ヘンリーハーペンディングのレビュー一覧
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タブー視されがちな人種における知能の差について、誤解なきよう、たっぷりと前段に時間を割き、後半一気に核心に触れていくような構成。進化の過程により、肉体の差は生じ得る。知能も例外では無い。アシュケナージ系ユダヤ人のIQは高い。IQは完璧ではないが、客観的に有効性の高い指標である。アシュケナージ系ユダヤ人の進化論的特異性とは、何だったのか。本著が解き明かす。
現生人類が約50,000年前にアフリカから各地に拡散したときに人類の進化は止まったとされた。これが意味するところは、人間の精神はどのような場所でも同じであると言うこと。人類の精神の斉一性という。これが誤りだと本著は指摘する。斉一性とは、社会 -
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8000年前頃、ヨーロッパ人の中で乳を分解するラクターゼの継続的な生産をもたらす変異が起きた。ウシの乳を飲むことによって、ウシの肉を食べるよりも5倍のカロリーが得られるため、人口が増加し、穀物農業がうまくいっていない北ヨーロッパのステップ地帯に広がっていった。インド=ヨーロッパ語族の拡散が始まったのは、BC3000年頃と考えられる。歩くことができるウシは盗みやすいため、互いに盗みあい、争うことで、戦闘的な社会になった。移動性が高く、数で勝り、栄養状態がよく、戦いに勝つことが多かったため、より好戦的になったのだろう。
明るい色の皮膚をもたらす変異は、農業開始の後に起こったらしい。ヨーロッパ人と -
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生物学は、人種の間に差はない、現生人類は進化が止まっているという学説を主流においた。著者は主流学説に反して、現在も人類は進化し続けているとする。以下印象的な箇所のレジュメ。
・植物や動物は、残したい形質を選択的に遺伝させることで、品種改良できる。品種改良は数世代で簡単に行える。品種改良は進化の一種である。つまり、進化は短期間でも起きる。
・現生人類とネアンデルタール人は、種として異なるという説が主流だが、現生人類は、絶滅前のネアンデルタール人と混血して、彼らの遺伝子を取り入れた。ネアンデルタール人の特徴を受け継いだからこそ、現生人類は繁栄することができた。
・牛乳を飲んで、栄養を摂取する -
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「人間は何万年も狩猟採集民族だったのだから~という習性には逆らえない』のような言説を目にすることがある。
中には思わず頷いてしまうような論もあるのだが、どこまでが信じられるものなのだろうか。
人間は、狩猟採取民族であった以前に、何百万年と猿人であり、何千万年と四足動物であり、何億年と魚類だった。
現在に残る習性の、どこからどこまでが遺伝で、どこからどこまでが環境要因なのだろう?
農業開始以来のこの一万年間で、人類は何が変化したのだろう?
一般的に進化とは何千年、何万年もかかるものだと思われている。
人間の皮膚色、体の大きさ、形態、代謝などの身体的特徴と民族の傾向は密接であり、
遺伝が関与して -
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意欲作にして問題作。人類の進化は今まさに進んでいて、知能が自然選択で伸びたりしているという、ともするとポリティカリー・インコレクトな議論。
たしかに、見た目の違い、オリンピックの100m走、乳糖耐性、鎌状赤血球などを見れば、民族間で遺伝子レベルに由来する表現型の差異があるのは明らかだ。あとは進化論の論争によくあることだが、物は言いようというか、どれほどの程度なのか評価の問題ではないかという気がする。著者らの論証は説得力のある部分もあるが、肝心な所で細かい説明を省いていたり(2Sやユダヤ人の遺伝的ユニークさ)、チェリーピッキングをしている雰囲気もあるので、その大胆な仮説にはにわかに首肯しがたい -
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