畠山丑雄のレビュー一覧

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    マッチングアプリで知り合った女に騙され、茨木に越してきた地方公務員の早野。反動で酒と女に溺れ、金は底を尽き、深夜に徘徊していたときに聞こえてきた鐘の音を辿って、銅鐸作りの“先生”に出会う。以後、彼は銅鐸作りを生きがいにするが……。
    純文学らしい硬派な文体で描き出されるのは、なんとも滑稽で奇天烈な物語だ。背景に横たわるのは茨木の歴史と、国策としての満州での罌粟栽培という暗部。「土地の名があって、それから人の名があった」という冒頭の一文が、読み進めるうちに重く響いてくる。
    第174回芥川賞受賞作。

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    2026年03月01日
  • 叫び

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    万博と天皇、満州と罌粟の花、銅鐸と聖、恋人とその父‥
    色んなテーマが複線的に走り、時に錯綜する。特に茨木という街の歴史から満州へと繋がる辺りは知らなかった事柄が郷土史から掘り出され、土地勘のある読者からすると興味深かった。
    ただ全体としてみれば、終盤に現れる天皇の扱いにももう少し助走がほしいし、先人の幻がなぜ現代の性愛関係に行き詰まっただけの青年に憑依したのかわけがわからず、これを政治小説と呼ぶのはやや気が引けるのだ。関西弁の書きぶりなどは正確で嫌味がなく、津村記久子の筆法を思わせる所もあり、ユーモア路線の作品も期待したいところ。今作はなんとなく消化不良であった。

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    2026年03月01日
  • 叫び

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    早野ひかるが「先生」を知り、銅鐸と土地について学び向き合っていく。
    不器用で目が離せない感がある早野の行動は、少し突飛に感じたりしながらも、先が見えない不安は拭えない。


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    2026年02月28日
  • 叫び

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    なんだろう。
    庄司薫が受賞したときのシニア、ってこんな気持ちだった?って思った、って記録しとこう。
    市役所、茨木、どこも想像してて気持ちが「連れていかれる」場所じゃないからか。

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    2026年02月27日
  • 叫び

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    芥川賞の受賞作は面白くない前提でしたが、割と普通に読めたのでびっくりしました。とは言え、消化不良は残りましたが。。。

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    2026年02月25日
  • 叫び

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    ほんとうに不思議な読後感。いかにも“芥川賞らしい”テイストの作品で、好みははっきり分かれそうだ。

    物語としての大きなうねりよりも、人物の内面や言葉の質感に重心が置かれている印象。出来事はどこか現実からわずかにずれ、その違和を抱えたまま読み進める感覚が続く。その抑制の効いた語り口こそが、この作品の持ち味なのだろう。

    個人的には嫌いではない。ただ、強く刺さるというほどでもなく、そのままラストまで読み終えてしまった、という感覚に近い。銅鐸で殴られる場面や終盤のオチなど、ところどころに面白がれるポイントはあるものの、全体としては、もう一段階突き抜けてもよかったのでは、とも思う。もっとも、そうなると

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    2026年02月25日
  • 叫び

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    語彙・表現が豊富で、辞書を何度も引きながら読みました。
    あの事件を彷彿とさせる感じが、何とも言えず個人的には好きです。

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    2026年02月22日
  • 叫び

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    過去に生きる川又青年と早野の境界が曖昧になっていく後半は読み応えあった。(よくあるパターンかもしれないけど)

    前半の拙速感が、なかなかついていきにくい感あり。
    でもところどころの表現にうーん!と唸るようなものもあり、才能を感じた。こういうところ、評価されたんだろうなと思う。
    もっと書いて、プロットがプロらしくなっていくときっともっと面白くなるんだろうなと思う。(素人はやたら上から目線でごめんなさい笑)

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    2026年02月20日
  • 叫び

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    芥川賞受賞作。
    芥川賞は難しいというイメージを持たれがちだが本作は読める…がどう感じてよいのかが難しい。成り行きで銅鐸を作ることなった早野は、蘊蓄垂れ流す先生のもとで上手くなっていく。市民交流コーディネーターとして郷土史について教えるなかでしおりと親しくなっていくが…。
    まさかラストがこのような結末になるとはという意外性がありつつも、これを笑いとして受け止められるかは、かなり人を選ぶ(実際に選評でもそういった発言があったようだ)。この早野の空虚さをどのように解釈すべきなのか、誰かと話してみたい。そういった意味で記憶に残る作品だった。

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    2026年02月20日
  • 叫び

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    一言で言うなら、難しい。さすが芥川賞。最近、神社巡りしてるし、歴史に思いを馳せるのは素敵だとは思うが、今を生きる。

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    2026年02月16日
  • 叫び

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    要所要所で心の中のリングアナが「ことばの意味はわからんがとにかくすごい自信だ!」と思わず声を挙げてしまうような怪作だった。でも登場人物は全員チャーミングだし、分かりやすくユーモアもあるので、読んでいて全然苦痛ではない不思議。小川哲が今作を推薦するのも解る。

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    2026年02月15日
  • 地の底の記憶

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    The crystal radio doesn’t need any power. it's spiral to love, pulse, friendship and the era.

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    2019年05月31日
  • 地の底の記憶

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    「平行線というのは基本的には交わらない」長い沈黙のあと西山は授業でもしているような口調で言った。「でもそれは基本的には、ということに過ぎないんだ。非ユークリッド幾何学という分野においては、無限遠点において平行線は交わる」
    「無限遠点?」
    「ある種の仮想的な概念だよ」西山は言った。「世界の果てのことだ」
    (P.209)

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    2016年03月29日
  • 地の底の記憶

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    前半は中上健次のような土地と人とのどろどろかと思いきや、後半になると形を変えた村上春樹、という印象。文章も構成も語り口も達者。
    もう少しキャッチーなタイトルだったら、著者と同年代の読書にも受けがいいのでは、とも思う。ちょっと地味なタイトル。

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    2016年01月29日