畠山丑雄のレビュー一覧
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ネタバレ第174回(2025年下期)芥川賞受賞作。
純文学的なものがこれといって好きなわけではないけれど、だからこそその方面のテイストの物語を読もうかなとなるとやっぱりなんらかの受賞作を、という選定基準になってしまう。
小難しそうなイメージがつきまとう芥川賞受賞作、実際本作も出だしから?で意味が頭に入ってこない文が続くのだが、この調子でずっといくのかと思いきや急に会話主体になり安易な展開に。
主人公早野は、意中の彼女と結婚前提の同棲生活を送るため、2人の中間地点ということだけで馴染みなき土地茨木にに2DKの家を借り越してきた。
だが、その彼女とは連絡がぱたりと途絶える。
自暴自棄になり、酒を浴び、 -
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ネタバレ「せやし僕の育てた罌粟畑を陛下に一回だけでも見てもろて、よう頑張ったな、て言うてもらいたいねん」と川又青年は言った。もう走り出していた。「せやなくても、陛下のために花畑が、今も向こうで咲き誇ってますって、せめてそれだけでもお伝えせんことには」(p130)
ここの一文だけが、今、自分の置かれている状況と重なって、心に刺さってしまった。戦時中に、国のため、植民地を回って罌粟畑作りをした川又青年は、戦後、自分のやってきた仕事を全否定されることになる。一度だけでも見てもらいたい。「よう頑張ったな」と言ってもらいたいという言葉には、切実な思いがあるように思う。
人のやってきた仕事などというものは、大な -
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第174回芥川賞受賞作。
とてもつかみどころのない作品だった。日常的なことを取り扱っているが、次から次へとエピソードが繰り出される。その狙いもわからないまま、結論を出すことなく、新たなエピソードが現れる。何を言いたいのか、いずれ明らかになるかな、と待ち望みながら読み進めるが、状況は好転することなく、最後には突然放り出される。タイトルの「叫び」は読者の読後の思いから発せられるのでは、と勘ぐりたくなる。
物語は職場での何気ない会話からスタートする。土日の選挙事務に誰か対応できるか、との上司の依頼に対して、主人公の早野は銅鐸作りがあり、出れない事情を説明する。その銅鐸を今度職場に持ってきてよ、との上