大塚桃のレビュー一覧

  • 服従

    Posted by ブクログ

    イスラム同胞党がフランスで勢力を伸ばすという架空近未来を背景に、文学者の訳のわからない生活を描く。自由な個人という概念は、中間的な社会構造を解体するには有効だが、家庭という基本的な社会構造を破壊するに至って、否定するべき概念であるという理論、自然淘汰圧によって一夫多妻とそれに伴う少数のエリート男性による女性の独占の肯定などが目新しい。

    0
    2019年12月31日
  • 服従

    Posted by ブクログ

    ユイスマンス

    カップルとは一つの世界、独立して閉じられた世界であって、もっと広い一つの世界の真ん中を、傷つけられたりすることなく移動できるのだ。

    人間の絶対的な幸福が服従にあるということは、それ以前にこれだけの力をもって表明されたことがなかった。

    0
    2019年07月07日
  • 服従

    Posted by ブクログ

    会話の中で登場するフランス文学や哲学を織り交ぜたストーリーは、消化不良であった。

    しかし、主人公のユダヤ人の彼女・愛人がイスラエルへ避難したり、徐々にパリの街並みがイスラム教色に染まっていく風景に、ただ流されるだけの主人公の小説。

    そして、思慮深いがノンポリな主人公が、環境適応するために、イスラム教へ改宗し服従するという文学的な作品。

    観光や仕事で、パリを観た事がある私にとって、憧れのヨーロッパ的風景であるパリが、イスラム色に染まっていく本作のストーリーは衝撃的だった近未来小説。

    0
    2019年04月14日
  • 服従

    Posted by ブクログ

    2022年のフランスでイスラム主義政党が国政を掌握するという、一見あり得ないだろうそんな事、と思いがちだけど、よく考えるとあり得なくもないのか実は、と思ってしまう、現在のフランス及びヨーロッパ諸国の激動を描いた作品でした。
    著者はこの本の中で、ヨーロッパは資本主義を推し進める中でヨーロッパの良さを自ら放棄してヨーロッパを自殺に追い込んでいる、そしていまそこに残っているのは疲弊だけだ、と語っています。
    そのヨーロッパの大国フランスで行われる2022年の大統領選で、移民の完全排除を掲げ内向きなフランスを目指す極右政党と、穏健派のイスラム主義政党との一騎打ちとなり、疲弊した国民がイスラム主義政党を勝

    0
    2018年01月03日
  • 服従

    Posted by ブクログ

    主人公の研究対象であるユイスマンスのことをわからないとわからないんだろうな。。。と読みながら思った。これまで読んできた「闘争領域の拡大」「プラットフォーム」「ある島の可能性」とはなんか違う感じ。消化不良。

    0
    2017年10月29日
  • 服従

    Posted by ブクログ

    フランスの政治状況について全然知識がないため、読むのが難しかったです。もっと知識があれば、もっとこの本の魅力を味わえるのだろうなと思います。

    フランス大統領選挙で、国民戦線とイスラーム同胞党が決選投票に挑み、イスラーム同胞党が勝利します。イスラーム同胞党は、フランス人の子弟がイスラーム教の教育を受けられる可能性を持たなければならないとしています。イスラーム教育は男女共学はあり得ず、ほとんどの女性は初等教育を終えた時点で家政学校に進み、できるだけ早く結婚することが理想とされます。教師もイスラーム教徒でなければなりません。

    そんな社会になっても、思っていたよりは反乱、暴動が描かれていないように

    0
    2017年06月18日
  • 服従

    Posted by ブクログ

    書店にて「文庫になってる!」と手に取り、そのままレジ直行。

    イスラム教にヨーロッパが支配されたらどうなるのか、という挑戦的な内容の小説だということをテレビで知り、興味を持っていました。

    ある程度哲学、文学、政治への素養がないと厳しいかもしれません。でも新聞の海外欄を読み通せるくらいの知識があれば問題ないと思います。
    あとフランス人の作家のせいか(それは偏見でしょうか)ベッドシーンが多用されています。特に前半は。
    読んでるときはちょっとくどく(っていうか主人公何してるんだよと)思っていましたが、あとから考えると、ヨーロッパの生命力を欲望として表現していたのかもしれないとも思えます。

    ラスト

    0
    2017年06月14日
  • 服従

    Posted by ブクログ

    だらだらごちゃごちゃゆってるな感はあるけど笑それも含めておもしろかった。何となくの村上春樹感ある。絶対的な幸福は服従にある。イスラーム世界は創造主による創世は完璧、称賛と法への服従。人間主義とインテリは弱く脆い。

    0
    2017年05月25日
  • 服従

    Posted by ブクログ

    近未来を描くディストピア小説。
    フランスの国民戦線とイスラーム党の政権抗争と、その帰結、およびそこから描かれる影響が表されている。視野狭窄と他者への寛容性を失った社会の起こり得る帰結と、そうした非日常が日常化していく中で作られていく新たな「当たり前」が描かれていく中で、現在の持つ特異性や良さ、改善点に改めて気付かされた。

    著者の白人男性としての価値観も少々感じることがあった、ムスリムへのある種のぬぐいきれない固定観念みたいなものもところどころ感じたり。
    自分はディストピア小説に割と心動かされることが多いのかな。ただ一方で、物語の大筋と個人の世俗的な欲望がどのようにリンクしているのか見えにくい

    0
    2017年04月23日