あらすじ
少女マンガの知的存在・佐藤史生。
1980年代、少女マンガSFが到達した高み。
唯一無二の世界を映し出す全8編。
極上の300ページ!
2010年に急逝した漫画家・佐藤史生。
誰もが絶賛したその知性、そして卓抜した画力から紡ぎ出された代表作「金星樹」ほか、70~80年代の傑作短編・全8編を集成。
不穏だが優しく、果てしなく美しい――。
【収録作品】
●「金星樹」
●「レギオン」
●「阿呆船」
●「夢喰い」
●「バナナ・トリップに最良の日」
●「羅陵王」
●「塵の天使」
●「一角獣にほほえみを」
【巻末企画】 佐藤史生のスケッチブックより、初公開となる貴重なスケッチや構想メモなどを掲載!
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Posted by ブクログ
佐藤史生短編集「夢喰い」。
80年代のSF少女マンガ家として活躍した方だそうです。少女漫画家さんは知らない方がとても多く、自分的にはフロンティアな部分です。
まあ、知っていると思うこと自体が傲慢ではあると思います。知らないことを知るのは喜びであるので、購入しました。
空想と幻想と奇想の織りなす物語が、作者の色なのかなと短編8作を読んで思いました。没入感を物語への共感とするのなら、没入よりも耽溺の方が近い気がする。
なんだろう、揺蕩うという表現で独語を語るのが一番近しいか。物語に入り込むよりも、沈んでゆくという感覚。気持ちがよい。液体と個体の中間の柔らかさのものに沈みゆったりまどろむ気分がある。
物語のクライマックスでは、衝撃があるのだけど、それを踏まえた上での気だるさの中の幸福感なのかな。
『金星樹』『阿呆船』『羅陵王』『塵の天使』の読後感がいいですね。このまま物語の中に沈み込んでしまいたい、という危うさをもつ幸福感です。
メガテン好きなので『レギオン』が好みであるのは言うまでもない。この物語の先に「BASTARD」があるような気がします。多少は影響受けているんではないかなぁ。