早野透のレビュー一覧
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昔総理大臣やってた人だよね?ぐらいの認識しかなかったのですが、戦後の日本にはなくてはならない人だったんだと思う。
賛否両論ありそうな半生だけど、現実的に日本を発展させるには、この人しかいなかったのではないかと思わせる。
話しぶりも庶民にわかりやすい内容で、日本を、世界を動かしていった。
政治にカネはつきもの。カネは使える人が使えばいい。現在の世論では、税金の無駄遣いには異常なほど敏感に反応するけど、自分の家計の無駄遣いには無頓着な印象を受ける。
この辺りは今度まとめて記述したい。
以下引用
世論とは何か。主権在民だ。国論は国民の投票の結果でしか決まる道はない。新聞が世論ではない。一億玉砕と -
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自民党政権復活というタイミングで、ふと田中角栄さんを振り返りたくなり、手にとった一冊。
朝日新聞の番記者(早野さん)による、どちらかというと主観的要素があまりなく、生涯を綴られています。
コンピュータ付きブルドーザーという異名の通りの即断即決ぶりや、義理人情をモノやカネという財に替えて人を惹きつけるリアリスト。
ただ残念なのが二点。
第一は、リアリスト故に大局観に欠けていた点。日中国交回復やオイルショック後の資源外交の対応でのアメリカへの配慮。
第二は、逮捕後からの闇将軍としての院政。
しかしながら、理想だけでは物事は進まないということと、人への機敏さがなければなにも成し遂げられないということ -
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角栄の人物、政治家としての軌跡のみならず、戦後史のお勉強にもなりました。
実は、一度だけご本人にお目にかかり(目白台の御殿の中)、一言だけ、声をかけて(ヨッシャ、ヨッシャ)もらったことがある。その頃は闇将軍と言われてた頃ですが、思っていたより気さくで、いかにも土建屋の親父という印象がしたのを覚えています。
あの時代の人達は、カネにこだわった人も沢山いると思うが、今みたいに、カネに汚い、あるいは、カネがすべてという人は少なかったような気がする。
角栄も、結局はカネで失敗したが、何故か許せる感じかするのは、富の配分を、自己の権力保持の為かもしれないが意識してたからかもしれない。
あと、作者も -
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野中広務に続き、次は田中角栄。新書大賞2位ってことで前から手もとにはあったんだけど、なんせ普通の新書2冊分くらいの分量だから尻込みしてしまい、なかなか読む気にならんかった。自民党史上、最大級大物の評伝。出版形態は違うけど、件の野中文庫とほぼ同様の体裁。薄汚い献金事件と、最後までそれを認めなかったことで、圧倒的に晩節を汚しているとしか思えんけど、ここだけを見ると、まるで最近長期政権を担った誰かさんのよう。そっちは結局、事件にもならず逃げ切る気ぽいけど。当時と違い、党として団結して隠蔽に走っているところが、その凋落ぶりを物語っている。そう考えると、この当時はまだ、党内であっても不正は糺す、という気
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田中角栄の政治家としての人生を描いた書籍。これまで知っているようでいて、よく知っていなかった角栄をとある視点から知る良書。若手のころは、ブルドーザーばりに法案を作り、道路を作り、と活躍していたが、手法としてはカネが重要な役割を担っており、それが後年の失脚につながっている。田中派議員が結局はカネ問題に引っ掛かっていったのも、角栄を批判しながらも、自らが角栄を越えることができずに同じ手法に陥っていたからだろう。そういった意味でも、先見の明を持った政治家であったことは間違いない。戦後日本の変曲点に頻繁に顔を出す一方で、アメリカとの関係には悩まされたということだろう。
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ネタバレ著者は元朝日新聞の記者
総理番になった時の総理が角栄
その後、八ヶ月で田中内閣終了するが
キャップからの指示で閣僚だけ声かけすればよいと言われるも
角栄が牛耳っているので角栄攻略に乗り出す
角栄が新潟に帰るときは同じ車両の近くに座り、イベントに顔出しし覚えられ
目白に呼ばれる
ロッキード事件で実刑判決を受けた後も当選させる新潟三区、理由知りたさに志願して新潟支局へ赴任
なんという角栄マニア!
内容も独自の取材も有り、流用も多々あるが
出典の明記がされており、ちょっとした
角栄年表もついている
出版の依頼は二年前からあったようだが
現在は桜美林大学で教えており、筆を取るつもりはなかったようだが -
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友人との雑談で、スティーブ・ジョブズって社会をより良くしようとしたけど、良い社会人ではなかったよね、って盛り上がり、そんな日本人いるかな、と言って出てきたのが、田中角栄の名前。その直後、出張の新幹線に乗る前、つい買っちゃったのがこの新書。仇敵、青嵐会の石原慎太郎の新作「天才」より、もっと冷静な評伝なのかな、と思って手にしたのです。朝日新聞の記者らしい距離感を保っているようにも感じますが、そもそも政治記者としての人生をこの傑出した才能に相対し続けて来た人の文章なので、相当に熱を放出している、と思いました。それは、時代の熱であったのかもしれません。人々が欲望に躊躇しなくなった時代の熱。日本中が東京
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一見、何じゃこりゃというタイトル。しかし、「戦後民主主義」の上半身は丸山眞男が、下半身は田中角栄が体現していた、そのことは「戦後」を一括りに葬り去ろうとする安倍晋三らの動きによって、より明瞭になってきている、という指摘は、なるほどそういう見方もありえるのかと思った。
ただ、丸山・角栄の衣鉢を継ぐ者が、小田実はともかく、辻元清美とかって話になると、「戦後民主主義」の今後もなかなか寒々しい。
それに丸山・角栄と、安倍・小泉純一郎・岸信介との違いは、軍隊で二等兵になって殴られた経験があるかどうかだという話が安易に強調され過ぎている。分かりやすい対比ではあるのだが、一歩間違えば「軍隊で殴られていない奴 -
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んー。
面白いっていうのとも違うから、☆4つにするべきなのかよく分からないけど、田中角栄っていう人と、その周りを取り巻く環境が、本当に興味深いなぁと思ったので☆4つ。
今更だけど、田中角栄って、思ってた以上に、最近の人なんだな、ってまずちょっと驚いた。
今でも政界のドンとして活躍しているような人々の名前が普通に出てきていて、なんか、脈々とつながる何かを感じたり。
お金の流れにひたすらびっくりしたり。
政治にお金が使われるのはあり得るとして、一体どうしてそんなお金が…と謎だけど。
日本かくあるべし、ということを真剣に考えるのはロマンだとか思ったり。
結局は、地元にリターンがあることが、政治家の -
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番記者経験者による田中角栄の伝記。
本書を読んで、田名角栄は、金権という意味ではやはり真っ黒であるし、現在の日本社会に負の遺産を残したという面は否定できないが、非常に魅力ある優れた政治家であったということを再確認した。
小泉元首相が、構造改革でいう構造とは何かと問われて、「田中角栄が作った政治構造だ」と答えたというエピソードが紹介されていたが、国土開発、道路特定財源、郵政、電源3法、福祉など、戦後の政治・社会構造を作りあげたのが、まさに田中角栄であったと感じた。現代においては、綻びが出てきているのは間違いないが、当時においては、時代に即した政策であったのだと思う。
33本の議員立法、官僚掌握術