あらすじ
聞いて欲しい人が一人おるんです。政と聖を描く芥川賞候補作。早野ひかるは「先生」に打ちのめされ、銅鐸と土地の来歴を学び始める。ここではかつて罌粟栽培と阿片製造が盛んで、満州に渡って「陛下への花束」を編み、紀元2600年記念万博を楽しみにしていた青年がいた。いつしか昭和と令和はつながり、封印されていた声が溢れ出す。大阪と大陸で響き合う夢とロマン、恋愛政治小説。
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銅鐸とか罌粟とか、ヤバい人ばかりのアブナくて胡散臭い物語だけれど、笑いとシリアスと、世知辛い現実と雄大なファンタジーがごちゃごちゃ混ぜこぜになった感じが清々しくもあるのが不思議。最後まで真面目でシュールな世界だった。
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芥川賞受賞とのことで興味を持ち手に取る。
現代の日常生活から、銅鐸を通して歴史と思想が詰め込まれた物語で、不思議な世界観だと思った。
場面描写から心の声に切り替わると文体が変わり惹き込まれる。でも文章が堅く難解で頭にスッと入らないことも。「聖」についての解釈が面白くて変に納得してしまった。最終的にやばいやつとして見られてしまう主人公になんとも言えない感情が湧き上がるが、人って繋がりとか縁で生かされるのかなと感じた。
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主人公の早野は、彼女から振られたことをきっかけに、先生と出会い、「地下」へと入っていく。
地下とは現代の日本の教育で教えていない日本の歴史であり、早野は戦火時、天皇のためとアヘンを栽培していた川又青年に入れ込んでいく。
天皇の力があり良くも悪くもその力で一つにまとまろうとしていた日本と、現代の個人の自由が保障されている社会の比較がされているように感じた。
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早野青年の蒙を啓くため、銅鐸の音を聞かせるため、川又氏の念を通させるためというラストシーンには切ない気持ちになってしまった。とはいえ、最初から最後まで楽しく(というか、ふむふむ感)読み通せた。
芥川賞、受賞おめでとうございます。こういう機会じゃないと関西弁を身近に感じられないし、行けなかった大阪万博の状況も楽しめることがなかったので。
純文学というだけで一歩引いてしまうような方にも手に取っていただきたい本です。
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芥川賞受賞作。帯に期待したらイマイチだったということはよくあるけれど、これは逆。真っさらな満州で陛下を思い人生を投じた川又青年と今の日本で銅鐸作りを先生に学びながら一人の女性に恋をする。大阪万博の栄華と埋もれた叫び…。期待を超えた面白さだった。難しい漢字が多いけれど、言葉が心に直接届いていくような心地よさだった。
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京大文学の系譜?ダウナーなグルーブ感のある文章。
聖とか銅鐸とか罌粟とか天皇とか、昭和の純文学っぽくもあり、主人公の切実さがどうしようもないところとか。こんな万博小説があったのか、という驚きもあり。面白かった。
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銅鐸の先生に師事し、土地や歴史を学び、万博へ行く、お話(?)。
芥川賞受賞作。
政と聖、啓蒙、歴史や過去の人物との対話など難解な部分もありながら、『時の家』よりもすっと入ってきて私的に読みやすかった。
古都ひかるさんの紹介ありで「性」の要素もあったり。
ある程度、一本通ったストーリーのようなものがあったほうが、私的に好みなのだと思う。
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個人的にひっかかったキーワードを挙げる。銅鐸、洞窟、大阪・関西万博、満州、早野と川又青年、先生と音蔵、しおり、聖、天皇といったところだ。早野と川又青年が時を超えて出会い、シンクロしていくところに読みごたえがあった。万博も川又の時代のものと早野の時代のもので結ばれる。川又の叫びは現代の銅鐸を鳴らす音でよみがえったのだろうか。読んでいるときはするすると楽しく読めるが、改めて整理すると様々な対比や結びつきに気が付く。
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今年の芥川賞受賞作。
読み終わってまず難しいと思った。
少し時間をおいて考えてみたんだけど…
先生と出会ってから早野の人生?思想が変わった気がする。先生の話から先生の思想にハマり、先生から聞いていた川又青年と自分を重ねるようになり、正にミイラ取りがミイラになったような。
銅鐸が鳴ると引き込まれて行く。
そしてラストの行動に…
と思うとなかなかおもしろかった。
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関西弁のノリのよさですらすら読めるが、奇妙さを押しつけられているうちに意味がわからなくなり、ただ目が滑るだけになってくる。天皇とかへのこだわりはよくわからない。だんだん荒唐無稽になってくるが、これを芸術と評価した上での芥川賞なのだろうか。テーマが何なのかははっきりしない。そのへんはAIに書かせた小説のようにも思えてくる。難しさはなかったが、登場人物がわりと類型的でご都合主義的かなと思う。
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・面白かった。
・関西弁の会話、文体になるとリズム感が前に出てきて、読んで気持ち良い。けったいな話ではあるけれど、それをスッと読みこなせるのは、一つこの方言のおかげでもあるのかも、と思った。町田康とかも気持ちいいもんな〜。
・あと万博文学として、意味あるかもと思ったり。時代の記録としてね。知らないだけで、他にも万博(最近のね)を扱った小説あるんだろうなぁ。
・けったいな話ではあるが、割と文学としてはど真ん中なのではないか、という印象。
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早野が銅鐸や土地の歴史を学ぶ中で、ある女性と共に生き、川又青年の情熱というか夢?に魅せられた物語であってるかな?笑
這いつくばりながらも、口を動かし、声を出し続けるような熱さ?狂気?を感じました、勝手に。
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茨木市にゆかりのある人は知ってる場所とかがたくさん出てきて楽しいと思う。
物語の感想としては、すごくメッセージ性があるように感じたけれど自分は受け取れなかったという印象。
序盤はまだ理解できてたのだけれど、終盤は何が起こったのか訳がわからなかった。
やっぱり芥川賞は難しい。
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どこまでいっても「自分、自分」の主人公。先生との出会いが引き金となって、内なる世界へと深く潜り込み、遂には虚構の世界を作り上げてしまう。さらには、だんだんと現実との境界が曖昧になっていき…そんな物語のように感じた。
本を読んでいる間は、聞いたことのないはずの銅鐸の音が、ずっと耳の奥で鳴り響いているような気がした。
この作品を読んで頭に浮かんだものは、ドンデコルテの銀次、漫画『満州アヘンスクワッド』、『ねじまき鳥クロニクル』の間宮中尉。
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かつて日本が満州に上陸していったことと、現代の大阪万博を川又青年と銅鐸を介してつなぐような物語の構成になっていたようだが、あまりよく理解できなかった。
文体というか表現もおろしろくしたいのか、昔、罌粟を栽培するしかなくて声を挙げられなかった当時の人を拾い救う高邁なお話なのかそれもよくわからなかった。
現代に生きる早野もしおりさんもそれほど器用に生きているわけではないから何かしらの救いを描きたかったのかなというようには思いながら読んでいたのだが、最後、早野が大阪万博で銃刀法所持違反かなにかで警察に逮捕されてしまって物語が終わったのはとても唐突に感じた。
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第174回芥川賞受賞作品。相変わらず芥川賞は難解。二度続けて読んだけど、??。僕の読解力不足なんだろうけど、芥川賞は毎度々々理解出来ない。だけど,読み返すと、この作者の文章は読めば読むほど味わい深いところがあることを発見した。
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早野(ひかるちゃん) 銅鐸作り
茨木 安威川沿い かつて罌粟(けし)が名産 歩いていて銅鐸の音 先生に出会う
官製の聖=天皇 その霊力 衰退の一途
お前には重さが必要 市民交流コーディネーターになる
プラネタリウム 川又青年 罌粟栽培と阿片 満州へ 星空
1940年の万博 中高生への語り 職員に止められ クビに
しおりさんに声をかけられる 大学事務員 父が家を出て行った
万博 芝生広場 先生の声
列を離れ 戻りの遅い しおりさんを探す 川又青年と肇国記念館へ
伝えたいこと 陛下へ 行幸啓妨害で 逮捕
蒙を啓(ひら)く 本人へ 響きが光になるまで鐘を鳴らす
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芥川賞を受賞した本作が気になり手に取りました。あらすじから満州や歴史など、若干苦手なジャンルだなぁと思ってはおりましたが、現代視点がメインの作品だったこともあり、割と抵抗なく読めたかなという印象です。
本作は失恋の経験から、銅鐸の製作を行う人に師事するようになった主人公のお話。主人公は師から、歴史や己からの脱却を目指すよう諭され、歴史について学ぶようになり、1人の青年の人生に共感するというお話。
まず本作に惹かれた点としては、主人公の危うく傾倒した考え方やその不安定さが文章に表現されていることかと思います。よるべもなく齢を重ねた時に感じる空虚さ、自暴自棄的な考え方などが常に漂うところは、自分ももしかしたらこうなってたのかなぁと感じることもあって、主人公に自分を重ねながら読めたのも1つのポイントかなと思います。
あくまで個人の感想ではありますが、本作は人によっては全く共感できない内容かなと思いました。空虚さから何かに傾倒する経験は何かしらあるかとは思うのですが、さすがにやり過ぎなので、そこは理解が得られない点かと思います。もし自分に友達や恋人がいないまま、ずっと過ごしてたらどうなってたかという視点で読むと、読みやすいのかもしれません。
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純文学らしい硬派な文章で、展開も予想の上を行きます。乗ってきたらあっというまに読めます。
帯に書かれていた、「政と聖を描く」や「満州から令和の大阪万博へ」は確かにその通り内容に含まれていましたが、それほど壮大ではなかったです。キャッチコピーに恵まれた作品と感じました。
茨木の歴史や異常に視野狭窄になってしまう主人公など、要素は深いものがありましたが、主人公が惹かれた女性とのエピソードにもう少し深まりが欲しかったです。
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マッチングアプリで知り合った女に騙され、茨木に越してきた地方公務員の早野。反動で酒と女に溺れ、金は底を尽き、深夜に徘徊していたときに聞こえてきた鐘の音を辿って、銅鐸作りの“先生”に出会う。以後、彼は銅鐸作りを生きがいにするが……。
純文学らしい硬派な文体で描き出されるのは、なんとも滑稽で奇天烈な物語だ。背景に横たわるのは茨木の歴史と、国策としての満州での罌粟栽培という暗部。「土地の名があって、それから人の名があった」という冒頭の一文が、読み進めるうちに重く響いてくる。
第174回芥川賞受賞作。
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万博と天皇、満州と罌粟の花、銅鐸と聖、恋人とその父‥
色んなテーマが複線的に走り、時に錯綜する。特に茨木という街の歴史から満州へと繋がる辺りは知らなかった事柄が郷土史から掘り出され、土地勘のある読者からすると興味深かった。
ただ全体としてみれば、終盤に現れる天皇の扱いにももう少し助走がほしいし、先人の幻がなぜ現代の性愛関係に行き詰まっただけの青年に憑依したのかわけがわからず、これを政治小説と呼ぶのはやや気が引けるのだ。関西弁の書きぶりなどは正確で嫌味がなく、津村記久子の筆法を思わせる所もあり、ユーモア路線の作品も期待したいところ。今作はなんとなく消化不良であった。
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早野ひかるが「先生」を知り、銅鐸と土地について学び向き合っていく。
不器用で目が離せない感がある早野の行動は、少し突飛に感じたりしながらも、先が見えない不安は拭えない。
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なんだろう。
庄司薫が受賞したときのシニア、ってこんな気持ちだった?って思った、って記録しとこう。
市役所、茨木、どこも想像してて気持ちが「連れていかれる」場所じゃないからか。
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ほんとうに不思議な読後感。いかにも“芥川賞らしい”テイストの作品で、好みははっきり分かれそうだ。
物語としての大きなうねりよりも、人物の内面や言葉の質感に重心が置かれている印象。出来事はどこか現実からわずかにずれ、その違和を抱えたまま読み進める感覚が続く。その抑制の効いた語り口こそが、この作品の持ち味なのだろう。
個人的には嫌いではない。ただ、強く刺さるというほどでもなく、そのままラストまで読み終えてしまった、という感覚に近い。銅鐸で殴られる場面や終盤のオチなど、ところどころに面白がれるポイントはあるものの、全体としては、もう一段階突き抜けてもよかったのでは、とも思う。もっとも、そうなると芥川賞的なバランスからは外れてしまうのかもしれないが。 ★3.0
Posted by ブクログ
過去に生きる川又青年と早野の境界が曖昧になっていく後半は読み応えあった。(よくあるパターンかもしれないけど)
前半の拙速感が、なかなかついていきにくい感あり。
でもところどころの表現にうーん!と唸るようなものもあり、才能を感じた。こういうところ、評価されたんだろうなと思う。
もっと書いて、プロットがプロらしくなっていくときっともっと面白くなるんだろうなと思う。(素人はやたら上から目線でごめんなさい笑)