畠山丑雄のレビュー一覧
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これを読むための関西旅行へ出た。やわらかくたおやかな関西弁を纏って舞台となる大阪を歩く。新大阪の駅のお土産屋で昨年現地で出会えなかったミャクミャクのぬいに邂逅し、値段も見ずに今回の旅のお供になってもらった。作中にも大阪万博の描写がある。阪神梅田駅の外装を見ながら人が多く迷路のような駅周辺を歩いているとほんとうにまた万博に来たみたいで、夏手前でもくらくらするような暑さと人混みを思い出す。大阪万博ではずっと未来の話をしているはずなのにあまり希望的に思えなくて、むしろ国外で起こっている戦争についても言及される雰囲気はなく、ずっと他人事みたいだったことをよく覚えている。わたしもどこか怒りのような叫びだ
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興味深い一冊だった。
僅か135ページだが、その文面にはこの日本という国家の長大な叙事詩が、不器用ながらも緊密に編み込まれている。
同時に独自の滑稽な雰囲気があって、それがこの壮大さに直結している(ように見える)ところが特に面白い。その結びつきは荒削りでありながら力強い。
やはり芥川賞作品はこうでなければと考えさせられた。
大阪府茨木市という地域密着型の小説であったため、近畿在住の僕にはその雰囲気がよく掴めた。
よく阪急京都線で通り過ぎている(が、降りたことはない)あの街をイメージすれば良かったのだから。
平坦な建造物が所狭しと建ち並び、その遥か奥には小高い丘のような山々が聳えている、そ -
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ネタバレ
面白かったです。この物語を軽妙に感じられるのは関西弁のトーンによるところが大きいかも。
主人公には同情というかなんとなく親身になってしまうところがあって、切なかった。
空気も読めるし、行動力もあって、いろいろ解ってるのに不器用なんだよなぁ、、。ちょっと異常な感じで独りで話す人、私はわりと好きです。
先生に出会ってしまったのが運の尽きだったか。銅鐸の音に引きつけられて出会う場面はすごく面白かったけど。いややっぱり本人の性質による展開か。
茨木童子は聞いたことがあったけど、銅鐸やオニくる、二反長音蔵によるケシ栽培などは初めて知ったので興味深かったです。
関係ないけど、漫画『満州アヘンスクワッド -
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小難しい話かと思いきや、エンタメ感もかなりあって読みやすく面白かった。
「『叫び』の早野が持っている、「僕がここに来た理由はこれだったんだ」という、自分で見つけたかけがえのないアイデンティティというのは、やっぱり捏造されたものではあるので、すごく危ないとも思うんですよね。陰謀論とほとんど同じであって、それを信じすぎたことで早野自身も破滅に向かってしまうわけです。」ーー三宅香帆との対談より
早野が川又青年と自身とを同一視することが極まった結果としての破滅、それに至るまでのプロセスもかなり笑えて、それだけで十分、という感じではあるのだけれど、現代におけるアイデンティティの問題を平凡な市井の人の -
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ネタバレ第174回(2025年下期)芥川賞受賞作。
純文学的なものがこれといって好きなわけではないけれど、だからこそその方面のテイストの物語を読もうかなとなるとやっぱりなんらかの受賞作を、という選定基準になってしまう。
小難しそうなイメージがつきまとう芥川賞受賞作、実際本作も出だしから?で意味が頭に入ってこない文が続くのだが、この調子でずっといくのかと思いきや急に会話主体になり安易な展開に。
主人公早野は、意中の彼女と結婚前提の同棲生活を送るため、2人の中間地点ということだけで馴染みなき土地茨木にに2DKの家を借り越してきた。
だが、その彼女とは連絡がぱたりと途絶える。
自暴自棄になり、酒を浴び、