佐藤史生のレビュー一覧
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佐藤史生さんの作品も二作目になりまして、本書は、前回読んだ『死せる王女のための孔雀舞』よりも、以前に書かれた短篇集なのですが(1977~1979年)、読めば読むほど、もっと早く出会いたかったと思ってしまい、作品から立ち上る、作者の人柄や雰囲気は、私が思わず寄り添いたくなるような、信頼性を感じさせられ、とても好きです。
猫丸さん、本書もお勧め下さり、ありがとうございます(^_^)
デビュー作も入っているが、意外性のある、しっかりとした物語に、活き活きと描かれたキャラクターは変わらず、コメディもシリアスも、自由で柔軟な発想を感じさせられ、しかも、ホロリと考えさせられる、時代に縛られないテーマ性 -
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穂村弘さんが、年に一度は彼女の全作品を読むことを、彼のエッセイで知り、興味を持って買いました。
まず、猫丸さんに勧められた、「夢喰い」を読んだ。
外国の神様のことはよく分からなかったけれど、家族の絆の素晴らしさと、血縁の凄まじさに、物理的な作用は全く影響しないことを、教えてくれたような気がしました。幻想的でいて、現実的な感覚も持てるような、不思議な名作。
次に、「七生子」シリーズ。
私としては、こちらの方が好きかも。
まず、主人公の高校生「加賀見七生子」の初登場時の、メランコリックな影を感じさせつつ、強気っぽくも凛とした、その佇まいに惹かれるものを感じ、印象的でした。
それから、物語の設 -
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ミノタウルスの伝説を底辺にした、家族の愛憎の物語。
優秀で性格もよくその上美形という完全無欠な兄は、失踪することで、家族の中での自分自身の存在理由を問う。
多分、そういう物語なのだと思う。
雑誌掲載されていた時にも読んでいたけど、その時はむしろ失踪に戸惑い続ける弟や、振り回される男にシンクロして、兄への憧憬の物語だととらえていたように思う。
が、兄は自分をミノタウルスに投影する。
その意味が、ようやくわかった気がする。
それは萩尾望都の「城」で語られたテーマに通じるのかもしれない。
いわば、兄は真っ白の石で表面だけを作った城で、人は白黒のバランスがあってこと、であると -
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七生子シリーズ。
と、「夢喰い」がはいってます。
七生子シリーズが読みたかったので手に入れたんだけど、「夢喰い」もあって、もうめちゃくちゃ得した気分になったよ。
「ワンゼロ」へと続く、というかその前哨戦みたいな作品だけど、実は「ワンゼロ」より好きだったりするのだ。っても「ワンゼロ」の最後の、全てが終わってどっかにいってしまった都祈雄の何もかもを超越したような笑顔の絵は、今も網膜にやきついてる。
とはいえ、読み返してなんでこれがここまで琴線に触れるのか、やっぱりよくわからん。
が、やっぱりなんか胸にしみるというか、震えるんだよね。
不思議。
そして七生子シリーズ。
これの -
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佐藤史生短編集「夢喰い」。
80年代のSF少女マンガ家として活躍した方だそうです。少女漫画家さんは知らない方がとても多く、自分的にはフロンティアな部分です。
まあ、知っていると思うこと自体が傲慢ではあると思います。知らないことを知るのは喜びであるので、購入しました。
空想と幻想と奇想の織りなす物語が、作者の色なのかなと短編8作を読んで思いました。没入感を物語への共感とするのなら、没入よりも耽溺の方が近い気がする。
なんだろう、揺蕩うという表現で独語を語るのが一番近しいか。物語に入り込むよりも、沈んでゆくという感覚。気持ちがよい。液体と個体の中間の柔らかさのものに沈みゆったりまどろむ気分がある -
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佐藤 史生といえば、「夢見る惑星」と「ワンゼロ」です。
特に、「ワンゼロ」は、独特の世界を持っていて、おもしろかった。
本当に、あの頃の少女マンガは、凄かった。SFだった。
「夢見る惑星」のおもしろさがわかったのは、文庫で読み直したとき。多分、はじめて読んだときは、イリスが、幻視の力を持っていなくて、実は人を謀っていたということが、まったく理解できていなかったのだと思います。
でも、それ以来、あんまり読んでいなくて、アリス・ブックあたりで、「夢見る惑星」の続編を読んで、それ以来ずっと。
実は、お亡くなりになっていたということも、この選集がでるようになってから知りました。
だから、この本の