あらすじ
【佐藤史生コレクション3】待望の名作復刻シリーズ第3弾!
古代ギリシャのクノッソス宮殿と現在を舞台に、出生の秘密を知った天才少年・最上清良の傷ついた心の惑いと再生をたどる、時空を超えたSFミステリー。人間の心の迷宮を書き出したシリーズ3編のほか、資産家を舞台に、本妻の息子と私生児の愛憎絡み合う葛藤を描く「おまえのやさしい手で」を収録。 加えて冷徹な女帝とその寵愛を受けた青年のアンビバレンスな愛の物語「緑柱庭園(エメラルドガーデン)」を収めた傑作作品集。
著者について「2010年4月に急逝した漫画家・佐藤史生。 「別冊少女コミック」からデビューした後、SF、ファンタジーの要素を巧みに取り入れた作品を多数発表するも、2000年に刊行した『魔術師さがし』(小学館)以降は新作が発表されていませんでした。 佐藤氏は、1970年代に現れ日本の少女漫画界をリードした少女漫画家たち、いわゆる “24年組”に対して、年齢や作風から“ポスト24年組”の一人として数えられている作家の一人ですが、少女漫画の枠に当てはまらない独自の世界を築き上げたことで、漫画ファンの記憶に長くとどまり続けています。」
収録作品 :この貧しき地上に/青猿記/一陽来復/おまえのやさしい手で/一応 アトがき/緑柱庭園
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Posted by ブクログ
ミノタウルスの伝説を底辺にした、家族の愛憎の物語。
優秀で性格もよくその上美形という完全無欠な兄は、失踪することで、家族の中での自分自身の存在理由を問う。
多分、そういう物語なのだと思う。
雑誌掲載されていた時にも読んでいたけど、その時はむしろ失踪に戸惑い続ける弟や、振り回される男にシンクロして、兄への憧憬の物語だととらえていたように思う。
が、兄は自分をミノタウルスに投影する。
その意味が、ようやくわかった気がする。
それは萩尾望都の「城」で語られたテーマに通じるのかもしれない。
いわば、兄は真っ白の石で表面だけを作った城で、人は白黒のバランスがあってこと、であるというそのこと自体が醜悪であると拒絶していたんじゃないかなと。
そして、拒絶こそがミノタウルスなのではないだろうか。
魔物は、異形は、人の心にこそ巣くう。
だれもがそれに折り合いをつけて生きて行く。が、それが出来なかった兄は、自身をミノタウルスという化け物にして、ようやく<人>として生きて行く理由を見つけたのだろう。
にしても、昔は気づかなかったけど、全体的にエロいです。
うむ。
年食って、エロの意味がわかってきたからなんでしょうかね?ww