畠山丑雄のレビュー一覧
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第174回芥川賞受賞作、ということで。
2作同時受賞ということで、次はこの作品を。
作品全体的にはカラッとして明るく、主人公の不器用さなどに思わず笑えるシーンも多かった。関西弁なのもそれに加担しているのかもしれない。
胡散臭くも箴言めいた言葉を多用する謎の「先生」の存在や、銅鐸に興味を持って現れる女性など、不思議な魅力がある。
ただ、ラストは主人公と、過去に生きた人間が重なり、一種の狂気がそこに浮かび上がる。
銅鐸とは音を鳴らすモノであったのか?というのが読後の最初の疑問。確かに形はそれっぽいが、どちらかというと祭祀などに用いられたらしきデカい銅鐸の印象しかなかったが、簡単に調べてみると初 -
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ネタバレ圧倒的没入感。『金閣寺』を読んだときの読後感に近い。
ストーリー自体に引き込まれるようなミステリアスな要素や、胸が締め付けられるような恋愛要素がありつつも、登場人物の言葉がどことなく教化的で単なる痛快な小説にとどまらない凄みがある。
感想を書く上でストーリーを簡単に描くと、市の職員として無目的に働いていた主人公・早野ひかるが、銅鐸を作る<先生>に出会い、考えや、私生活が変わっていく物語。アクセントとして、早野が恋心を寄せる長田しおりと、回想的に挿入され、早野と重ね合わせて描かれる川又青年という2人の登場人物がいる。川又青年は、早野が住む茨木の地を舞台に1930-40年代に罌粟(ケシ、アヘンの原 -
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縁もゆかりも無い茨木市に住み続ける早野は人生に行き詰まっていた。
夜の安威川沿いを彷徨ってる時に不思議な音に誘われ偶然出会った謎の先生と銅鐸が自暴自棄だった早野の生活を一変させていく
彼の軽さを補う為の銅鐸…
早野には抱えきれない重さだったんでは…?
いくつもの「叫び」があった
過去からの声なき叫びを届けなければならない
それは自己満か啓蒙か
先生は早野をどうしたかったのか。。
「痛みは訳せへん
お前は人の痛みを想像できるようにならんといかん」
それに尽きるのかな?
前半の北新地での行動やしおりさんとの会話の中でも、それ人としてどうなん?ってのがあったり
人の反応を自分に都合よく取り違 -
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畠山丑雄さんの『叫び』を読み終わり、政治や日本史の疎さなら右に出る者はいないレベルの私(誇れることではない)がまず思ったのは、ただただ「面白い物語だった〜!」だけでした。
物語への引き込み方が上手すぎる作者さんの手にかかって、あっという間に読み終わってました。
現代の主人公が、昔の人物に思いを馳せながら、人生の再スタートを切るというようなストーリーだけど、ラストでえっっ?!となり、「そうくるかーやられたー!」みたいな安易な感想しか抱いていなかった私。
とある読書垢のお陰で、この本の政治的な部分に気が付かされました。
なのでAIにも聞きながら、少しだけ本の中の政治的な部分について読んだ後 -
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芥川賞!納得!
公務員として淡々と働く早野。
女性関係での失意から内に秘めていた粗暴性が垣間見えるようになる。
そんな時に銅鐸を作る老人と知り合い、手伝いをするようになる。
この序盤から、星空、プラネタリウム、万博、戦中の中国での罌粟栽培、阿片製造と過去と現在、早野と川又青年の意識と記憶が重なり交わる展開に、川又青年の無念が現代の私まで流れ込むようで苦しくなる。
早野は自分勝手で周りが見えず思い込みが強いように感じたけど、茨木に越してきて先生に出会ってしまったあたりから川又青年に魅入られてしまっていたのかもしれない。
そしてそれは彼自身望むところで、その内なる叫びは銅鐸の響きのように膨ら -
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もっと深く嗜めるように、
もっと何かに重ねられるように。
そんな羨望を抱くとともに、
そこに行ってはいけない、という声もある。
これこそが私の叫びかもしれない。
どう捉えれば良いのか、まだ私にはさっぱりわからない。
芥川賞の作品には度々指摘するように、危険な独り言と誘惑を感じざるを得ない。
それは言葉のままの危険さではなく、あまりに強く引き込まれるから、強大な引力に対する警告だ。
早野が叫びに気付き、それは果たして己の叫びか、
あるいは川又青年のものか。
その幻想は阿片によるものか。
冷静に考えられればよいものをこれらの作品群は、
まさしく響きのように連なる文章が音のように畳み掛 -
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芥川賞作品は大体小難しい話が多いイメージ。この作品も冒頭はやっぱり、と思ったが、急にお役所の仕事風景から関西万博の話と、面白い展開になり引き込まれる。そしていきなり銅鐸と先生が登場し、ちょっと森見登美彦要素があるかなと思ったりもした。川又青年の話からは現実世界と過去の世界が入り混じり、そのうちに川又青年と会話をするようになるが、何の違和感もなくその風景が目に浮かぶように思え、うまいなあと感心した。しかし川又青年から万一の為にと渡された懐刀が、最後そんな事になるとは。伏線回収とオチがあるのに少々笑えた。お堅いイメージの芥川賞作品らしからぬ作品で面白かった。