辻井喬のレビュー一覧

  • 茜色の空 哲人政治家・大平正芳の生涯

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    70年台から80年台前半にかけて自民党内で鎬を削ったいわゆる「三角大福中」、その中で自分が1番好きな政治家が大平正芳だ。(余談、かつ意外に思われるかもしれないが次に好きなのは福田赳夫だったりする。)
    辻井喬、またの名を堤清二が描いた政治家・大平正芳の伝記。史実を徹底的に追う吉村昭と天才的なエンタメ性を持つ司馬遼太郎の中間といった印象を持つ。やや政敵(岸信介や福田赳夫)が悪役に描かれすぎているきらいはあるが、それ以外はバランスの取れたものとなっている。

    しかし要所に登場し、岸や福田とは比べ物にならないくらい飛び抜けて悪辣に描写されている架空の政敵、森野元は何者だろうか?某知恵袋ではハマコーなど

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    2025年08月26日
  • 叙情と闘争 辻井喬+堤清二回顧録

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    面白かった。セゾングループの経営者と詩人を二足の草鞋としてこなしていた著者のエッセイは戦後の日本の変遷の歴史である。独自の視点と文章がとてもおもしろい!

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    2024年04月09日
  • 茜色の空 哲人政治家・大平正芳の生涯

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    あまり取り上げられることのない第68・69代内閣総理大臣:大平正芳の伝記。とかく、地味で「ア~ウ~宰相」「鈍牛」といった印象ばかりがマスコミによって誇張されていたが、本書には大平正芳の生い立ち、心情、人となり、一貫した政治理念などが著されている。苦学の末、大蔵省官僚、のちに池田勇人氏に請われて政界入り。岸信介、佐藤栄作、田中角栄、福田赳夫など、同時代の歴代首相の素顔についても触れられている。一方で、安保・沖縄返還にまつわる密約事件なども、この頃の出来事。この経緯については、山崎豊子氏が『運命の人』として上梓している。

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    2014年09月25日
  • 叙情と闘争 辻井喬+堤清二回顧録

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    ラジオで知った辻井喬さんを
    どんな人だったか詳しく知りたくて買った本。
    解説にも書いてあるけれども、
    彼自身の回顧録であると同時に、
    その時代の時代史をたどることもできる。
    出てくる名前もやたらとビッグで、
    マッカーサーから始まり、
    三島由紀夫や吉田茂、池田勇人、
    本田宗一郎、司馬遼太郎
    なんかがサクサク出てきて、
    しかもその人達の人間的な部分が見えたりするものだから、
    「歴史の人」が、
    「辻井さん(堤さん)の知り合いのお一人」
    になるもんだから混乱する。

    とても知性が深く、暖かい。
    先見の明があり、人情深い。
    知ったのは亡くなってからだけど、
    こんな人間になりたいなと思いました。

    最後に

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    2014年01月31日
  • 叙情と闘争 辻井喬+堤清二回顧録

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    いや、やっぱり堤清二はすごい人であったけど、まだ読み切れてないと思う。またこれからどう変わるか。御曹司だけど、庶子で、共産党に入るが衆院議長である親の秘書をし、西武百貨店を継ぐし、そのこと自体を素直に取れないので文芸に走るがその一方で…という。ただ、ポスト大衆消費社会を形成する上で大きな役割を果たしたのは事実。しかし、この人も土地とリゾートで転んでしまったのは残念なのと、韜晦もあるだろうが主体的に仕事に取り組み道を切り開く感じは書かれていなく… また10年後とかに読みたい。

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    2013年12月19日
  • 茜色の空 哲人政治家・大平正芳の生涯

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    大平正芳は、あーうーしか言わない、パッとしない政治家だと思っていたが、意外に褒める人が多い。この本を読んでみて、成程と思った。大蔵省の官僚出身であるものの、若い頃に貧乏した経験もあり、思考に柔軟性もあり、見識も優れている。政治家らしくない政治家であり、田中角栄と親しかったにもかかわらず、クリーンである。
    背景に戦前から戦後にかけての日本の政治史があり、日本が本当に民主主義の国になることを理想としていた政治家である。
    選挙中に倒れた最期は印象に残っている。
    ちょうど「田中角栄」という本を読んだ後で、同時代の政治家に興味があってとった一冊であったが、内容が濃く、充実していて、得した気分だ。
    作者の

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    2013年02月23日
  • 茜色の空 哲人政治家・大平正芳の生涯

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    面白かった。
    異なる意見を調整する際に、同心円でなく、ふたつの中心を持つ楕円形の収斂を目指す、という表現に共感。
    四十日闘争など政局の叙述には物足りない所もあるが、人物としての大平正芳に一層好感を持った。

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    2013年01月29日
  • 茜色の空 哲人政治家・大平正芳の生涯

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    近年再評価されつつある、大平正芳を取り上げた小説。関係者への取材に基づいており、政治的事件通りの流れではあるが、架空の人物も登場する。

    作者はセゾングループを率いた堤清二=辻井喬。理想と現実とのはざまで、逡巡しながらも行動を続けた大平に、作者は自身の姿を重ね合わせたのかもしれない。

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    2025年09月16日
  • 茜色の空 哲人政治家・大平正芳の生涯

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    大平総理の一生
    政治家にはいろんな種類の人がいるといいと思った。
    貧農の出、田舎出身、クリスチャン、一橋から大蔵省と当時の政治家にない特徴や経験を持っていたからこそ哲人と言われるようになったのではと思った

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    2023年09月07日
  • 叙情と闘争 辻井喬+堤清二回顧録

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    セゾングループの創始者として経営者であり、辻井喬として文学者でもあった堤清二の回顧録。セゾン文化の中で青春を過ごした者として興味深く読み進めました。
    個人の回顧録でありながら、彼が生きた時代の同時代史にもなっているのが面白い。
    さまざまな人との交流が描かれているが、個別バラバラに記述されるのではなく、連続性を持って語られています。A氏との交流の先にB氏がいて、その紹介でC氏と出会い、といった連続性がこの本をただ単に昔を懐かしむような回顧録にしていないのだと思います。三島由紀夫、安部公房、小林一三、本田宗一郎、池田勇人、白洲次郎、宮沢喜一、などなど、共通性の薄い、幅広い交友からの見えてくることも

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    2021年03月20日
  • 叙情と闘争 辻井喬+堤清二回顧録

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    詩人と経営者の二足の草鞋というだけでもう想像を絶する世界であるのだが、それにしても実際にこの回顧録を読むと改めて想像以上の人生である。巻末の人名録を見るとこれだけの人々と公に私に関わりを持った人生とは、とため息が出る。
    著者自身、相談に際してふらりと時の総理に相談に行けてしまうような身分なのだが、その著者からみても「秀でた一族」と感嘆される人々がいたり、もう雲の上の世界というほかない。
    そんな世界の一端が覗けるのも活字の世界ならではである。

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    2021年02月21日
  • 茜色の空 哲人政治家・大平正芳の生涯

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    辻井喬さんは西武グループ総帥である堤清二さんのペンネーム。
    大平さんは三木武夫の後に総理大臣になった人で、任期中の参院選途中で亡くなった。
    幼い頃からの生い立ちや総理大臣になる前からなった後の苦悩などがよく理解できた。
    中国でとても評価されているとは、今の状況を思えば、奇跡に近い。
    辻井喬さんの著作は初めて読んだが、とてもしっかりとした文章を書かれていると感じた。レベルは高い。

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    2016年04月26日
  • 叙情と闘争 辻井喬+堤清二回顧録

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    つい先日に亡くなってしまった辻井喬氏の回顧録。自伝と言っていいかもしれない。2008年に読売新聞に連載されていたもの。日米安保闘争前のアイゼンハワー大統領と会う件から始まり、共産党を除名された件を経て、最後はセゾングループから身を引いた件で終わる。時の政財界の要人との交流、そして、その時にしたためた詩を通じて筆は進む。政財界との要人との交流では、歴史的な事件に別な側面があったことをこの著書で知った。共産党を除名されたり離れた人で後に政財界の要人になった人は多いが、ほとんどの人は距離をとったり、「反共」的になった人は多いが、著者は最後まで理解ある人であり、教養のある人としてバランスの取れた人では

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    2013年12月23日
  • 叙情と闘争 辻井喬+堤清二回顧録

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    セゾングループの生みの親という経営者でありながら、作家・詩人という得意な肩書を持つ著者の回顧録。盛田昭夫、豊田章一郎、渡辺十三ら、当時の革新的経営者から、三島由紀夫、安倍公房、武満徹といった一流の文化人らとの交流を、自らの半生への懐古を後悔を交えながら、描く。意外と自嘲的なのがオモシロい。

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    2012年09月30日
  • 叙情と闘争 辻井喬+堤清二回顧録

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    色んな人との交友があったのですね。
    非常に興味深い話が次々にでてきて、一気に読み終わりました。
    セゾングループの栄華も大昔のこととなってしまいましたが、背景がわかって良かったです。

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    2012年07月08日
  • 叙情と闘争 辻井喬+堤清二回顧録

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    経営者と文学者という二つの顔を持つ著者の自伝である。学生運動、複雑な家庭、若くして興したセゾングループの興隆と破綻、文学者としての活動等興味深い話題が多い。実業家、政治家、文学者等との交友エピソードも興味深い。家庭でも実業の世界でも独裁者であった父とその圧制に苦しみ反抗した自分、母、妹についての記述が多いのは、当然だが、自身の家庭について全く触れていないのが奇妙である。あの義弟についての記述も少ない。結局、文学者辻井喬が書いた自伝的小説ということか。もちろん、それでも十分に面白い。

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    2012年06月15日
  • 茜色の空 哲人政治家・大平正芳の生涯

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    大平総理が東南アジアを歴訪したとき、相手国の代表が総理の人格に感銘を受けたとのコメントを新聞で読んだことがある。「ア~ウ~宰相」「鈍牛」とか、テレビや新聞は明瞭でない物言いばかりを馬鹿にするような記事が多かった。その小さなニュースに国内のマスコミは首相の人となりをちゃんと伝えていないのかな、と思った記憶がある。

    宰相、大平正芳の評伝。口下手であまり政治家らしくない印象。若い頃、キリスト教に洗礼したなど、つくづく生真面目な人だったよう。
    やはり官僚だった池田勇人から見込まれて政治家になる。宏池会のことなどよく知らなかった戦後政治の勉強になった。
    国家のことを懸命に考える官僚出身者が政治家になる

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    2013年03月18日
  • 茜色の空 哲人政治家・大平正芳の生涯

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    堤清二こと辻井喬による伝記風の「小説」である。ノンフィクション作家による「ノンフィクション」ではない。辻井としては、大平の果たした役割についての評価を事実・真実のシーケンスの提示で読者に委ねるという手法ではなく、終戦後に保守・自由主義で日本を再建するという歴史の文脈の中で、たまたま政治家となった「善人」はどのような個人的心情や苦悩の中で生涯をすごしたのか、という点を描出したかったのだろう。社会や政治について書く筆ではなく、人の生き方という「文学」の筆致だということだ。山崎豊子「運命の人」のモデルである毎日・西山記者がモデルとおぼしきキャラクターが「田島」という名で出てきたりしている。

    大平は

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    2018年10月14日