作品一覧
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3.5人類の生物学的進化は4~5万年前に終わったという従来の学説を否定して、1万年ほど前から人類の進化が加速していると論じた本。1万年ほど前に始まった農耕によって、大きな変化が起きた。人間はそれまでと違う食べ物を食べるようになり、新しい病気にさらされ、集団生活のしかたが変わり、人口が増大した。このような文化的な変化がヒトに自然選択の選択圧を加え、ヒトの心と体を遺伝的・生物学的にも変化させた。そうした遺伝的変化が今度は文化や歴史に重大な影響を及ぼした。人類史とは、生物学的変化と文化的変化がからまりあった、終わりなき舞踏のようなもの。著者らが「遺伝歴史学」と呼ぶアプローチに基づいて、人類史の謎を解き明かす。
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
タブー視されがちな人種における知能の差について、誤解なきよう、たっぷりと前段に時間を割き、後半一気に核心に触れていくような構成。進化の過程により、肉体の差は生じ得る。知能も例外では無い。アシュケナージ系ユダヤ人のIQは高い。IQは完璧ではないが、客観的に有効性の高い指標である。アシュケナージ系ユダヤ人の進化論的特異性とは、何だったのか。本著が解き明かす。
現生人類が約50,000年前にアフリカから各地に拡散したときに人類の進化は止まったとされた。これが意味するところは、人間の精神はどのような場所でも同じであると言うこと。人類の精神の斉一性という。これが誤りだと本著は指摘する。斉一性とは、社会 -
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Posted by ブクログ
8000年前頃、ヨーロッパ人の中で乳を分解するラクターゼの継続的な生産をもたらす変異が起きた。ウシの乳を飲むことによって、ウシの肉を食べるよりも5倍のカロリーが得られるため、人口が増加し、穀物農業がうまくいっていない北ヨーロッパのステップ地帯に広がっていった。インド=ヨーロッパ語族の拡散が始まったのは、BC3000年頃と考えられる。歩くことができるウシは盗みやすいため、互いに盗みあい、争うことで、戦闘的な社会になった。移動性が高く、数で勝り、栄養状態がよく、戦いに勝つことが多かったため、より好戦的になったのだろう。
明るい色の皮膚をもたらす変異は、農業開始の後に起こったらしい。ヨーロッパ人と -
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Posted by ブクログ
生物学は、人種の間に差はない、現生人類は進化が止まっているという学説を主流においた。著者は主流学説に反して、現在も人類は進化し続けているとする。以下印象的な箇所のレジュメ。
・植物や動物は、残したい形質を選択的に遺伝させることで、品種改良できる。品種改良は数世代で簡単に行える。品種改良は進化の一種である。つまり、進化は短期間でも起きる。
・現生人類とネアンデルタール人は、種として異なるという説が主流だが、現生人類は、絶滅前のネアンデルタール人と混血して、彼らの遺伝子を取り入れた。ネアンデルタール人の特徴を受け継いだからこそ、現生人類は繁栄することができた。
・牛乳を飲んで、栄養を摂取する