本郷恵子のレビュー一覧

  • 全集 日本の歴史 第8巻 戦国の活力
    応仁の乱から大坂の陣までの通史。畿内を軸にしながら、地方の動きや社会のあり方なども追っていく。この十数年で既に古くなってしまった記述もあるけれど、コンパクトにまとまっていて戦国時代を概観するのにぴったりの一冊。
  • 怪しいものたちの中世
    自由と悲惨は表裏一体、強者は弱者に。
    そんな中世社会を跋扈した「怪しいもの」とは何者だったのか。
    第一章 中世の博打・・・詐欺を行う者たち。「博打」と行者との関係。
    第二章 夢みる人々・・・卜占も夢も神意の現れ。
    第三章 勧進の時代・・・浄土思想と勧進。永観と重源。
    第四章 異形の親王・・・院政開始...続きを読む
  • 全集 日本の歴史 第12巻 開国への道
    本書の前半がロシア帝国との交易と領土交渉過程にあてられ、国防意識の高まりが浮かび上がる。後半は内政問題。飢饉と大塩平八郎の乱、最後に庶民剣士の隆盛と意外なところを持ってきて、幕末へと繋がる流れ。
  • 全集 日本の歴史 第1巻 列島創世記
    日本列島の旧石器時代から縄文、弥生時代までを認知考古学という新しい手法で述べた試みである。認知考古学では、当時の人々の考え方から考古資料を読み解く。例えば、縄文時代は平等ではなく競争社会だったが、それを合理化するための儀式として土偶や祭具が使用されたという。
  • 全集 日本の歴史 第3巻 律令国家と万葉びと
    飛鳥、奈良時代の400年は、日本という国家が確立し、整えられていく時代。暦や文字、年号が使われ、国による支配体制が確立していったのがこの頃。

    仏教が朝鮮半島から伝わり、東アジアとの外交かが始まったのもこの頃で、現代にも生きているあらゆる制度や仕組み、技術が生まれた。

    遠い過去の歴史を紐解き、原点...続きを読む
  • 全集 日本の歴史 第2巻 日本の原像
    日本の出発点である古代律令国家から王朝国家への転換までを描く。
    文字文化や稲作技術など目覚ましく普及、発展するもの。国家の形が変貌する過程で道路規模のように縮小するもの、戸籍制度のように消滅するもの。今は当たり前で当時は存在しなかったという「家」という概念。それぞれには意味があり、歴史に学ぶことは意...続きを読む
  • 全集 日本の歴史 第2巻 日本の原像
    日本の古代史部分を新視点ということで新たな切り口で眺めてみようという試み。
    イネの伝播については、古代では品種にこだわり最大収量が確保できる工夫があった。
  • 全集 日本の歴史 第7巻 走る悪党、蜂起する土民
    室町時代の人々の暮らしを知るために購入。実際には商業や農村が発達し、民衆も活発な時代なのだが、幕府や天皇などの動きではなく、民衆の歴史を中心に俯瞰して読める室町期の歴史書は当時ほかにあまり見当たらなかった。福山駅前にある広島県立博物館(草戸千軒ミュージアム)の実物大復元模型等と併せて読むと非常にわか...続きを読む
  • 買い物の日本史
    日本の中世(平安時代末~室町時代)までの時代に、人々がなにを求めたのかということをテーマにした本。『買い物の日本史』というから、貨幣史や流通史、市場経済の本なのかなぁと思っていたら、もう少し分野を絞ったものになっている。題名とは違って、語られているレベルもかなり高いし。

    中世で最も人気が高かった商...続きを読む
  • 買い物の日本史
    内容は、タイトルと多少違い、中世の「成功」と呼ばれた官位売買の話が主で、中世日本の市、貨幣、金融等にも少し触れられている。官位の売買は、その収入を寺社の改修などの費用にあてるように制度化されていた。官位を買うのは、一生に一度の買い物だが、余裕ができると中世の富裕者は、寺社への参拝、寄進を積極的に行っ...続きを読む
  • 全集 日本の歴史 第9巻 「鎖国」という外交
    「新視点近世史」ということで、江戸時代全般を“「鎖国」という外交”のテーマで概括する。前半部では、幕府にとっての朝鮮通信使の意味、「4つの口」による東アジア世界との貿易と外交などがわかりやすく書かれているが、後半部になると、絵画史料をもとに大衆にとって異国人のイメージはどのようなものだったのか、どの...続きを読む
  • 全集 日本の歴史 第7巻 走る悪党、蜂起する土民
    鎌倉幕府滅亡、南北朝動乱から応仁の乱終結までを扱う。悪党と一揆という視点を入れていますが、政治史中心で読みやすい。第8巻を先に読んでいたのですが、ようやく時代のつながりが見えてきました。セットで読むべきですね。
  • 全集 日本の歴史 第13巻 文明国をめざして
    幕末維新を庶民の観点で考察しており、学校で学ぶ歴史とは異なった側面を学ぶことができる。新鮮な切り口もあり、一読の価値あり。
    四民平等が部落差別を生んだことなど、庶民レベルに考えると却って江戸時代の方が「幸福度」が高かったのかもしれない。

    以下引用~
    ・このように、外国貿易は地域・業種・階層によって...続きを読む
  • 全集 日本の歴史 第9巻 「鎖国」という外交
    『全集 日本の歴史』シリーズはかなり質が高くて、歴史的な教養を深める上で非常に役に立つ。

    江戸時代は「鎖国」と言われているけれども、実際はちゃんとした外交的な理由もチャンネルもあったし、「鎖国」によって国内産業が進展していって、それが近代日本の礎になった。また、当時の日本人が考える「世界観」につい...続きを読む
  • 全集 日本の歴史 第8巻 戦国の活力
    戦国時代がわかる本。前半部分は勉強不足で読むの大変でした^^;
    説とかは大雑把なので「?」なところもありますが、通して知るには十分です――一点だけ→秀吉は羽柴姓と豊臣姓を分けて与えていたらしいから、無頓着ではなかったと思いますが……。
    でも面白い逸話も多く、戦国時代を調べてる私にとっては、システムの...続きを読む
  • 全集 日本の歴史 第12巻 開国への道
    おそらく、現時点で最も信頼のおける(最近の研究を元にした)歴史シリーズ。『全集 日本の歴史』も12巻になって、いよいよ江戸時代末期の対外関係と開国について書かれる……のだけれど、面白いのは後半の庶民剣士をテーマにした章だった。

    江戸時代は唯一の暴力機構である『士』が『農工商』を支配した時代、という...続きを読む
  • 全集 日本の歴史 第3巻 律令国家と万葉びと
    後発の日本の通史のシリーズだけに、意欲的な巻が続く。

    律令制=官僚制国家の土台となったテクノロジーである文字・暦・歴史から話を始め、東アジアの交流史や民衆史等を横目に見つつ、当時の社会状況を描く。

    「国家」の成立過程とその変容を、いかに政治史上の固有名詞に頼らずに叙述するか。わたしは著者の目論見...続きを読む
  • 全集 日本の歴史 第1巻 列島創世記
    松木先生の書く文書はほんとにおもしろいです。
    大学入学直前に読んで夢をふくらませた一冊。
    しかしいざ発掘・整理作業・卒論等をやっていくと、なんだかこの本のイメージからかけ離れてしまっているのが現状 笑
    もう一度読みたい。
  • 選書日本中世史 3 将軍権力の発見
    論文2~3本と、それに一般読者を意識してか古文書概論・日本史概論がいくつかで構成。と思う。(笑)
    大まかな所でいえば、鎌倉幕府の統治限定主義が室町幕府の全国統治主義に移行する論理に将軍権力の発露を見た!ということであろう。但し、文書権威や地方との「外交」を土台に形成された将軍権力だ。より高次の道理・...続きを読む
  • 全集 日本の歴史 第12巻 開国への道
    [ 内容 ]
    開国は蝦夷地から始まった。
    迫りくる異国と政治を動かす民衆、新時代を生む幕末。
    歴史が未来を切り拓く。
    本書では、日本の近世を環太平洋史の視点から再解釈する。

    [ 目次 ]
    第1章 環太平洋時代の幕開け
    第2章 漂流民たちの見た世界
    第3章 鎖国泰平国家から国防国家へ
    第4章 世論政...続きを読む