溝口優司のレビュー一覧
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ネタバレ新装版の表紙のインパクトと、帯の「佐藤優氏推薦!」という文言に惹かれて購入。佐藤優さんをリスペクトして、著書を読みまくった時期もあったなぁ。
さて本書は、人類学者(形質人類学者)の著者が、長年研究している「日本人はどこからきたのか」というテーマを、フツーの人にもわかるように、なおかつ深く面白く解説している。根拠となるデータやその見方の部分はやはりちょっと難しくて、わからーんと思いながら読み飛ばした部分もあるけど、細かい内容もいろいろ面白かった!
サルやクマなどの動物が、赤道に近いほど小型で、緯度が高くなれば高くなるほど大型になり、丸みを帯びてくる理由や、ヨーロッパ系の人類の鼻が高くすっと長くな -
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とても面白く読めた一冊。
昔、学校で習ったジャワ原人も北京原人もネアンデルタール人もアウストラロピテクスも、その当時の知見は陳腐化して、今はいろんなことが分かってきて、その分、いろんなことが新たに謎となって生まれているのだろうと思います。
類人猿と比べて、私たちは鼻が高い。実は鼻が高くなったわけではなく、進化の過程で、頭は丸く大きくなり顎と歯は小さく華奢になったために、鼻が高くなったように見えるのだそうです。時代が変わっても空気を温めて湿り気を与える鼻の機能は変わらず必要だったからだそうです。鼻が高いと言っても鼻の角度そのものは類人猿と変わらないそうです。・・・だって、クレオパトラさん。 -
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■私たちの祖先は人類になる前はチンパンジーなどの類人猿と同様に樹上生活を営んでいたと考えられる。ところが何らかの理由によって木々がまばらにしか生えていない場所で暮らさざるを得なくなったため、地上生活に適応して直立二足歩行をするようになった。何らかの理由とは地球環境の変化によって森林が縮小したことや、それに伴って食物が減少したこと、或いはほかの生物との競合が激しくなったことなど。
理由が何であるにせよ地上生活に適応して直立二足歩行をするようになったことがその後の人類の運命を決定づけた。直立したことによって人類は手の自由を獲得しその結果として発達した大きな脳を獲得し言語も獲得したからだ。
手で -
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解明しようとするにはまだまだ様々な検証が必要な「日本人の起源」について、「アフリカで誕生した人類が世界へ拡散しどのように日本人となったか」という壮大なスケールのテーマについてとても分かりやすく説明されている。難解な学術用語、専門用語については、僕のようなこの分野の門外漢にもわかりやすいように易しい言葉で注釈が加えられている。また、先に読んだ内容の記憶が少し曖昧になっていても過去の記述をおさらいしながら話を進めていくので、こうしたジャンルの本に初めて接する入門者への配慮が感じられて好感が持てる。
もともとは日本語の起源論という言語の側面から興味を持って購入した本だったが残念ながら言語に関する記述 -
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著者は遺伝学ではなく、骨や歯の形で人類学を専門としている方なので、遺伝的な要素もあるが骨や歯の記述が多くなる本であった。
3章構成であり、1章でアフリカで生まれた人類の祖先が変化していることを示すこと、2章でアフリカから世界に広がり、特に南太平洋に行くまでのこと、3章で日本人の祖先の縄文人や弥生人のことを平易に書いてある。
とはいうものの自分は人類学の基礎知識があまりになくて読むことに難儀してしまった。ヒトの名前と特徴を表か何かにしないとやっぱり読むことが大変になるので、次回には基礎知識をもっと溜めて読みたいと思わされた。
具体的な人種名や地理的なものは忘れてしまうけれど、大枠は理解でき -
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人類がアフリカ起源というのは間違いなさそう。ではその人類がいつ日本にやってきたのか。どのように日本人は確立していったのか。
DNAではなく主に骨相学から、日本人のルーツを探ります。
自然の障害(海があって向こうの土地に渡れないなど)や気候の激変(氷河期で人類のほとんどが死滅)があり、人類は遺伝的にはかなり詳細に移動の時期が特定できるようです。
日本人のルーツは縄文人(東南アジア起源で、遺伝的には同じルーツを持つアボリジニに近い)と北方アジア起源の弥生人の混血、とのこと。
興味を引くのは、画一的に入れ替わりがすすんだのではなく、一部は縄文人、別の地域は弥生人、中間は混血、というように地域 -
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日本の起源に興味を持って(特に弥生後期、邪馬台国から大和朝廷まで)、その分野の本を読んでいく中で、やはり人類の起源を知っておいたほうが良いと思い購入。
猿人から縄文・弥生時代までのおおまかな流れを割りと分り易く書いてある。生物の名称や骨の名称などがたくさん出てくるが素人にも理解できるように平易に書かれてあると思った。
印象に残った点は、猿人のアウストラロピテクスとパラントロプスが食事の違いによって生死を分けたというところ。粗食のパラントロプスは食事にかける時間が多いが、高い栄養価のものを食していたアウストラロピテクスは食事以外の時間が増える。その時間に学習をし、生存していった。
また、日本人の -
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ネタバレ日本人のルーツを猿人の歴史からたどっている本。 2011年に出たものを2020年の最新の知見を加えてリライトした。ただ依然としてわからないことの方が多くていずれの話も推測・仮説の域を出ない。結論を求める人には少しもどかしいかもしれない。
もう一つこの本を読んで知ったのは人類と呼ばれるものには様々な種類があり、それぞれが環境に適応しながら発展を遂げているが、いずれも現在は絶滅し結局ホモサピエンスという1種類が残ったということだ。
日本に入ってきたのは、確認できるところでは約4万年ほど前のことで、縄文人は南方から、その後弥生人が北方から入ってきて、縄文人が弥生人に次第に置きかわっていったということ -
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ネタバレこうして私たちは「顔」をもったから、なぜアジア人がベビーフェイスなのかなど、わかりやすく紹介。カラーではないですが、字体もフォントも大きく読みやすかったです。赤ちゃんをかわいいと思うわけなど、「育児をしたい」遺伝子など紹介。日本人のルーツもまだまだ探す旅はつづく。違っていることの重要性を書いてくれていたのがよかったです、「違い」に善悪もない。
「差別や戦争が生じる主なきっかけとなるのが、「違い」です。しかし、すでに紹介したように、私たちホモ・サピエンスの姿かたち・顔かたちは、さまざまな環境に適応することによって必然的につくられてきた、つまりは、良し悪しや優劣といった価値観とは無関係に、ただ単に -
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ホモ・サピエンスがアフリカに誕生し、700万年の時を経ていかにして日本人となったのかを説明する。
森から地上に降りて直立二足歩行をするようになり、手が自由になり、脳が発達して言語も獲得したのが人類を他の類人猿と分けた。
一定の特徴を持つ人が子孫を多く残し、それが何世代にもわたって続くことでスタンダードとなる、これが進化。暑い昼間に長時間走る能力により肉食獣と競合しなくなった、そのために効率的に体温を下げる必要が生まれ体毛が薄くなった。また、直立で見えにくくなった生殖器は唇が、臀部は乳房が擬態したという説も面白い。寒冷地適応で手足が短くなるだけでなく、身体が大きくなる。
現代日本人は、南方起源の -
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人類学の立場から、特に骨の「形態学的比較」を通して、ヒトがどう進化して世界中に広まっていったか、さらに現代日本人のルーツはどこか、といったことを、現在分かっている範囲の可能性について紹介したもの。
「直立したことによって人類は手の自由を獲得し、その結果として発達した大きな脳を獲得し、言語も獲得した」(p.15)というのが新鮮だった。言語の獲得の根源には直立二足歩行があるというのが面白い。他にも「唇は生殖器の、乳房は臀部の擬態」(p.63)とか、「実は、瞼が一重なのは、現代人の中では北アジア人と東アジア人だけ」(p.107)とか、今ある自分たちの体の各部の形がなぜそのような形になっているのか