畠山丑雄のレビュー一覧
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第174回芥川賞受賞作を読む。著者にとっては『改元』に続く天皇小説(『改元』の世界観と補いあう内容となっている)が、個人的には前作の方が好み。シンプルな物語ながらも描写と表現に強度を感じた『改元』に比べると、本作は物語世界の構図はより複雑になった一方で、やや「賞を獲りに行った」感がないでもない。もちろん、その選択自体は別に否定されるべきことではない。
地方公務員がその地域の歴史と出会い、謎の年長者に導かれてその時間の迷宮に取り込まれていくというパターンは『改元』と同様だが、『改元』の時間的な幅にくらべると、大阪万博と満洲とを結んだこの小説の特徴は「浅薄さ」だろうか。大阪のベッドタウンが地 -
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『叫び』で第174回芥川賞を受賞された畠山丑雄さんの10年前のデビュー作。京都大学在学中に書かれたそうで、興味がわきました。
まず登場する男子2人と女子1人、本の裏表紙には小学生と書かれているのですが、どう読んでも高校生くらいにしか思えませんでした。理科を教える西山先生も小学校の教諭とは思えない高度な話をしています。敢えて小学生の設定なのでしょうが、その意図は最後まで分かりませんでした。
冒頭からそんな感じでしたが、その点に引きずられないよう気をつけて読み進めると、大正末期か昭和初期から現代までの歴史を小さな村の坑道跡に閉じ込めるようにして描かれていて、古い小さな宝石箱を開けたような懐かしくて -
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かつて日本が満州に上陸していったことと、現代の大阪万博を川又青年と銅鐸を介してつなぐような物語の構成になっていたようだが、あまりよく理解できなかった。
文体というか表現もおろしろくしたいのか、昔、罌粟を栽培するしかなくて声を挙げられなかった当時の人を拾い救う高邁なお話なのかそれもよくわからなかった。
現代に生きる早野もしおりさんもそれほど器用に生きているわけではないから何かしらの救いを描きたかったのかなというようには思いながら読んでいたのだが、最後、早野が大阪万博で銃刀法所持違反かなにかで警察に逮捕されてしまって物語が終わったのはとても唐突に感じた。 -
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早野(ひかるちゃん) 銅鐸作り
茨木 安威川沿い かつて罌粟(けし)が名産 歩いていて銅鐸の音 先生に出会う
官製の聖=天皇 その霊力 衰退の一途
お前には重さが必要 市民交流コーディネーターになる
プラネタリウム 川又青年 罌粟栽培と阿片 満州へ 星空
1940年の万博 中高生への語り 職員に止められ クビに
しおりさんに声をかけられる 大学事務員 父が家を出て行った
万博 芝生広場 先生の声
列を離れ 戻りの遅い しおりさんを探す 川又青年と肇国記念館へ
伝えたいこと 陛下へ 行幸啓妨害で 逮捕
蒙を啓(ひら)く 本人へ 響きが光になるまで鐘を鳴らす -
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芥川賞を受賞した本作が気になり手に取りました。あらすじから満州や歴史など、若干苦手なジャンルだなぁと思ってはおりましたが、現代視点がメインの作品だったこともあり、割と抵抗なく読めたかなという印象です。
本作は失恋の経験から、銅鐸の製作を行う人に師事するようになった主人公のお話。主人公は師から、歴史や己からの脱却を目指すよう諭され、歴史について学ぶようになり、1人の青年の人生に共感するというお話。
まず本作に惹かれた点としては、主人公の危うく傾倒した考え方やその不安定さが文章に表現されていることかと思います。よるべもなく齢を重ねた時に感じる空虚さ、自暴自棄的な考え方などが常に漂うところは、自