北中正和のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「なんで今頃ビートルズなの?」という声も聞こえてきそうですね。単なるビートルズ入門書ならば,わたしも手に取って読んでみることはなかったでしょう。本書は帯にもあるように「世界史の中でビートルズを読み直す」という内容になっています。ですから…他の人も書いているように…ビートルズのことや,彼らの曲の一般的な解説書だと思ったら大間違いです。
わたしにとっては,とても興味部会内容の本でした。ビートルズが生まれる前からのリバプールやイングランドの社会的な情勢,あるいは,ビートルズの音楽に影響を与えたかもしれないいろいろな音楽的な状況などについて,具体例を挙げながら教えてくれます。
著者も書いていますが,今の時代,昔の曲目を聞こうと思えば,スマホ等ですぐに聞くことができます。今回も,本書をめくりながら,10曲ばかり,50年代~60年代の音楽を聴きながら読んでいました。なかなか新鮮な経験でした。『蜜蜂と遠雷』を読んだ時も,演奏曲を聴きながら読んでいたのだったなあ。便利な世の中だよ。
これをキッカケに,またまたビートルズを聴いてみたくなりました。公式のLPは全て持っていますので。 -
Posted by ブクログ
幼児体験から音楽製作論まで多岐にわたる内容の濃さは読み応え十分です。
インタビュー冒頭が、港区白金台という、僕が子供時代に遊んでいた地理から出発するのも嬉しかったし、はっぴえんど後半に、細野氏自身が不安神経症に悩まされていたという証言は、たまたま自分も神経がくたびれてた時期に手に取った偶然もあって印象深い。
はっぴいえんど時代後期から、神経症と過喚起症候群に悩まされていた細野だが、それはある日を境に唐突に克服。すると今度は一転してハイになり、これまでの反動からか謎のトロピカル路線に。「TROPICAL DANDY」の製作に向かう。
つかみ所の無い細野の音楽スタイルと膨大な作品群を前に、むしろ細野の口からは、アーティストの創作の歴史が、隠遁する前の足の骨折も含めて単に個人の体質変容の連続性の結果でしかないことのように、この本では一貫して語られている。
無論、卓越した音楽プロデューサーとしての冷静な目線やマーケティング的視点も随所で発言に反映されていて読み所満載。
しかし平凡社ライブラリーの、文庫カバーがギリギリ装着できないこの中途半端な版形は何とかならないものなんじゃろかーい。 -
Posted by ブクログ
古書ビビビで買った。はっぴいえんどの頃の話が自分的には面白くて、その頃に細野が影響を受けた音楽や語られるアーティストが出てくると、僕は一度読むのをやめて、Apple musicで曲を調べてどんな歌かを聴いた。ヴァン・ダイク・パークスのOrange Create Artがとてもいい。細野曰く、ヴァン・ダイク・パークスは気難しかったらしいけれど。
仕事中の昼休みや旅行帰りの新幹線で読んでいたけれど、さっき自分の部屋の布団の上で読んでいたときにとてもしっくりときた。気になる音楽が出てくると、Bluetoothで繋いだコンポから細野のS-F-Xのepを流す。紫式部源氏物語、omni sight Seeingを流す。普段だったら聴くことのない不可思議なテクノの音が、本を読みながらだと遠くに聞こえてそれが心地よかった。文章で細野を感じながら、同時に音楽でも細野を感じられた。
色んな類の音楽を作ってきた細野に対して、今までどのような心境か想像するのも難しいほど広大に見えていたけれど、北中氏がどの時代のことも余さずひとつひとつ聞き、細野もそれに答えるから、読み終わって細野の見る景色を少し想像できるようになった。そのことに非常に充足感をおぼえている。 -
Posted by ブクログ
Apple Music契約してて、音楽ジャンルに詳しくない人はこの本を読んでほしい。年代別のカテゴリをみると、いろんなジャンルのベストがいっぱいあるんだけど、それをかたっぱしから聴きたくなる。サブスク最高だなってなる。
この本では、当時の社会背景を解説しながら、アーティストやジャンルの誕生を紹介している。本書を読むまで60年代~70年代のロックは良さがさっぱりわからなかったんだけど、背景を知ると当時の熱が伝わってきて印象が変わって聴けるようになった。それでも文字だけだとよくわからない。どの年代でもyoutubeでライブ映像が見れるので、動画を見ながら読むのがおすすめだ。
よく知らないでロックを聴いていた今までも楽しかったのだが、歴史を知ってより音楽が好きになった気がする。自分にとってはいい本。 -
Posted by ブクログ
この人については、知れば知るほど訳がわからなくなる。とりあえず、この人と比べると私はそれよりもずっとマトモでフツウだ。それぐらいぶっ飛んだ人みたい。細野さんは。
これまで幾つもの山と谷を歩いてきた人だから、筋の通った自分をしっかりと持っている。自然や仏教や宇宙をも味方に付けた、どっしりした考え方をしているな、というのが私の中での総括。
最後の方は読んでいてもう何がなんだか分からなかったけれど、この人の音楽以外の部分を垣間見できたことだけでも大きな収穫だった。もうこれ以上深入りできないと思う。あとがきにもあったけれど、謎が謎を呼ぶんだもの、きりがない。
「分福茶釜」を読み終えたあとに持った感想とは全くちがう。あちらだけだと、「細野さんは経験豊富な、素敵なお爺ちゃん」で終わっていたもの。併せて読んでよかった。 -
Posted by ブクログ
音楽の背景やアーティストの出自などあまり気にして聴いてこなかったが、歴史を知るために拝読。
ロック史は少なからず時代の、社会の暗い部分から逸脱するために産まれてきたものであると理解した。光だ。そうあって欲しいと。
そして、昨今はあまりにも多岐にわたりサブスクやSNSなどから安易に耳にすることができる。
行く末はAIで簡単に作れてしまうところまで来ている。
だからこそ、音楽の背景や意味を知ることを大切にしたいとなんとなく思ったのであった。
※以下、生成AIにて内容まとめ
ロックという音楽がどのように生まれ、時代や社会と結びつきながら変化していったのかを辿る一冊。
ロックの源流には、黒人音楽であるブルースやR&B、ゴスペルと、白人のカントリーなどさまざまな音楽がある。1950年代、それらが混ざり合う中からロックンロールが登場する。
その象徴的存在がエルヴィス・プレスリー。黒人音楽から大きな影響を受けたサウンドを白人の若者へ広め、ロックンロールは若者文化として巨大なものになっていく。同時期にはチャック・ベリー、リトル・リチャード、バディ・ホリーなど、その後のロックに大きな影響を与えるアーティストも登場した。
ロックは単なる新しい音楽ではなく、大人や既存の価値観に対する「若者の反抗」と強く結びついていた点が印象的だった。
1960年代になると、その音楽がアメリカからイギリスへ渡り、ビートルズやローリング・ストーンズなどによって再解釈される。そして今度はイギリスからアメリカへ逆輸入される「ブリティッシュ・インヴェイジョン」が起こる。
特にビートルズの登場は大きな転換点だった。ロックは若者向けのダンス音楽という枠を超え、作曲、録音技術、アルバムという表現形式そのものを発展させていく。
一方のアメリカでは、公民権運動やベトナム戦争への反対運動、ヒッピー文化など、社会そのものが大きく揺れていた。ボブ・ディランに代表されるフォークの思想性もロックへ流れ込み、「音楽で社会や政治について語る」という側面が強くなっていく。
1960年代後半にはジミ・ヘンドリックス、クリーム、ドアーズ、ジェファーソン・エアプレインなどが登場。サイケデリック・ロックやブルース・ロックが広がり、ロックはより実験的な音楽へと変化する。
そして1969年のウッドストック。音楽だけでなく、反戦、自由、共同体といった当時のカウンターカルチャーを象徴する出来事となり、ロックが若者文化そのものを代表するほど大きな存在になったことが分かる。
1970年代になるとロックはさらに細分化していく。ハードロック、プログレッシブ・ロック、グラムロックなどが発展し、レッド・ツェッペリン、ピンク・フロイド、デヴィッド・ボウイなど、それぞれ異なる方向へ音楽表現を拡張していった。
一方で、ロックが巨大産業となり高度化していくことへの反発としてパンクが登場する。セックス・ピストルズやクラッシュ、ラモーンズなどが、技巧や大掛かりな演出ではなく、荒々しくシンプルな音楽へと立ち返った。
ここがロックの面白いところで、成熟して複雑になると、それを壊して原点へ戻ろうとする動きが生まれる。その反抗からまた新しい音楽が生まれていく。
さらにレゲエなど、英米以外の音楽との交流も進んでいく。ボブ・マーリーの世界的成功などを通して、ロックを中心として見ていた音楽の世界が徐々に広がっていく。
1980年代以降はMTVの登場などによって「聴く音楽」だけではなく「見る音楽」という側面も強くなり、音楽産業そのものも変化する。そしてロックは世界各地の音楽や電子音楽などとも交わり、ひとつのジャンルとして簡単には括れないものになっていった。
本書を読んで一番面白かったのは、ロックの歴史は単純に「新しいアーティストが次々登場した歴史」ではないということ。
黒人音楽と白人音楽、アメリカとイギリス、若者と大人、商業主義と反抗、政治と音楽、既存文化とカウンターカルチャー。
そうしたものが衝突し、混ざり合い、そのたびに新しい音楽が生まれている。
ロックは決まった音楽形式というより、その時代の若者が既存の価値観に違和感を持ち、それを音楽として表現してきた歴史なのかもしれない。
普段何気なく聴いているロックも、アーティスト同士の影響だけでなく、その時代の政治、社会、人種、産業、テクノロジーなどとつながっている。
音楽を「点」ではなく「歴史の流れ」として聴いてみたくなる一冊だった。 -
Posted by ブクログ
ビートルズについては「数え切れないほど本が出版されている」(p.4)けれど、「本が触れるにつれて、重複を避けるための専門化が進み、細部の記述が詳しさを増しています。しかし皮肉なことに、細部に詳しければ詳しいほど、ビートルズの全体像がかえって見えにくくなっているようにも感じられます。」(同)ということで、「この本ではむしろ森林浴のようにビートルズの魅力を味わい、その背景や歴史に思いをはせ、かつて受けた印象やいま受ける印象について語ろうと思います。」(p.5)という本。
今度おれはリヴァプールに行くのだけど、リヴァプールといえばビートルズ、というのは知っているが、英語の教員なのにビートルズについて全く知らず、なんか入門書的なものはないかなと思って、とりあえず見つけた本。
ただ当たり前かもしれないけど、やっぱり色んな曲の名前を知らないと、あるいは当時の有名なミュージシャンの名前とか知っていないと、固有名詞が多いところはとっても分かりにくかったし、読むのが難しい。他のクラシックの本とかもそうだけど、やっぱり曲を聴きながら読むとかしないとなあ、と思った。けどそれができなかったので、これから聴くためのメモを箇条書きで。
・「マギー・メイ」(p.42)…「リヴァプールの伝統的な音楽にはあまり縁のなかったビートルズですが、彼らが演奏した地元の民謡が1曲だけ残っています。」という、船員たちの間で歌われたという曲。
・「ラヴ・ミー・ドゥ」(p.44)…「イギリスのEMIのパーロフォン・レーベルから発表した公式のデビュー・シングル」で、1962年発売の曲。
・「フリー・アズ・ア・バード」(p.67)…「メンバーが自分たちの過去を振り返ってまとめた作品ならではの客観性があり、ビートルズらしさがヴァーチャルに凝縮されている」
・ビートルズの曲ではないけど「ジス・イズ・アメリカ」(p.71)…「差別や銃問題などアメリカ社会の抱える問題を描いた曲でした。ヒップホップ調の曲が最優秀賞レコードに選ばれたのは史上初のことで(略)、その中にも彼がジム・クロウのポスターを連想させるようなポーズをとる画面が出てきました」とか、授業で使える曲だろうか?
・「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」(p.172)…「ジョンがインド音楽を参考に一つのコードで同じメロディだけをくりかえしてうたう」。『チベットの死者の書』からインスパイアされた歌詞?があるらしい。「幼いころから叔母に育てられ、10代で母を交通事故で亡くしたジョンは、欠落感や壊れやすい心を人一倍強い自我に隠してガキ大将を演じ、指導力を発揮してビートルズを成功に導いてきました。しかし人気や名声が心の空白を埋めてくれたわけではなく、悩みを抱えたままいわば本能的に『ヘルプ!』と叫んでいた」(p.173)という部分で、やっと生い立ち的なものを知った。
・「ラヴ・ユー・トゥー」、「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」(p.180)…「西洋のポピュラー音楽のアーティストがインドの古典音楽に、異国趣味や道楽やパロディの対象以上のものとして、敬意を払って取り組んだはじめての試み」。
・「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」(p.189)…「スティーヴ・ジョブズとビートルズを結びつける重要な曲」。アップル社同士の係争の話、とか全然知らなかった。
他には、「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」って英語の授業では中1くらいの定番曲だけど、これは「ロンドンのクラブでジャマイカ系移民や白人の一部の若者に聞かれていたスカのリズム」(p.156)だそうだ。スカ?っていうのを初めて聞いた。
それからビートルズのメンバーがインドとかに興味を持った時期があった、という話があったが、「1960年代の中頃にジョージ・ハリスンはインドの古典音楽の楽器シタールを弾き始めた。最初は『ノルウェーの森』の中でちょっと弾いただけでしたが、その後しばらく自分の曲では同じくらいシタールを演奏していました。」(p.166)だそうで、シタールってどんな楽器でどんな音が鳴るんだろう、とか正直確かめてみたい。「ビートルズのシタール使用はドラッグ体験と結びついた音の万華鏡とでも言うべきサイケデリック・ロックの幕開けをつげるもの」(p.185)だそうだ。あとはビートルズと直接関係ないけど、アメリカのアンクル・サムの軍人募集のポスターは、「その元になったのがロード・キチナーのポスター」(p.147)だそうだ。
ということで、知らないことづくしで読むのも大変だった。少しはビートルズのことが分かったかもしれないけど、やっぱり曲を聴かないと、という感じだった。(24/07)