【感想・ネタバレ】叫びのレビュー

あらすじ

聞いて欲しい人が一人おるんです。政と聖を描く芥川賞候補作。早野ひかるは「先生」に打ちのめされ、銅鐸と土地の来歴を学び始める。ここではかつて罌粟栽培と阿片製造が盛んで、満州に渡って「陛下への花束」を編み、紀元2600年記念万博を楽しみにしていた青年がいた。いつしか昭和と令和はつながり、封印されていた声が溢れ出す。大阪と大陸で響き合う夢とロマン、恋愛政治小説。

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Posted by ブクログ

これを読むための関西旅行へ出た。やわらかくたおやかな関西弁を纏って舞台となる大阪を歩く。新大阪の駅のお土産屋で昨年現地で出会えなかったミャクミャクのぬいに邂逅し、値段も見ずに今回の旅のお供になってもらった。作中にも大阪万博の描写がある。阪神梅田駅の外装を見ながら人が多く迷路のような駅周辺を歩いているとほんとうにまた万博に来たみたいで、夏手前でもくらくらするような暑さと人混みを思い出す。大阪万博ではずっと未来の話をしているはずなのにあまり希望的に思えなくて、むしろ国外で起こっている戦争についても言及される雰囲気はなく、ずっと他人事みたいだったことをよく覚えている。わたしもどこか怒りのような叫びだしそうな感情が腹の奥で沸いていて、作中の出来事がフィクションだとは思えなかった。行きついた街に縁を感じてその地の歴史を学ぶ主人公のように、わたしも歴史を知った上でその地を歩くことのほうが豊かなのではないかと思う。主人公の思考がずっとどこか自分の興味とか思考の先にあるように思えた。

ここ数年で建築とその意匠を語るような装飾を見学することが趣味となっていて、神戸の北野異人館街を巡ろうと何となく思いついて決めた旅だったが、元銀行建築である神戸市立博物館の建築の素晴らしさに惹かれ入館し、港街の歴史を観る。あんなに顎髭の間に点を描き入れてはペンギンだと言って笑っていたザビエルも、本物を目の前にしてみると興奮できてしまえる。隣の展示室で『叫び』に出てくる銅鐸を観れたこともきっと何かの縁だろう。

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2026年05月07日

Posted by ブクログ

興味深い一冊だった。
僅か135ページだが、その文面にはこの日本という国家の長大な叙事詩が、不器用ながらも緊密に編み込まれている。

同時に独自の滑稽な雰囲気があって、それがこの壮大さに直結している(ように見える)ところが特に面白い。その結びつきは荒削りでありながら力強い。
やはり芥川賞作品はこうでなければと考えさせられた。

大阪府茨木市という地域密着型の小説であったため、近畿在住の僕にはその雰囲気がよく掴めた。
よく阪急京都線で通り過ぎている(が、降りたことはない)あの街をイメージすれば良かったのだから。

平坦な建造物が所狭しと建ち並び、その遥か奥には小高い丘のような山々が聳えている、そんな様子を思い浮かべて頂ければ、たぶん間違いはない。

僕はこの作品の登場人物たちより一ヶ月早く2025年大阪万博を訪れ、大屋根リングを巡った。
照り付ける日差しを受けて煌めく広大な屋上の芝生と、涼しい潮の匂いをはらんだ微風が音を立てて吹き過ぎた、あの清涼感。そしてリング内に整然と建ち並ぶパビリオンたち。

あの景色を見るためだけにでも、万博に行った甲斐はあったと、訪れた誰もが思ったのではないだろうか。

この小説は、その雰囲気をそのまま読者に伝えることに成功している。
この本を閉じた時、独特の恍惚感に包まれたのは、きっとあの頃のお祭りの舞台を、作品が追体験させてくれたからに他ならないだろう。

さてここからはその万博の空気と、この国の歴史と伝統を、ほんのちょっとだけ振り返ってみよう。
ネタバレを含みうるので、読みたい方や読んでいる方は、ぜひ終わりまで読んでからまた訪れてほしい。


主人公・早野ひかるにはその場の思い込みや勢いで行動する、いわば直情径行的な部分が明らかにあって、それが終幕の喜劇的な悲劇を生んでしまう。

読み終えたとき、読者は後の展開を明るく期待していていいのやら、絶望するべきなのやら、どっちつかずの悩ましい感情を抱くことになるだろう。

どちらかというと石橋を叩く種類の人間である僕には、早野の直情径行は共感が難しいところがあった。
だがそれを理解しない限りは、この小説を楽しむことは難しい。そこでこの感想では、彼のこの特性とそこから導き出された作品の結末を、少しだけ紐解いてみたい。

思えば早野の『先生』や、空想の中での川又青年との出会い、そしてしおりさんとの出会い(とおそらく別れ)は、すべて彼のこの性質に由来している。

そしてその性質が産み出す喜びや悲しみは、おそらく石橋を叩く人々のそれらより大きく激しく、文字通り『劇的』なものではないだろうか。
それは慎重派には時に滑稽にも映るが、また時として羨ましくも感じるものである。

ともあれ、その勢いに推し進められるままに、しおりさんから離れ、大屋根リングからも離れ、遠く1940年に計画されていた万博で完成する予定だった『肇国記念館』を訪れ、川又青年に再会した早野。

多くの人はそんな早野の幻たちを一笑に伏すだろう。だけどここは彼の身になってじっくりと考えてみよう。
すると、彼にとってはその幻は真実であったことがわかる。

かつて天皇陛下に戦時の労をねぎらって頂きたかったと切望した(叫んだ)川又青年は、幻のような姿となって早野を媒介に、時代を超えて万博という同じ舞台で、その叫びを叶えたのである。

早野はおそらく無意識に、いわば聖となったのである。彼がその奇蹟に感動を認めたか認めなかったかは分からないが、ともあれ一旦動き出した彼の暴走は止まらない。そして、そこからまた一つの破局的余韻が生まれる。

この鈍色の銅鐸の音のような余韻、限りなく広がっていく余韻が、これから彼や彼を取り巻く人々にどのような影響を与えるのかは、きっと誰にもわからない。
次に早野は叫びを発する側になるかもしれない。そして彼の叫びを受け取る人は、そこのあなたかもしれないのだ。

いずれにしても、個人的には著者の畠山丑雄さんは、今後注目していきたい作家の一人になりそうだ。難解な部分も多々あったが、とても面白い読書だった。

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2026年04月30日

Posted by ブクログ

現代と過去をその土地の歴史をもとに結びつけて、万博から満州国まで遡りながら描かれる話は、村上春樹さんのねじまき鳥を思いだしました。やや話が強引かなと思いましたが、言葉や文章が上手く最初から最後まで飽きずに一気読みできて面白かったです。
中身が空ろに思える主人公は、日本人の危うさが投影され描かれているのか?

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2026年06月14日

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お前が大洋の一滴であることに、お前自身はかかわりを持てない。

恋人に振られ自暴自棄になっていた主人公。鐘の音に誘われ、生活保護を受ける銅鐸の先生と出会う。師に仰ぎ銅鐸作りを学び、そして物語は関西万博へと移ろい、かつて満州に渡った青年と人生が交錯する。
読みやすいのに分からない芥川賞受賞作品。淀みなく端麗な文体に引き込まれていくのに、どこにいるのかを見失ってしまう。古典文学に近い。
土地に刻まれた叫びは、聞き取る者がいればこそ存在しうるのか。どうにも無情で空虚。あるいは、どことなく滑稽かもしれない。書評でラストシーンは蛇足と書かれていて、それには同意(135頁★4.0)

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2026年06月06日

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おお?なんだかよくわからなかったけど、わからなさも面白い。本当に罌粟を栽培してたんだ…本当なのか想像なのか曖昧なところも面白い。

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2026年06月02日

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ネタバレ


面白かったです。この物語を軽妙に感じられるのは関西弁のトーンによるところが大きいかも。
主人公には同情というかなんとなく親身になってしまうところがあって、切なかった。
空気も読めるし、行動力もあって、いろいろ解ってるのに不器用なんだよなぁ、、。ちょっと異常な感じで独りで話す人、私はわりと好きです。
先生に出会ってしまったのが運の尽きだったか。銅鐸の音に引きつけられて出会う場面はすごく面白かったけど。いややっぱり本人の性質による展開か。

茨木童子は聞いたことがあったけど、銅鐸やオニくる、二反長音蔵によるケシ栽培などは初めて知ったので興味深かったです。
関係ないけど、漫画『満州アヘンスクワッド』読もかな、と思いました。

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2026年05月09日

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「叫び」のタイトルと、表紙のインパクトのある色合いと、内容を知らずに読み始めた。

大阪万博に行っていないので、
読みながら行ったった気分になれた。

銅鐸の作り方、土地の歴史など、面白かった。

川又青年と早野ひかるが違う時代を交差しつつ、不思議な世界に連れてかれた。

関西弁がとてもほっこりした

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2026年04月29日

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小難しい話かと思いきや、エンタメ感もかなりあって読みやすく面白かった。

「『叫び』の早野が持っている、「僕がここに来た理由はこれだったんだ」という、自分で見つけたかけがえのないアイデンティティというのは、やっぱり捏造されたものではあるので、すごく危ないとも思うんですよね。陰謀論とほとんど同じであって、それを信じすぎたことで早野自身も破滅に向かってしまうわけです。」ーー三宅香帆との対談より

早野が川又青年と自身とを同一視することが極まった結果としての破滅、それに至るまでのプロセスもかなり笑えて、それだけで十分、という感じではあるのだけれど、現代におけるアイデンティティの問題を平凡な市井の人の目線で、アクロバティックさと実直さを持って射抜いたこと、しかもユーモアが溢れていること、そのことが読んでいて楽しいところであった。

繰り返し描かれる「叫び」「響き」は、アイデンティティのことと深く関わりながらも、それが何であるかは作中で明示されない。なぜ生きるのか、どのように生きるのか、という我々が宙ぶらりんのまま背負っている問いが郷土史という手法を使って顕現しているところも響いた。

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2026年04月28日

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TBSラジオ「アトロクブックフェア」に登場した小説家・小川哲氏の上手な推薦の口上に惹かれて読みました。以下、ブックフェア冊子より転載します。
『意味わからん人が意味わからんものを作ってる話。世界初の銅鐸恋愛小説!』
これ以上でもこれ以下でもないですが、間違いなく面白いです。3.9

【蛇足】
一人一冊限定という中で(すでに芥川賞候補作である)本書を選んだ小川哲氏の姿勢が素晴らしいと思いました。このような催しだと、ついつい気を衒ったりしたくなるものだと思うのですが、シンプルに面白いと思う本を選ぶ素直さが素敵です。

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2026年04月26日

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不思議な小説でした。大きな物語として読もうとしてもまとまらない。破綻するか説明し切らないか。主人公のことを考えると、もうちょっとポジティブに書いたらどうかと不安になるぐらい救いがないし、さらには個性が書かれていない。誰が何に叫んでいるのか分からなくなる。先生は面白いけど、私はそんな先生にみたいにはなれないなと思うと絶望を感じる。すごい小説かもしれないけど抉られる。

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2026年04月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

芥川賞受賞作品ということで読んでみた。

主人公の早野の不器用な姿と
関西弁が面白くて引き込まれる。

過去と現在が重なりあって、
不思議な読後感である。
全体的に短くて読みやすいが
難しい漢字が多かった。

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2026年04月19日

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錯綜する過去と現在。川又青年と私。罌粟と銅羅。グッと引き込まれたけど、最後、「何か危ないなー」と…。

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2026年04月01日

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銅鐸とか罌粟とか、ヤバい人ばかりのアブナくて胡散臭い物語だけれど、笑いとシリアスと、世知辛い現実と雄大なファンタジーがごちゃごちゃ混ぜこぜになった感じが清々しくもあるのが不思議。最後まで真面目でシュールな世界だった。

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2026年03月29日

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芥川賞受賞とのことで興味を持ち手に取る。
現代の日常生活から、銅鐸を通して歴史と思想が詰め込まれた物語で、不思議な世界観だと思った。
場面描写から心の声に切り替わると文体が変わり惹き込まれる。でも文章が堅く難解で頭にスッと入らないことも。「聖」についての解釈が面白くて変に納得してしまった。最終的にやばいやつとして見られてしまう主人公になんとも言えない感情が湧き上がるが、人って繋がりとか縁で生かされるのかなと感じた。

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2026年03月27日

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これ女の人バージョンで書ける人いるかなあ。振られる話と
芥子の話と銅鐸と万博と、地下とか歩くこととか。
読ませられた。

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2026年03月17日

Posted by ブクログ

京大文学の系譜?ダウナーな浮遊感のある文章。
聖とか銅鐸とか罌粟とか天皇とか、昭和の純文学っぽくもあり、主人公の切実さがどうしようもないところとか。こんな万博小説があったのか、という驚きもあり。面白かった。

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2026年03月10日

Posted by ブクログ

良さ、面白さがわからない。
芥川賞受賞作には、いつも、そんな気にさせられる。
読解力が不足しているのだろう。
銅鐸、公務、おにくる、彼女、天皇、万博、読み取れない。
ごめんなさい。

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2026年06月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

第174回(2025年下期)芥川賞受賞作。
純文学的なものがこれといって好きなわけではないけれど、だからこそその方面のテイストの物語を読もうかなとなるとやっぱりなんらかの受賞作を、という選定基準になってしまう。

小難しそうなイメージがつきまとう芥川賞受賞作、実際本作も出だしから?で意味が頭に入ってこない文が続くのだが、この調子でずっといくのかと思いきや急に会話主体になり安易な展開に。

主人公早野は、意中の彼女と結婚前提の同棲生活を送るため、2人の中間地点ということだけで馴染みなき土地茨木にに2DKの家を借り越してきた。
だが、その彼女とは連絡がぱたりと途絶える。
自暴自棄になり、酒を浴び、キャバクラ、風俗通いをするうちに蓄えも底を突き、いよいよ首が回らなくなってきた中で川沿いの道をふらふら散歩していると聞こえてくる鐘の音。
音に誘われ畑の中にぽっかり空いた穴を進んでいった先で出会った銅鐸をつくる男。
生活保護を受けながらも、聖の必要性という謎の理屈を盾に働きもせず銅鐸づくりに明け暮れている模様。
この男を先生として師事し、何やら危うき熱中に浮かされながらバランスを取り戻していく早野の行く末、という物語。

読みやすい物語と、その中に時折現れる憑依され独白が始まったかのような小難しい理屈が織りなすうねり。
その物語も、銅鐸づくりに入れ込む男というなんとも突飛だがはっきり言ってどうでもいい話なのに何故か読んでしまう。
早野の精神的な危うさと、アヴァンギャルドでありながら妙な芯を感じる先生の魅力に、何このバランス!となり駆け抜けるように読むことになった。

だが、結局何の話だったんだろうという空虚さの残る結末。
この何とも言えなさ加減を上手く言語化する能力と根気が今の自分にはない。

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2026年05月30日

Posted by ブクログ

地元の茨木市が舞台
と、その設定に助けられながら2度読んだ
が、しかし
まるで理解できない
言葉遣い含め難し過ぎました
芥川賞受賞作は合わんのかもな

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2026年05月24日

Posted by ブクログ

2025年の大阪・茨木市を舞台に現代社会の底から噴き出す戦争の記憶を描く。

大阪万博が描かれて令和の空気なのに、ふと昭和にトリップする。神話的な不気味さとユーモア。
銅鐸と先生と罌粟と川又青年…主人公が耽溺したそれらを少し知れたような、置いてけぼりのような。

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2026年05月14日

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銅鐸、罌粟(けし)畑、万博会場、天皇・皇后両陛下、いったい何が言いたいねん、さっぱりわからへんがな、もうつかれるねん。

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2026年05月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「せやし僕の育てた罌粟畑を陛下に一回だけでも見てもろて、よう頑張ったな、て言うてもらいたいねん」と川又青年は言った。もう走り出していた。「せやなくても、陛下のために花畑が、今も向こうで咲き誇ってますって、せめてそれだけでもお伝えせんことには」(p130)

ここの一文だけが、今、自分の置かれている状況と重なって、心に刺さってしまった。戦時中に、国のため、植民地を回って罌粟畑作りをした川又青年は、戦後、自分のやってきた仕事を全否定されることになる。一度だけでも見てもらいたい。「よう頑張ったな」と言ってもらいたいという言葉には、切実な思いがあるように思う。
人のやってきた仕事などというものは、大なり小なり、よかったこともあり、悪かったこともあるようなものである。救いようのない悪党でさえ、その人生そのものを全否定することは、たぶん難しく、その存在に、感謝している人もいたりする。
ただ、人の承認欲求というのは、そんな事実があるだけでは不十分で、それを何か権威あるものに認めてもらいたい、というときがある。その最後の行き着く先の一つが、天皇陛下なのだろう。

この物語は、早野ひかるという男が、天皇・皇后両陛下の行幸啓を妨害しようとしたとして逮捕されるまでの成り行きを語った物語である。それは、男が、川又青年という歴史上の人物に、自分を重ね合わせすぎたがために起きた悲劇だったように読める。タイトルの「叫び」というのは、最初に引用した川又の声なのであり、その声は、銅鐸の音となって、早野の体に身体化されていくことになる。
早野が奇行に至るまでには、いくつもの不穏な気配がある。それは、「オニクル」のコーディネーターを辞めさせられる経緯であり、しおりさんをレイプしかけてしまうところであり、最後に、幻の肇国記念館の中に入り込んでしまうところだと思う。取り憑かれたように、歴史の語りの中に、早野は飲み込まれてしまう。そうした不穏な空気の終着点として、天皇陛下へと向かう行動がある。
こうした事件が、大阪万博に重ね合わせられるところが、いやな気持ち悪さを感じさせる。自分も大阪万博に行ってきたが、一つのイベントとして、楽しんで来た身としては、それが、天皇に象徴される、一つの国策イベントなのだということを、思い出させられるところが、嫌な感じだった。天皇が会場にやってきたこと、そして、国家に認められなかった川又青年に重ね合わされた男が、天皇を刺殺しようとしたかと勘違いをされるような事件を引き起こすことで、純粋に楽しんで来たイベントが、一つの国策への傾倒に与していることを、否応なく思い出させる。あの2025年の大阪万博というイベントに対する、一つの批判として、この小説は読むことができる。

と、それっぽいことを言ってはけれども、正直、読み方がよく分からなかった。「叫び」というタイトルの意味も読み取れていないし、銅鐸の意味や最後に天皇が出てきた意味も、伏線として拾えてない。表紙も、それっぽいなと思っていたが、ムンクの「叫び」がイメージとしてあるみたいである。そこも、どう拾えるのか。
電子で読んだことも、内容の読めなさにつながっているのだろうか。あんまり関係ない気がする。先生いわく、作中の色々なモチーフに、それなりの物語的な意味があるらしいので、読み直す機会があれば、そのあたりをしっかりと読めるようにしたいものである。

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2026年05月07日

Posted by ブクログ

第174回芥川賞受賞作。
とてもつかみどころのない作品だった。日常的なことを取り扱っているが、次から次へとエピソードが繰り出される。その狙いもわからないまま、結論を出すことなく、新たなエピソードが現れる。何を言いたいのか、いずれ明らかになるかな、と待ち望みながら読み進めるが、状況は好転することなく、最後には突然放り出される。タイトルの「叫び」は読者の読後の思いから発せられるのでは、と勘ぐりたくなる。
物語は職場での何気ない会話からスタートする。土日の選挙事務に誰か対応できるか、との上司の依頼に対して、主人公の早野は銅鐸作りがあり、出れない事情を説明する。その銅鐸を今度職場に持ってきてよ、との上司の軽口に応じて、早野は銅鐸を持ってきて、その重さ、音色で話題が展開される。ここから、早野が銅鐸作りを始めていくきっかけが語られ、不思議な女性との出会い、川又青年という謎の人物の登場と戦時中の罌粟栽培、早野が万博で導かれるような迷妄的な出来事へと、予測不能な脈絡で展開されていく。行き着く先は、冒頭に述べた感慨へと帰着する。

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2026年04月25日

Posted by ブクログ

これだという定義出来ない不可思議な世界を表現しているのか、叫びとは何を表しているのか言い表せない独特の読後感が残る。

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2026年04月23日

Posted by ブクログ

芥川賞作品

現代と過去が交錯し、
早野を中心に巻き起こる出来事。
軽快な関西弁も面白い。
最後は過去現在が一つになり
何を言わんとするか理解ができなかった。

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2026年04月19日

Posted by ブクログ

今年の芥川賞受賞作。
読み終わってまず難しいと思った。
少し時間をおいて考えてみたんだけど…
先生と出会ってから早野の人生?思想が変わった気がする。先生の話から先生の思想にハマり、先生から聞いていた川又青年と自分を重ねるようになり、正にミイラ取りがミイラになったような。
銅鐸が鳴ると引き込まれて行く
そしてラストの行動に…
と思うとなかなかおもしろかった。

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2026年04月07日

Posted by ブクログ

関西弁のノリのよさですらすら読めるが、奇妙さを押しつけられているうちに意味がわからなくなり、ただ目が滑るだけになってくる。天皇とかへのこだわりはよくわからない。だんだん荒唐無稽になってくるが、これを芸術と評価した上での芥川賞なのだろうか。テーマが何なのかははっきりしない。そのへんはAIに書かせた小説のようにも思えてくる。難しさはなかったが、登場人物がわりと類型的でご都合主義的かなと思う。

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2026年04月07日

Posted by ブクログ

・面白かった。
・関西弁の会話、文体になるとリズム感が前に出てきて、読んで気持ち良い。けったいな話ではあるけれど、それをスッと読みこなせるのは、一つこの方言のおかげでもあるのかも、と思った。町田康とかも気持ちいいもんな〜。
・あと万博文学として、意味あるかもと思ったり。時代の記録としてね。知らないだけで、他にも万博(最近のね)を扱った小説あるんだろうなぁ。
・けったいな話ではあるが、割と文学としてはど真ん中なのではないか、という印象。

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2026年04月05日

Posted by ブクログ

早野が銅鐸や土地の歴史を学ぶ中で、ある女性と共に生き、川又青年の情熱というか夢?に魅せられた物語であってるかな?笑
這いつくばりながらも、口を動かし、声を出し続けるような熱さ?狂気?を感じました、勝手に。

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2026年03月26日

Posted by ブクログ

茨木市にゆかりのある人は知ってる場所とかがたくさん出てきて楽しいと思う。

物語の感想としては、すごくメッセージ性があるように感じたけれど自分は受け取れなかったという印象。

序盤はまだ理解できてたのだけれど、終盤は何が起こったのか訳がわからなかった。

やっぱり芥川賞は難しい。

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2026年03月22日

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