。
    政治にお金が使われるのはあり得るとして、一体どうしてそんなお金が…と謎だけど。
    日本かくあるべし、ということを真剣に考えるのはロマンだとか思ったり。

    結局は、地元にリターンがあることが、政治家の

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    2015年02月05日
  • 田中角栄 戦後日本の悲しき自画像

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    番記者経験者による田中角栄の伝記。
    本書を読んで、田名角栄は、金権という意味ではやはり真っ黒であるし、現在の日本社会に負の遺産を残したという面は否定できないが、非常に魅力ある優れた政治家であったということを再確認した。
    小泉元首相が、構造改革でいう構造とは何かと問われて、「田中角栄が作った政治構造だ」と答えたというエピソードが紹介されていたが、国土開発、道路特定財源、郵政、電源3法、福祉など、戦後の政治・社会構造を作りあげたのが、まさに田中角栄であったと感じた。現代においては、綻びが出てきているのは間違いないが、当時においては、時代に即した政策であったのだと思う。
    33本の議員立法、官僚掌握術

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    2014年09月11日