畠山丑雄のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
畠山丑雄は、1992年生まれ。畠山丑雄のデビュー作で2015年に出された。この本を読んでいると、随分と年寄りのような気がする。作者は、私の上の世代のような年配の方だと思った。
舞台は、宇津茂平という地域。日本海側の架空の土地。そこは、ロシアとの繋がりもある。
その宇津茂平の100年近くのクロニクル。1902年から始まり、日本の隆盛、そして、戦争、現代に繋がっていく。
宇津茂平は、かつて鉱山開発で繁栄した歴史を持ち、広がった平野にポツンと立っている巨大な電波塔と、山の麓に広がる深い青黒い森林が特徴的だ。その青黒い森が、物語を引きづり出していく。
青黒い森には、水車小屋がある。また、鉱山の跡地 -
Posted by ブクログ
これを読むための関西旅行へ出た。やわらかくたおやかな関西弁を纏って舞台となる大阪を歩く。新大阪の駅のお土産屋で昨年現地で出会えなかったミャクミャクのぬいに邂逅し、値段も見ずに今回の旅のお供になってもらった。作中にも大阪万博の描写がある。阪神梅田駅の外装を見ながら人が多く迷路のような駅周辺を歩いているとほんとうにまた万博に来たみたいで、夏手前でもくらくらするような暑さと人混みを思い出す。大阪万博ではずっと未来の話をしているはずなのにあまり希望的に思えなくて、むしろ国外で起こっている戦争についても言及される雰囲気はなく、ずっと他人事みたいだったことをよく覚えている。わたしもどこか怒りのような叫びだ
-
Posted by ブクログ
興味深い一冊だった。
僅か135ページだが、その文面にはこの日本という国家の長大な叙事詩が、不器用ながらも緊密に編み込まれている。
同時に独自の滑稽な雰囲気があって、それがこの壮大さに直結している(ように見える)ところが特に面白い。その結びつきは荒削りでありながら力強い。
やはり芥川賞作品はこうでなければと考えさせられた。
大阪府茨木市という地域密着型の小説であったため、近畿在住の僕にはその雰囲気がよく掴めた。
よく阪急京都線で通り過ぎている(が、降りたことはない)あの街をイメージすれば良かったのだから。
平坦な建造物が所狭しと建ち並び、その遥か奥には小高い丘のような山々が聳えている、そ -
Posted by ブクログ
お前が大洋の一滴であることに、お前自身はかかわりを持てない。
恋人に振られ自暴自棄になっていた主人公。鐘の音に誘われ、生活保護を受ける銅鐸の先生と出会う。師に仰ぎ銅鐸作りを学び、そして物語は関西万博へと移ろい、かつて満州に渡った青年と人生が交錯する。
読みやすいのに分からない芥川賞受賞作品。淀みなく端麗な文体に引き込まれていくのに、どこにいるのかを見失ってしまう。古典文学に近い。
土地に刻まれた叫びは、聞き取る者がいればこそ存在しうるのか。どうにも無情で空虚。あるいは、どことなく滑稽かもしれない。書評でラストシーンは蛇足と書かれていて、それには同意(135頁★4.0) -
Posted by ブクログ
ネタバレ
面白かったです。この物語を軽妙に感じられるのは関西弁のトーンによるところが大きいかも。
主人公には同情というかなんとなく親身になってしまうところがあって、切なかった。
空気も読めるし、行動力もあって、いろいろ解ってるのに不器用なんだよなぁ、、。ちょっと異常な感じで独りで話す人、私はわりと好きです。
先生に出会ってしまったのが運の尽きだったか。銅鐸の音に引きつけられて出会う場面はすごく面白かったけど。いややっぱり本人の性質による展開か。
茨木童子は聞いたことがあったけど、銅鐸やオニくる、二反長音蔵によるケシ栽培などは初めて知ったので興味深かったです。
関係ないけど、漫画『満州アヘンスクワッド -
Posted by ブクログ
小難しい話かと思いきや、エンタメ感もかなりあって読みやすく面白かった。
「『叫び』の早野が持っている、「僕がここに来た理由はこれだったんだ」という、自分で見つけたかけがえのないアイデンティティというのは、やっぱり捏造されたものではあるので、すごく危ないとも思うんですよね。陰謀論とほとんど同じであって、それを信じすぎたことで早野自身も破滅に向かってしまうわけです。」ーー三宅香帆との対談より
早野が川又青年と自身とを同一視することが極まった結果としての破滅、それに至るまでのプロセスもかなり笑えて、それだけで十分、という感じではあるのだけれど、現代におけるアイデンティティの問題を平凡な市井の人の -
Posted by ブクログ
『地の底の記憶』から、見ると随分と穏やかな作品となった。読みやすくなったというべきか。
主人公は、早野ひかるで、独身男性37歳。
みかという女子と同棲する予定で、ル・クルーゼの無水調理鍋やバルミューダのオーブンレンジを贈った。そして二人で住む新しい部屋を借りたが、みかは現れなかった。まぁ。比較的騙されやすい男なんでしょうね。その部屋は、茨木駅の近くにあり、東奈良遺跡があり、弥生時代の銅鐸と銅鐸鋳型が出土されている。
そして、川端を歩いていて、鐘の音がする方向に進んで、師匠と出会うことになり、銅鐸作りをすることになる。師匠だと思い込んだり、それにハマっていく。暗示のかけられやすい男なんだね -
Posted by ブクログ
1ページ目が良い。正直なところ、何を言っているかよくわからないのだが、あまり見たことのない言葉選びのセンスを感じた。
先生と呼ばれる人が如何にも怪しいが、大阪ならさもありなんと思ってしまう(偏見)。銅鐸作りと言うのも斜め上からの切り口でバッサリやられた感あり。
しおりも負けず劣らず怪しい。何故か早野に言い寄ってきて、肝心な所で突き放すあたり…
そして、川又青年。謎過ぎる。現代と境目なく出てくるので混乱してしまった。
更に、罌粟という単語に振り仮名がないのは何故だろう。
全体として謎過ぎるが、関西ノリだとそれほど意外でもないのかなぁ。
どこが評価されて芥川賞なのか、見てみよう…