畠山丑雄のレビュー一覧
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ネタバレ「せやし僕の育てた罌粟畑を陛下に一回だけでも見てもろて、よう頑張ったな、て言うてもらいたいねん」と川又青年は言った。もう走り出していた。「せやなくても、陛下のために花畑が、今も向こうで咲き誇ってますって、せめてそれだけでもお伝えせんことには」(p130)
ここの一文だけが、今、自分の置かれている状況と重なって、心に刺さってしまった。戦時中に、国のため、植民地を回って罌粟畑作りをした川又青年は、戦後、自分のやってきた仕事を全否定されることになる。一度だけでも見てもらいたい。「よう頑張ったな」と言ってもらいたいという言葉には、切実な思いがあるように思う。
人のやってきた仕事などというものは、大な -
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第174回芥川賞受賞作。
とてもつかみどころのない作品だった。日常的なことを取り扱っているが、次から次へとエピソードが繰り出される。その狙いもわからないまま、結論を出すことなく、新たなエピソードが現れる。何を言いたいのか、いずれ明らかになるかな、と待ち望みながら読み進めるが、状況は好転することなく、最後には突然放り出される。タイトルの「叫び」は読者の読後の思いから発せられるのでは、と勘ぐりたくなる。
物語は職場での何気ない会話からスタートする。土日の選挙事務に誰か対応できるか、との上司の依頼に対して、主人公の早野は銅鐸作りがあり、出れない事情を説明する。その銅鐸を今度職場に持ってきてよ、との上 -
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かつて日本が満州に上陸していったことと、現代の大阪万博を川又青年と銅鐸を介してつなぐような物語の構成になっていたようだが、あまりよく理解できなかった。
文体というか表現もおろしろくしたいのか、昔、罌粟を栽培するしかなくて声を挙げられなかった当時の人を拾い救う高邁なお話なのかそれもよくわからなかった。
現代に生きる早野もしおりさんもそれほど器用に生きているわけではないから何かしらの救いを描きたかったのかなというようには思いながら読んでいたのだが、最後、早野が大阪万博で銃刀法所持違反かなにかで警察に逮捕されてしまって物語が終わったのはとても唐突に感じた。