高杉康成のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
『キーエンス流 性弱説経営』では、ビジネスにおける顧客、取引先、上司、部下といった関係者を、どのような人間観に基づいて捉えるべきかが論じられています。
本書でいう「性善説」とは、人は本来善良であり、「正しく尋ねれば正しく答えてくれる」「やるべきことは自律的に実行できる」「物事の道理や常識を理解し、それを実践できる」という前提に立つ考え方です。
一方、「性弱説」は、人は本質的に意志の弱い存在であり、難しいことや新しいことには消極的になりやすく、つい目先の簡単な方法や楽な選択肢を選んでしまうという人間観です。そのため、組織や業務の仕組みは、人の弱さを前提として設計すべきであると考えます。
キーエンスは、この「性弱説」に基づいて営業活動や業務プロセス、組織運営を徹底的に仕組み化することで、高い収益性を実現してきました。読み進めるうちに、この考え方は極めて合理的であり、多くの企業にも応用可能な経営哲学であることが理解できます。
もっとも、その考え方に納得することと、実際に組織運営へ徹底して落とし込むことは別問題です。人間は、まさに「性弱説」が示すように、分かっていても従来のやり方を変えることが難しい存在です。本書を読んで最も印象に残ったのは、「性弱説」は他者を評価するための考え方ではなく、自分自身を含めた人間の弱さを認識し、その弱さを仕組みで補うという実践的な経営思想であるという点でした。 -
Posted by ブクログ
性弱説として「人は、難しいことや新しいことを積極的には取り入れたがらず、目先の簡単な方法を選んでしまいがち」と定義したのは実に的を射ていると感じた。
「仕事ができる・できない」という善悪二元論ではなく、「人はみんな弱いもの」という一つの考えを起点として、自分・職場の上司や部下・顧客を捉えて、どのような仕組みを自社なりに作れるのかどうかがポイントだと理解した。
顧客のニーズが多様化している現代では、パーソナライズされたソリューションの提案をどの企業も大なり小なり行っているので、本書で紹介されている具体的な取り組み事例が参考となる場面はより増えるだろうと感じた。
入社年数の浅い若手社員はもちろんのこと、我流の仕事スタイルに立ち止まって見つめ直したい中堅社員にもおすすめできる書籍だと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ性弱説、というタイトルからなんとなく、「気弱な人でも勤まる仕事論」のようなものを想像していたが内容は全く違った。
経営は往々にして性善説に立つ。「ルールを作れば社員は守る『だろう』」「評価制度をクリアにすれば目標達成を目指し全力で頑張ってくれる『だろう』」。しかし、実際は、手抜きや虚偽報告が横行する。
それをそうさせない仕組みをがちがちに決めていく、というのが性弱説経営。性善説に立たない、というところで性悪説なのでは…とも思うがまるっきりの性悪説にも立たない、ということなのだろう。
手抜きができない仕組みを張りめぐらせ、評価基準は、目標収益の達成、収益の絶対額、前年からの伸び率、で見る。
性弱説とは別の話だが、顧客の声からノイズを取り除き、本当のニーズを掘り起こせるというのがキーエンスの強み。この本ではその一部が語られるのみだが、その集合知ともいえるノウハウが当社の宝となっている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレもとキーエンスの型が高収益商品を開発するための考え方、仕組み、進め方について詳しくしるした本。
読むだけで全てできるわけではないにしろ、考え方含めかなり参考になる部分が多い。
<メモ>
・いかに高く売るか、いかに顧客ニーズをマネジメントするか。
・潜在ニーズは行動観察から。
・情報には営業情報と開発情報がある。
・開発情報の方がより深い情報となる。
・ニーズには顧客ニーズと市場ニーズがある。
理想と現状の差が顧客ニーズ。市場と実際の差が市場ニーズ。
・現状と代替物で考える。現状がなければそもそも不要である可能性すらあり。
・【財布の大きさと向きを変えること】
・競合分析を行うよりも現状を把握する3T分析を先に行うべき。すなわち、technology,target,trend 技術・ターゲット・市場動向である。
・利益拡大のためには市場規模を拡大させること。
・代替品により拡大させる、類似商品を活用することにより拡大させる方法がある。
・顧客増殖には発掘型と展開型がある。発掘型は自らPRなどによってプッシュ型で広げていくこと。展開型は顧客や商品によって横展開を試みるもの
・セグメンテーションは提供型目線ではなく、ニーズに基づいて行う。
・マスカスタムという考え方。同じニーズを有する横展開を考える。
・販売時には標準化と単純化を大事にする。セグメントごとに困りごとは違い売り方はことなるが、うまく活用する。
・販売後の検証 ビジネスコンセプト、販売価格、戦略検証、追加仕様の検討の4つ
・人材育成、組織的な取り組みも必要。 -
Posted by ブクログ
人間は、善でも悪でもなく、弱い。組織をいい方向に動かすには、普通の人たちである6割の人が、ハイパフォーマーか働かない人たちか、どちらに動くかがポイントになる。
キーエンスはなぜ高収益を維持できるのか。超一流の人たちがいるからではなく、組織が機能するための仕組み、仕組みを動かす仕組みを高い精度で回しているから。
文化として、ソリューション提案の際も性弱説を前提におく。仕組みが機能するかも同じ、何もかも人は弱いを前提に置く。楽観はしない。
仕事の密度、トヨタでいう正味率を大事にする。人時生産性を時間チャージで意識し、今の自分の働きは時間チャージと比べてどうか?を常に考えている。また、メカニズム思考で事実と根拠を大事にする。顧客個人の意見や特殊なニーズ、に惑わされず、なぜそれが求められるのか、今はどういう仕組みで、どこが問題で、どれだけ困っているのか、の潜在ニーズを言語化、可視化する。そのあとは、提案内容の検討と代替可能性の評価。また、評価面でもハッピーコールなどで、KPIが形骸化しない仕組みを徹底する。真因を深掘る。事前報告で上司と面談シナリオ、最低限の収穫をどのように取るかの確認、事後報告ですり合わせ。担当と上司で見るところが違えば、取引先と自社でも見るところは違う。
付加価値を意識すれば、今自分のしていることは本当に価値があるか、自分だからできた工夫は何か、を常に意識できる。
情報についても、営業情報、仕様情報、開発情報を分ける。潜在ニーズで大事なのは開発情報。なぜそれが必要とされるのか?今どんな方法で、何が問題か、それはどの程度問題なのか?を整理する。ここの深掘りにスキルが必要。
面談では、時間、スキル、コミュニケーションの流れの3制約がある。どれも、事前報告で上司と確認をする。また、面談前に必ずロープレを。社会人になると練習をしなくなる。社会人だからこそ練習をしないといけない。
事前事後報告やロープレなどハード部分は自分でも意識して取り入れる、性弱説的な視点を持てるように、開発情報を意識する。現場任せにしない、仕組み作りと、仕組みが回る仕組み、仕組み同士の連携を意識しないといけない。 -
Posted by ブクログ
仕組みの説明だけでなく、それを運用し成果をおさめるためまで書かれていたので、より有用だと思った
メーカー営業を例にあげて営業と開発側の視座の違いも文字化されていた。身の置き場で葛藤することが多いので今後は客観的に考えられそう
「性弱説」という言葉ありきでこの本が書かれている感じはするけれど、内容としては実際に「○○で困ってる」と言っても原因が別にあることは往々にしてあってそこを分解しないと何か解決策を講じても的外れになるわけで(上司に読んで欲しい)
目新しい!びっくり!はないかもしれないけど、結構こういう地味なことを重ねていくと大きなものになるんだよなーと思うので、自身の小さなことでも見直していきたい