相澤理のレビュー一覧
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予備校講師が母校一橋大学の日本史の入試問題を題材に一般紙向けの連載に書いたものを新書にまとめた本。
近現代史に重きをおく母校の入試。一通りの入試勉強を終えた後、参考書じゃなくて、昭和史の新書とかを読んでいたよなとかも思い出したり。経済史の先生とかがいるから、近現代史が多いんだろうなと思っていましたが、今を語るには、当然知っていなければならない時代。理解していないと安保法なんて批判も出来ません。
歴史は流転す。筆者も「歴史とは古来、平時において乱世を忘れぬよう治乱興亡の跡を明らかに書き留めておくこと」と「おわりに」のところで書いています。
「勅令の定るところにより」と政府に権限を委ねていた戦前 -
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日本人のルーツと言うべき、過去の日本社会が辿った軌跡を、著者の見解を織り交ぜながら、概観している。客観性を重視する姿勢は当然でありながらも、全く感情抜きではなく、我々日本人の祖先が、どんな環境に置かれ、どんな課題を乗り越えようとしていたのか、簡潔に論じている。その意味で、情愛に満ちた、温かい視線を我々の祖先に向けている。しかも、日本思想の学習もやり遂げているため、根源的な部分の理解も示している。ただ、日本に対する興味関心が強いせいか、外国の人々に理解を示すまでには視線に広がりがなく、得てして自国の中での熱狂に身を委ねて、冷静に世界に目配りする度量が欠けていなくもない。とはいえ、日本人としては、
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歴史の編み直しを実行して、新たな歴史像を提示している。すなわち、思考が新しく、我々に身近な存在として歴史の中の人々を再現している。では、どんな形で新しいか。それは、市中の人々と垣根なく接してきたからではなく、新思想を果敢に受容してきたから、歴史叙述にも新味が生まれたようだ。新思想とは、内田樹や加藤周一らであり、この新しい思考の形式を獲得したことにより、新しい歴史像が描出できたのだと思う。東大卒で、東大の先生を崇めている節があるから、学問の内奥に潜行はしても、現在の市中の人々と肩を並べて共感することは難しいかもしれない。しかし、新思考で描かれた歴史に関しては、極めて距離感が近く、身近な存在として
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≪目次≫
第1部 占領下の日本
第1章 日本国憲法は「押しつけ」なのか?
第2章 冷戦は日本にどのような影響を与えたのか?
第3章 サンフランシスコ講和条約をめぐる争点とは?
第4章 財閥解体は成功したのか?
第2部 保守政権の誕生
第5章 自由民主党の結成理念とは?
第6章 安保闘争はなぜ盛り上がりを見せたのか?
第3部 高度成長期の内政と外交
第7章 高度経済成長が達成できたのはなぜか?
第8章 沖縄返還の背景にあったものは?
第9章 田中角栄内閣が掲げた内外の政策とは?
補講 「戦時体制」から「戦後体制」へ
≪内容≫
『ディープな日本史』の相澤さんの新著。どち -
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タイトルのように、びっくりするくらいよくわかりはしなかった。これほどの幅広く、深いテーマを1冊で「よくわかる」というのは不可能かもしれない。ただ、センター試験の倫理の問題はこういうものなんだというのはわかった。各項目の頭にセンター倫理の問題があり、その後に解答を交えて説明するような形式だからだ。
よく見たら、著者は「今でしょ」で有名な林先生と同じ著者は東進ハイスクール講師だった。
「はじめに」で書かれていて、なるほどと思ったこととして、既存の哲学・宗教の入門書は西洋思想に偏りがちというものがある。それに対してセンター倫理は日本思想にウェイトが置かれている。聖徳太子、本居宣長、夏目漱石といっ