フランシス・ウェストリーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
Referred by Nikkeinews 20080928 日曜書評
本書は、社会起業家の思索と行動が他の人々を突き動かしていく過程を描きつつ、社会変革が起こる力学を複雑系の理論で解き明かそうとしている。
本書には、ムハマド・ユヌス氏などが登場するが、その目的はリーダーを称賛することではなく、社会を変えたいと考える人々に羅針盤を示すことにある。著者は「単純」「煩雑」「複雑」の三つを区別し、それぞれ例として「ケーキを焼く」「月にロケットを送る」「子供を育てる」をあげる。子育てが複雑なのは、「親と子が互いに影響を与えあう関係にあり、子供の個性も一人ひとり異なるからだ。育児書通りにしてもうまくいく保証はない」と指摘する。
それと同様なのが、社会変革。事前に描いた綿密な戦略も成功を保障するものではない。著者は、社会起業家は、「不確実性を恐れない使命感がいる」という。日本の代表格は、ヤマト運輸の小倉昌男氏。障害者の賃金の低さに憤り、月給を十万円に引き上げる目標を掲げて奔走し、実現された。口癖は、「やればわかる。やらなければ分からない。失敗したらやり直せばいい」だった。
社会変革が実現するのは、多くの人が「世の中は変わらない」とあきらめ顔をしながら、心底では「変えるべきだ」と感じているからなのだろう。社会起業家が行動で変革の方向を示せば、他の人々も少しずつ「変えられるかもしれない」と思いだす。
共感する人々とのネットワークづくりも重要なカギだ。