越智敏之のレビュー一覧

  • 増補 魚で始まる世界史
    肉食のイメージが強いヨーロッパだが、肉の供給が安定するまで常食するのは魚だった。カトリックが定めた〈魚の日〉、ニシンの回遊ルートが動かしたハンザとオランダの経済、大英帝国を築きあげた塩ダラの輸出事業、魚を使った悪口が頻出する「テンペスト」と奴隷制など、魚食から見える西洋史。


    バリー・コリンガム『...続きを読む
  • 増補 魚で始まる世界史
     ヨーロッパの食べ物というと肉を想像するが、西洋の食の中心が肉というイメージが確立するのは、18世紀に、肉類を一年を通して供給するシステムが確立してからのことであり、それまでは、魚の方が肉よりも消費量が多かったそうだ。それには、当時のカトリック教会の世界では一年のおよそ半分が断食日であったが、魚を食...続きを読む
  • 菊と刀
    約40年前の古典。今の20代たちが見れば、祖父母、父親、母親がどういう日本人であったかがわかるでしょう。
    特に子どもの育て方、祖先に対する考えなどわかりやすいと思います。
  • 菊と刀
    戦後日本の占領統治を効果的なものとするため、日本の土地を踏むことなく文化研究学者ルース・ベネディクトがまとめた日本人論。脚注において誤りも多数あるが、日本人の精神構造をアメリカ人と比較しながら論述することで、特徴的に描き出している。ほとんどが今でも有効なものではないか。
    日本人は社会の中で自分に与え...続きを読む
  • 菊と刀
    異なる文化圏の人が書いているのだということがひしひしと感じられる文章だった。自分たちの使う視点とは大きく異なる場所から自分たちの文化を見つめられる違和感が大きく、読んでいて脳に心地よい負荷がかかった。
  • 増補 魚で始まる世界史
    ヨーロッパではあまり魚が食べられてるイメージが強くなかったけど、実はそうではなくてニシンやタラは重要なものだったという初めて知る知識に惹かれ購入。イギリス、オランダ、フランス、スペイン、アメリカあたりの歴史に興味のある方におすすめ
    私が思ったよりもかなり前の時代から魚と人々の生活や政治、軍隊、宗教な...続きを読む
  • 菊と刀
    アメリカとの比較が面白かった。恥の文化と罪の文化。義理と愛。睡眠と食べ物について。人生の自由線がアメリカとは正反対であること。日本人の二面性について。斜め読み箇所も多かったが、目を通して良かったと思えた一冊だった。
  • イギリス肉食革命
    イギリスの肉食は資本主義の発展と密接不可分であることがよくわかった。都市人口は増える→食需要は高まる↑工業的な食肉生産に至る、の循環。羊の太らせる過程などは確かに「革命」である。やや気持ちわるい話もあり、最近の動物倫理学で語るとNGのようなことが多いとも感じた。
  • 菊と刀
    戦後すぐに出版された日本人論なので、現代では「?」な部分もありますが、おおむね的を得ているように感じます。ただ、一つの論点をだらだら書いててわかりにくい部分が多くみられます。

    1.この本を一言で表すと?
    ・大きくはずれてないが、細部で間違いが多い、アメリカ人による終戦直後の日本人分析

    2.よかっ...続きを読む
  • 菊と刀
    以前読んだ長谷川松治訳(講談社学術文庫版)よりかなり読みやすい.光文社文庫版もチェックしたいところ.

    「菊と刀」の評価は過去にも多くなされているが,ベネディクトの見方に正しいものがあるというところは感覚的には理解できる.ただ,それは単純に結論として正しくなっているだけである.結論にいたる過程につい...続きを読む
  • 菊と刀
    評価が難しい本。本書でまず目につくのは、巻末に附された厖大な量の註である。これは、著者が丹念に取材にあたった証左ではなく、むしろその逆で、事実の誤認などがかなり多いために訳註を増やさざるをえないのだ。まずこの時点で、高い評価をためらってしまう。当時日本論がほとんど世に出ていないことや、取材時は戦時下...続きを読む